廊下や階段の脇に段ボールを積んだままにしていると立入検査で片づけるよう言われることがあります。
屋外に置かれた物なら消防法第3条ですが建物の中に置かれた物は別の条文が受け持っています。
その条文が消防法第5条の3で罰則の重さも屋外とは違います。
この記事では建物の中の物や火の使い方に消防が命令を出せる範囲を条文の順に解説します。
廊下に置いた資材を片づけるよう言われました。
敷地の外に置いた物と同じ扱いなのでしょうか。
命じられる中身は似ていますが根拠の条文が違います。
建物の中を受け持つのは消防法第5条の3です。
条文が違うだけで結局は同じことではないのですか。
いいえ 従わなかったときの罰の重さが条文ごとに別に定められています。
その先に控えている手続も違います。
- 建物の中の物や火の使い方について命令を出す根拠は消防法第5条の3第1項です。(消防法第5条の3第1項)
- 同項は防火対象物においてと書き出しており屋外を受け持つ第3条とは別の条文です。(消防法第3条第1項)
- 特に緊急の必要があると認める場合は権原を有しない占有者や関係者も名宛人になります。(消防法第5条の3第1項かっこ書き)
- 命令に違反した者は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で屋外の第3条より重く定められています。(消防法第41条第1項第1号)
- 放置すると行政代執行や使用停止命令に進むことがあります。(消防法第5条の3第5項及び第5条の2第1項第1号)
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目次
建物の中に置かれた物に消防が命令を出せる条文はどれか

建物の中を受け持つのは消防法第5条の3第1項です。
消防長、消防署長その他の消防吏員は、防火対象物において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者(略)に対して、第三条第一項各号に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
屋外を受け持つ第3条第1項は屋外においてと書き出しているのに対し こちらは防火対象物においてと書き出しています。
命じられる措置の中身は第3条第1項各号を引いているので同じですが 根拠となる条文は別に置かれています。
また相手は物件の持ち主だけでなく行為者も並んでいるので 物ではなく火の使い方そのものに命令が向くこともあります。
受け取った書面の冒頭に書かれた根拠条項を見て 屋外の話なのか建物の中の話なのかをまず確かめてください。
同じ段ボールでも置いた場所で条文が変わるのですね。
そのとおりで条文の書き出しが分かれ目になります。
敷地と建物の内外を図面の上で線引きしておくと話が早くなります。
命令を受けるのはどんな立場の人か

例外は同じ項のかっこ書きに置かれています。
(略)物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者(特に緊急の必要があると認める場合においては、当該物件の所有者、管理者若しくは占有者又は当該防火対象物の関係者。次項において同じ。)に対して、(略)
原則の名宛人は物件の所有者と管理者と占有者のうち権原を有する者です。
ところが特に緊急の必要があると認める場合には 権原の有無を書かないまま所有者と管理者と占有者が並び さらに当該防火対象物の関係者まで加わります。
テナントが持ち込んだ物であっても 状況によっては建物の側の関係者に命令が向くことがある という構えの条文です。
自社が置いた物なのか借主が置いた物なのかを台帳で分けておくと 命令が来たときに誰が動くかで迷わずに済みます。
借主が置いた物でもこちらに話が来ることがあるのですね。
誰が権原を有するかは契約や管理の実態で決まります。
個別の当てはめは所轄消防署にご確認ください。
命令に従わなかったときの罰はどれくらい重いのか

罰則は屋外の第3条とは別の条に置かれています。
次のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 第五条の三第一項の規定による命令に違反した者(略)
同条第二項 前項の罪を犯した者に対しては、情状により拘禁刑及び罰金を併科することができる。
第5条の3第1項の命令に違反した者は第41条第1項第1号により1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。
一方で屋外を受け持つ第3条第1項の命令に従わなかった者は第44条第1号にあり30万円以下の罰金又は拘留と定められています。
さらに第41条第1項には第2項が続いており 情状により拘禁刑と罰金を併科できるとしています。
片づけの指摘を受けたら 屋外の話として軽く見ずに どちらの条文に基づく指摘なのかを書面で確かめてください。
同じ片づけの命令でも重さがここまで違うのですね。
条文ごとに罰の定めが分かれているためです。
命令書に書かれた根拠条項をそのまま控えておいてください。
命令をそのままにするとその先はどうなるのか

その先の手続はここから読み取れます。
第三条第四項の規定は第一項の規定により必要な措置を命じた場合について、第五条第三項及び第四項の規定は第一項の規定による命令について、それぞれ準用する。
消防法第五条の二第一項第一号(抜粋)
前条第一項、次条第一項、第八条第三項若しくは第四項(略)の規定により必要な措置が命ぜられたにもかかわらず、その措置が履行されず(略)引き続き、火災の予防に危険であると認める場合(略)
第5項が準用する第3条第4項は 命じられた者が履行しないときなどに行政代執行法の定めるところに従い消防職員又は第三者に措置をとらせることができるとしています。
また第5条の2第1項第1号にある次条第一項とは第5条の3第1項のことなので この命令を放置した状態は使用停止などを命じる要件の1つに数えられています。
つまり片づけの命令は それ単体で終わる指摘ではなく その先の手続の入口に置かれています。
期限が付いているときは その期限までに終わる見込みがあるかどうかを早い段階で見積もってください。
片づけを先延ばしにすると建物の使用にまで響くのですね。
条文が先行する命令の1つとして挙げているためです。
期限のある指摘から先に手を付けてください。
明日からなにを確認すればよいのか

命令が出たあとの見え方も条文に書かれています。
第三項 消防長又は消防署長は、第一項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
第四項 前項の標識は、(略)防火対象物又は当該防火対象物のある場所に設置することができる。この場合においては、(略)所有者、管理者又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
準用によって第5条の3第1項の命令にも公示の定めが及び 標識が建物やその場所に設置されることがあります。
その標識は設置を拒み又は妨げてはならないとまで書かれているので 命令を受けた側で外せるものではありません。
そこで日々の確認としては 廊下と階段と避難口の周りに置かれた物を洗い出し 誰が置いた物かを台帳に記録しておくことが先になります。
そのうえで期限の付いた指摘を上に置き 片づけの担当と完了予定日を決めてから所轄消防署に相談してください。
つまり置いた物の一覧を先に作っておけばよいのですね。
一覧があれば指摘を受けても誰が動くかがすぐ決まります。
まずは階段まわりから見て回ってください。
よくある質問
まとめ
廊下と階段に置いた物を洗い出して台帳を作ります。
指摘の根拠条項も書面から控えておきます。
置いた物の一覧があれば片づけの段取りがすぐ組めます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第3条第1項
- 消防法第5条第3項及び第4項
- 消防法第5条の2第1項第1号
- 消防法第5条の3第1項及び第5項
- 消防法第41条第1項第1号及び第2項
- 消防法第44条第1号
- 消防法第45条第3号
- 行政代執行法第2条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





