航空機を入れておく建物にどこまで設備が要るのかは判断に迷うところです。
消防法令はこの用途だけ面積の条件を置いていません。
同じ項に並ぶ自動車車庫とは要件がまったく違う組み立てになっています。
この記事では航空機の格納庫と屋上の発着場に必要になる消防用設備等を条文から解説します。
敷地にヘリコプターの格納庫を建てることになりました。
小さい建物なので設備は要らないと聞いています。
そこがこの用途のいちばんの落とし穴です。
格納庫は面積の条件なしで消火設備と自動火災報知設備の対象になります。
駐車場は広さで決まると聞いたのですが同じではないのですか。
同じ(13)項でもイとロで置かれている号が違います。
格納庫は泡消火設備まで求められる側の欄です。
- 飛行機や回転翼航空機の格納庫は消防法施行令別表第一(13)項ロの防火対象物です。
- 泡消火設備又は粉末消火設備の設置対象で面積の要件が置かれていません。(消防法施行令第13条第1項)
- 自動火災報知設備も面積を問わず必要になります。(消防法施行令第21条第1項第1号イ)
- 格納庫の泡ヘッドはフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドで床面積8平方メートルにつき1個以上です。(消防法施行規則第18条第1項第2号)
- 建物の屋上に回転翼航空機の発着場があればその部分も泡消火設備等の対象になります。(消防法施行令第13条第1項)
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目次
飛行機やヘリコプターの格納庫は消防法上どの用途になるのか

格納庫は自動車の車庫と同じ項に並べて置かれています。
イ 自動車車庫又は駐車場
ロ 飛行機又は回転翼航空機の格納庫
条文にある回転翼航空機とはヘリコプターのことで 格納する対象がそのまま区分の名前になっています。
イの自動車車庫とロの格納庫は 乗り物を収める建物という点では同じ並びに置かれています。
ところが次の章で見るとおり 求められる消防用設備等の要件はこのイとロで大きく分かれます。
まずは自分の建物が車を入れる側なのか航空機を入れる側なのかを 図面と実際の使われ方から確かめてください。
同じ項に並んでいるのに扱いが違うのですか。
項の番号が同じでも 政令が引くときはイとロを分けて引きます。
次の章の条文を見ると違いがはっきりします。
なぜ広さに関係なく設備が必要になるのか

ところが格納庫はその条件が付いていない側に置かれています。
一 次に掲げる防火対象物
イ 別表第一(二)項ニ、(五)項イ、(六)項イ(1)から(3)まで及びロ、(十三)項ロ並びに(十七)項に掲げる防火対象物
(略)
四 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項、(十二)項、(十三)項イ及び(十四)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が五百平方メートル以上のもの
同じ(13)項でも イの自動車車庫は第4号で延べ面積500平方メートル以上という線が引かれています。
ロの格納庫は第1号にあるので 延べ面積がどれだけ小さくても自動火災報知設備の設置対象になります。
消火設備も同じ組み立てで 消防法施行令第13条第1項の表は(13)項ロを面積の条件なしで泡消火設備又は粉末消火設備の対象に挙げています。
条文はそこまでする理由を書いていませんが 建てる前の計画段階でこの2つを見込んでおかないと後から収まらなくなります。
号がひとつ違うだけで小さな建物にも設備が要るのですね。
設計図がまとまる前に確かめておきたいところです。
あとから泡消火設備を足すのは工事が大きくなります。
格納庫の泡消火設備にはどんな泡放出口が求められるのか

泡の膨らみ方によって使う放出口の種類が分かれます。
膨脹比が二十以下の泡(以下この条において「低発泡」という。)……泡ヘッド
膨脹比が八十以上千未満の泡(以下この条において「高発泡」という。)……高発泡用泡放出口
二 泡ヘッドは、令別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物又は防火対象物の屋上部分で、回転翼航空機若しくは垂直離着陸航空機の発着の用に供されるものにあつてはフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドを、(略)駐車の用に供される部分にあつてはフォームヘッドを、(略)次に定めるところにより設けること。
イ フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドは、防火対象物又はその部分の天井又は小屋裏に床面積八平方メートルにつき一個以上のヘッドを(略)設けること。
低発泡を使う場合 格納庫と屋上の発着場にはフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドを設けることになります。
数の目安も違い 格納庫は床面積8平方メートルにつき1個以上 駐車の用に供される部分は同号ロで9平方メートルにつき1個以上とされています。
天井の高い格納庫では高発泡を選ぶこともでき この場合の泡放出口は膨脹比が80以上1000未満の泡を出すものになります。
点検票や設備図を見るときは 泡消火設備という名前だけで済ませず どの放出口が付いているのかまで確かめてください。
つまり同じ泡でもヘッドの種類まで決まっているのですね。
規則が用途ごとに書き分けています。
まずは設備図で放出口の種別を控えておいてください。
屋上に発着場がある建物で見落としやすいのはどこか

屋上の使い方によっては用途と関係なく条文が効いてきます。
別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物……泡消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の屋上部分で、回転翼航空機又は垂直離着陸航空機の発着の用に供されるもの……泡消火設備又は粉末消火設備
表の2行目は別表第一に掲げる防火対象物の屋上部分と書いているので 事務所でも病院でも当てはまります。
航空機を格納していなくても 屋上が垂直離着陸航空機を含む発着の用に供されていればその部分が対象になります。
古い建物についてはもうひとつ注意が要り 消防法第17条の2の5第1項は既存の建物の消防用設備等に新しい基準を及ぼさないと定めていますが 消火器はその括弧書きで除かれているので基準の変更がそのまま及びます。
また消防法施行令第34条の2は 床面積の合計が1,000平方メートル以上になる増築改築などを挙げており これに当たる工事をすると現行の基準で見直すことになります。
屋上の円の印は昔からあるので気にしていませんでした。
発着に使っているのか印だけなのかで扱いが変わります。
屋上の使われ方を管理権原者に確かめておいてください。
明日からなにを確認すればよいのか

格納庫の収容人員は数え方がとても単純です。
令別表第一(十)項及び(十二)項から(十四)項までに掲げる防火対象物……従業者の数により算定する。
床面積を割る項目も来訪者を足す項目も置かれていないので 整備や運航に関わる人の数がそのまま収容人員になります。
その人数が50人以上になると消防法施行令第1条の2第3項第1号ハによって防火管理者を定める義務が生じ 延べ面積500平方メートル未満であれば同令第3条第1項第2号の乙種で足ります。
消火器具は同令第10条第1項第2号イで延べ面積150平方メートル以上が対象で 防炎規制については同令第4条の3第1項が挙げる防炎防火対象物に(13)項ロは入っていません。
明日はまず屋上に発着場があるかを図面で確かめ 次に泡消火設備の放出口の種別を設備図で控え 最後に従業者の数を数え直してください。
整備の担当者を入れて数え直してみます。
常駐でない整備の担当者も従業者に含めて考えます。
名簿を持って所轄消防署に相談すると早いです。
よくある質問
まとめ
小さいから要らないと思い込んでいました。
図面を持って確かめてみます。
格納庫と屋上の発着場は面積で判断できない数少ない用途です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条の2(統括防火管理者)第1項
- 消防法第8条の3(防炎規制)第1項
- 消防法第17条(消防用設備等の設置及び維持)第1項
- 消防法第17条の2の5(適用除外)第1項及び第2項
- 消防法施行令第1条の2(防火管理者を定めなければならない防火対象物等)第3項及び第4項
- 消防法施行令第3条(防火管理者の資格)第1項
- 消防法施行令第4条の3(防炎防火対象物の指定等)第1項
- 消防法施行令第10条(消火器具に関する基準)第1項
- 消防法施行令第13条(水噴霧消火設備等を設置すべき防火対象物)第1項
- 消防法施行令第15条(泡消火設備に関する基準)
- 消防法施行令第21条(自動火災報知設備に関する基準)第1項
- 消防法施行令第34条(適用が除外されない消防用設備等)
- 消防法施行令第34条の2(増築及び改築の範囲)
- 消防法施行規則第1条の3(収容人員の算定方法)第1項
- 消防法施行規則第18条(泡消火設備に関する基準)第1項
- 消防法施行令別表第一
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





