地震のあと、建物の中でけが人は何人出ると見込めばよいのでしょうか。
防災管理に係る消防計画には、人の被害を想定して書く欄があります。
ここは負傷者の人数を埋めて終わりにしてしまいがちなところです。
この記事では人的被害の想定をどう組み立てるのかを条文と消防庁のガイドラインから整理します。
うちの建物でけがをする人が何人出るかなんて見当もつきません。
それでも消防計画に書くのでしょうか。
書く欄はあります。
人数を当てる作業ではなく一定割合で起きるものとして見込む作業です。
では在館者の人数を調べればよいのですね。
ほかにも数える相手がいるのでしょうか。
います。
助ける側の従業員も一定割合で動けなくなる前提で見込みます。
- 人の被害を想定する受け皿は消防法施行規則第51条の8第1項第二号イです
- 条文は建築物その他の工作物に存する者等の被害まで想定させています
- ガイドラインは在館者数とその安全対策の程度に応じて一定割合で人的被害が発生するものとします
- 被害想定例の付与条件では従業者も一定割合で負傷し活動不能の状況にあると置かれています
- 動ける人数が減ったときにどの任務を先に行うのかまで消防計画に書きます
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目次
消防計画でいう人的被害の想定とはなにを指すのか

消防計画の想定欄は、建物と設備の話だけで埋まってしまいがちなところです。
省令が想定させているのは建築物その他の工作物の被害と、そこに存する者等の被害の両方です。
その中身を項目に分けているのが消防庁のガイドラインで、いちばん最後に置かれているのが人的被害です。
判断の材料として挙がっているのは被害全体の連関と過去の実例で、二つは並べて書かれています。
建物が壊れる話と人が動けなくなる話は別の欄になると考えると、この項目は書けるようになります。
建物と設備のことばかり書いていました。
人の被害の欄が別にあるのですね。
別の項目として置かれています。
順番でいうと最後ですが応急活動の組み方に直結する欄です。
だれが何人けがをすると想定すればよいのか

ガイドラインが示しているのは人数そのものではなく見込み方です。
消防法施行令は収容人員を、その建物に出入し勤務し又は居住する者の数と定めています。
消防法施行規則第1条の3の算定方法も、用途ごとに従業者の数を必ず合算する形になっています。
つまり在館する人には客も従業員も入るので、数える相手を客だけに絞ることはできません。
そのうえでガイドラインは、その人数と安全対策の程度に応じて一定割合で被害が出るものとして見込むよう求めています。
客の人数だけを数えていました。
従業員も同じ枠に入るのですね。
入ります。
収容人員の算定はどの用途でも従業者の数から始まります。
助ける側の人手が減る前提はどこに書くのか

人的被害は数えて終わりではなく、応急活動の体制に跳ね返ります。
ガイドラインの被害想定例は、在館者に負傷者が出ることに続けて従業者も一定割合で負傷し活動不能の状況にあるという条件を置いています。
受け皿になるのは自衛消防組織の側で、消防法施行規則第51条の10第1項は活動要領と要員に対する教育及び訓練を消防計画に定めさせています。
ガイドラインの本編も、地震時等に活動できる人数が制約されたときの実施事項の優先度を明確に記載するよう求めています。
全員そろっている前提のまま作った分担表は、この一文を満たしたことになりません。
分担表は全員いる前提で作っていました。
欠けたときの順番までは決めていません。
そこが要点です。
誰が欠けても回る順番を先に決めておくと当日は上から順に手をつけられます。
実務で見落としやすいのはどこか

どれも負傷者の人数だけを見ていると抜けるものです。
一つ目は建物の外で、ガイドラインの被害想定例は慌てて屋外へ出た人が落下物で負傷する場面まで並べています。
二つ目は動けなくなる人で、揺れに慣れていない人が落ち着きを失う場面や、高齢者や子どもがその場から動けなくなる場面も同じ欄に置かれています。
三つ目は被害どうしの連関で、火災等の発生の項目は安全対策の程度に応じて一定割合で火災が起きるとしており、その火災からも人の被害が生じます。
想定欄に負傷者の人数だけを書いて閉じると、この三つが落ちます。
建物の外へ出た人まで数えるとは思いませんでした。
閉じ込められた人も同じ欄でしょうか。
同じ欄で扱われています。
けがの有無ではなく自力で動けるかで見てください。
明日からなにを確認すればよいのか

確かめるのは三つだけです。
一つ目は在館する人の数で、用途ごとの収容人員の算定に従業者の数が入っていることを見ます。
二つ目は想定欄で、在館者の負傷に加えて従業者が一定割合で活動不能になる前提を一行書き足します。
三つ目は分担表で、動ける人数が減ったときにどの任務を先に行うのかを書き添えます。
省令は管理権原者の指示を受けて消防計画を作ると定めているので、人員の見直しが要る部分はそちら側へ相談してください。
在館する人の数と想定欄と分担表の三つですね。
明日その順で開いてみます。
その順で足ります。
書き足すのは一行ずつで構いません。
よくある質問
まとめ
人数を当てるのではなく前提を置く作業だとわかりました。
まず想定欄に一行足してみます。
その一行が分担表につながります。
消防計画の見直しでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2第3項・第45条・第46条・第48条・第49条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第1条の3・第3条第1項・第51条の8第1項・第51条の10第1項
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)本編第2・別冊1
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





