火災を知らせるベルもサイレンも音で伝えるしくみです。
音が聞こえにくい方がいる建物では それだけでは火災の発生が伝わりません。
そこで光の点滅で火災を伝える光警報装置という機器があります。
消防庁はこの装置の設置についてガイドラインを定めた通知を出しています。
うちの施設には耳の聞こえにくい利用者がいらっしゃいます。
ベルが鳴っても気づいてもらえないのが前から気がかりでした。
光の点滅で火災を伝える光警報装置という機器があります。
消防庁がガイドラインを出しているので順に見ていきましょう。
点けたほうがよいのは分かるんですが法律で決まっているものなんでしょうか。
勝手に付けてよいものなのかも分かりません。
設置そのものは義務ではなく望ましいという書き方です。
ただし付けるときの工事には資格と届出が要るので そこが落とし穴になります。
- 光警報装置は音の代わりに光の点滅で火災の発生を知らせる機器です
- 設置が望ましいとされたのは大規模な空港や駅と主に聴覚障がい者が利用する社会福祉施設です
- 電気室や階段室内や事務室等は原則として設置を要しないとされています
- 点滅の速さと最大光度に上限があり 光の色は白色に限られます
- 工事は甲種第4類の消防設備士が行い着工届と設置届と消防検査が必要です
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目次
光警報装置のガイドラインはなぜ出されたのか

ところが火災の発生そのものを音以外で知らせる警報には ものさしがありませんでした。
一方で、警報設備のうち音により火災の発生を報知する自動火災報知設備については、法令上の設置及び維持に関する技術上の基準が定められていますが、音以外の方法により火災の発生を報知する警報については統一的な基準は定められていません。
消防庁は学識経験者や障がい者団体の関係者などからなる検討部会を設け 空港や社会福祉施設等で光警報装置を用いた実証実験を行っています。
そこで有効性を確かめたうえで より効率的な設置方法を検討し ガイドラインとして取りまとめたのがこの通知です。
この通知は消防組織法第37条の規定に基づく助言として出されました。
つまり全国の消防本部が同じ考え方で相談に応じられるように 国が指標をそろえた文書だと考えてください。
なお点滅機能を有する誘導灯については消防法施行規則に規定があり その望ましい設置部分は平成11年9月21日付け消防予第245号のガイドラインで示されています。
誘導灯の点滅は知っていましたが火災を知らせる光は別の話なんですね。
そこに基準が無かったというのは意外でした。
避難の誘導と火災の報知は別々に整理されてきた経緯があります。
まずは自分の建物が指標の対象に当たるかを確かめてみてください。
どの建物のどの部分に設置が望ましいのか

聴覚障がい者が使う蓋然性が高い場所を絞って挙げるという作りになっています。
光警報装置は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置することが望ましい。
1 令別表第一(10)項に掲げる防火対象物のうち大規模な空港、駅その他これらに類する防火対象物
2 令別表第一(6)項ロ及びハに掲げる防火対象物のうち主に聴覚障がい者が利用する防火対象物
3 その他光警報装置により積極的に火災を報知する必要性が高いと認められる部分
令別表第一(10)項は車両の停車場や航空機の発着場のうち旅客の乗降や待合いに使う建築物を指します。
(6)項ロ・ハは老人ホームや障害者支援施設 デイサービスセンターや保育所などの社会福祉施設です。
そのうえで設置場所は 聴覚障がい者に対し火災の発生を知らせることが困難な部分が原則とされました。
逆に電気室や階段室内や駐車場のように長時間滞在が想定されない部分と 事務室等のように関係者等の使用に供される部分は原則として設置を要しないとされています。
浴場の湯気や結露で機能に支障が出る場所も同じ扱いです。
周りの職員が気づいて知らせられる部分は要らないということですか。
建物まるごとではなく部屋ごとに考えるんですね。
そのとおりで部分ごとに要否を考える書き方になっています。
まずは図面に滞在の長い部屋を塗り分けてみると話が早いです。
光警報装置はどんな性能を満たすものなのか

ガイドラインは国際標準化機構の規格を参考にして 上限と下限の両方を定めています。
2 構造及び機能
(12) 点滅周波数は、0.5Hz以上、2Hz以下であること。
(13) 同一空間内にある光警報装置にあつては、点滅の周期を同期させること。
3 光警報装置の機能
(3) 最大光度は、500cd以下であること。
(4) 白色光であること。
点滅周波数と装置どうしの同期は光感受性てんかんの発作を防ぐために必要とされたものです。
最大光度の上限は 発光が強すぎることで避難の妨げになるのを防ぐために設けられました。
白色に限ったのは 赤色光は減衰しやすく色覚に異常がある方には気づかれにくいことを考えたうえで 警報としての認識を統一するためです。
逆に下限にあたるのが照度で 対象範囲に0.4lm/平方メートル以上の法線照度を照射する光度を確保することとされています。
設置方法にも目安があり 幅員が6メートル以下の廊下では端部及び曲り角から5メートル以内 かつ歩行距離30メートル以内に点滅を確認できるよう設置することとされました。
明るければ明るいほどよいわけではないんですね。
同期までさせるというのは想像していませんでした。
ばらばらに光ると見た人の負担が大きくなるためです。
見積りを取るときは同期機能の有無を必ず聞いてください。
光警報装置の工事は誰がしなければならないのか

光警報装置そのものは消防法上の消防用設備等には該当しません。
光警報装置の設置については、自動火災報知設備に対して光警報装置を付加する工事であり、「消防用設備等に係る届出等に関する運用について」(平成9年12月5日付消防予第192号)別紙1における増設又は改造に該当することから、甲種4類の消防設備士が行うこと。
光警報装置を起動する信号は自動火災報知設備の地区音響鳴動装置から発せられます。
そのため接続方法や予備電源容量等が自動火災報知設備の機能に支障がないように施工する必要があり 自動火災報知設備の増設または改造として扱われます。
自動火災報知設備は消防法施行令第36条の2に掲げられているので 甲種第4類の消防設備士でなければ行ってはならない工事に当たります。
ただし例外もあり 接続される光警報装置等の電源容量を満たす非常電源を有する光警報制御装置に接続する場合の増設や 同種類の光警報装置等の取替え等は これに該当しないとされました。
それでも自動火災報知設備と連動させる確認等を行うことから 消防設備士が工事を行うことが望ましいとされています。
消防用設備等ではないのに消防設備士が要るというのは驚きました。
電気工事の会社に頼めばよいと思い込んでいました。
触るのが自動火災報知設備なのでそちらの資格が要る という理屈です。
発注の前に免状の種類を確かめておくと後戻りがありません。
明日からなにを確認すればよいのか

ここは平成29年の運用通知が具体的に書いています。
4 消防用設備等設置届出書について
自動火災報知設備の機能に影響がある光警報装置等の工事については、(略)自動火災報知設備としての消防用設備等設置届出書を提出する必要がある。
6 点検及び報告について
(略)光警報装置等は消防用設備等には該当しないことから、法第17条の3の3による点検及び報告の義務は生じないが、自動火災報知設備の点検に併せて自主的に点検を行うことが望ましいこと。
工事に着手する前の工事整備対象設備等着工届出書と 工事が終わったあとの消防用設備等設置届出書です。
どちらも自動火災報知設備に係る図書に加えて 光警報装置等に係る図書を添えて機能に支障がないことを明らかにします。
設置届出書に基づく消防検査では 光警報装置等が添付書類のとおりに設置されていることも併せて確認することが望ましいとされました。
点検の義務は生じませんが 自主的に点検を行った場合は消防用設備等点検結果報告書に任意の別紙でその旨を記載する等により併せて届け出て差し支えないものとされています。
機能不良があれば改修を行うよう指導されたいと書かれているので 自主点検の記録は残しておいてください。
つまり工事は自動火災報知設備の扱いで点検だけ任意ということですね。
いまの点検業者に一緒に見てもらえるか相談してみます。
まさにその整理で合っています。
着工届の前に所轄消防署へ事前相談をしておくと図書の作り直しを避けられます。
よくある質問
まとめ
ずっと気がかりだったところに手が届きそうです。
まずは滞在の長い部屋から見直してみます。
その一歩で伝わらない相手を減らせます。
迷われたら㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 光警報装置の設置に係るガイドラインの策定について(平成28年9月6日 消防予第264号)及び別添「光警報装置の設置に係るガイドライン」
- 光警報装置の設置に係るガイドラインの運用について(平成29年8月24日 消防予第268号)
- 消防用設備等に係る届出等に関する運用について(平成9年12月5日 消防予第192号)別紙1
- 消防法第17条第1項(消防用設備等)・第17条の3の3(点検及び報告)・第17条の5(消防設備士でなければ行つてはならない工事又は整備)
- 消防法施行令第36条の2第1項第9号(自動火災報知設備)・第24条第5項(放送設備)・別表第一(10)項及び(6)項ロ・ハ
- 消防法施行規則第24条第5号ホ(受信機から地区音響装置までの配線)
- 受信機に係る技術上の規格を定める省令第6条の4(地区音響鳴動装置)
- 消防組織法第37条(助言)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





