防火管理者になるには、原則として都道府県知事や消防長などが行う講習を修了する必要があります。
甲種の新規講習はおおむね10時間あり、会場へ通う日程を空けるのは簡単ではありません。
消防庁は令和4年、この講習をオンラインで実施するためのガイドラインを作り、全国の講習機関へ示しました。
この記事では、オンラインで受けられる講習の範囲と3つの実施方法、そして修了証の受け取り方を解説します。
防火管理者の講習を受けたいのですが、平日に会場へ通う時間がなかなか取れません。
オンラインで受けられる講習があります。
ただし進め方に決まりがあります。
オンラインといっても、動画を流しておけば終わるものなんでしょうか。
それでは修了になりません。
順番に確認していきましょう。
- 消防庁は令和4年8月、防火・防災管理に関する講習をオンライン化するためのガイドラインを作り、全国の講習機関へ示しました。(令和4年 消防予第428号)
- 講習の実施方法は集合型・オンライン型・ハイブリッド型の3つに区分され、オンライン型はさらにオンデマンド方式とWeb会議方式に分かれます。
- 自衛消防業務新規講習と自衛消防業務再講習は実技の実施を伴うため、オンライン型の対象外とされています。
- オンデマンド方式の講義映像は早送りやスキップができない仕様とされ、受講時間は映像が画面に最前面表示されている時間で記録されます。
- 修了証は紙発行なら郵送交付、電子発行なら電子署名を付けた電子交付とされ、様式は集合型と同じです。
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目次
防火管理者の講習をオンラインにする通知はなぜ出されたのか

政府全体でアナログ規制を見直すという流れの中で、消防庁が方針を示したものです。
デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン(令和4年6月3日デジタル臨時行政調査会)と、同年6月7日に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画で、対面講習規制を含むアナログ規制を集中的に見直すことが求められました。
同じ日に閣議決定された規制改革実施計画でも、対面講習に係る規制の見直しを速やかに検討し、可能なものから順次措置することとされています。
これを受けて消防庁が作ったのが、通知の別添である防火・防災管理に関する講習のガイドラインです。
集中改革期間は当初、令和4年7月から令和7年6月までの3年間とされましたが、令和5年1月20日の消防予第41号で、令和6年6月までの2年間を目途とするよう前倒しされたことが示されました。
オンライン講習は一部の講習機関の独自サービスではなく、国が全国へ広げようとしている方式だということです。
国の方針として決まった話なんですね。
そのとおりです。
だから進め方まで細かく決められています。
どの講習がオンラインの対象になるのか

ただし、そのすべてがオンライン型で受けられるわけではありません。
ガイドラインが対象としているのは、甲種防火管理新規講習・乙種防火管理講習・甲種防火管理再講習・自衛消防業務新規講習・自衛消防業務再講習・防災管理新規講習・防災管理再講習です。
このうち自衛消防業務の新規講習と再講習は、防災設備等の取扱いや総合訓練といった実技を伴うため、オンライン型からは外れています。
講習を行うのは都道府県知事、消防本部及び消防署を置く市町村の消防長、または総務大臣の登録を受けた法人で、消防長が実務的な部分を他団体へ委託している場合もガイドラインの対象です。
防火管理者や防災管理者になるための講習は原則としてオンラインの射程に入り、自衛消防組織の統括管理者を目指す講習だけは会場へ行くことになります。
うちは防災管理者も選任していますが、そちらの講習も対象になりますか。
防災管理の新規講習も再講習も対象です。
外れるのは自衛消防業務の講習だけです。
集合型とオンライン型とハイブリッド型は何が違うのか

名前は似ていますが、会場へ行く回数と実技の扱いが変わります。
集合型は指定された日時に会場へ集まって全課程を受ける従来の方法で、講師も会場にいる対面方式と、複数の会場へ講義映像を配信する配信方式があります。
オンライン型は職場や自宅から全課程を受ける方法で、指定された期間中の好きな時間に受けるオンデマンド方式と、指定された日時に一斉に受けるWeb会議方式に分かれます。
ハイブリッド型は講義をオンラインで受け、実技と効果測定だけを会場で行う組み合わせです。
ガイドラインは甲種防火管理新規講習の例として、おおむね10時間のうち8時間30分をオンラインの講義に、1時間30分を会場での実技と効果測定に充てる実施例を挙げています。
実技のある講習でも、講義の部分だけならオンラインでよいということですね。
ハイブリッド型はその考え方です。
会場へ行く回数を減らせます。
オンライン受講で見落としやすいのはどこか

むしろ集合型には無い決まりがいくつも置かれています。
講義映像を裏に回して別の作業をしていると、その時間は受講時間として記録されないという意味です。
オンデマンド方式では講義映像の早送りやスキップができない仕様とすることとされ、途中で止めた位置から再開できる仕様にすることも求められています。
甲種防火管理新規講習・乙種防火管理講習・防災管理新規講習では、Webカメラで定期的に受講者の顔を撮影して申請時の顔写真と照合する顔認証が行われ、適正に受講していないと判断されると映像の再生が止まります。
効果測定は30分程度かつ20問程度とされ、この時間は講習時間に含まれます。
そして修了証が交付されるのは、受講記録を確認して聴講時間を満たしている場合だけです。
聞き流しながら仕事をするつもりでしたが、それでは駄目なんですね。
その時間は記録されません。
受講する日はきちんと時間を空けておいてください。
申し込む前になにを確認すればよいのか

特に確認しておきたいのは次の4点です。
1つ目は受講環境で、講習機関はパソコン等の仕様・ネットワーク環境・Webブラウザ・必要なデータ通信量の目安をホームページ等で示すこととされています。
2つ目は顔写真付き身分証明書で、マイナンバーカードや運転免許証などを受講申請のときに提出します。
3つ目は受講期間で、オンデマンド方式の受講期間はおおむね14日間以内を目安とすることが望ましいとされており、受講用IDは受講期間を過ぎると失効します。
4つ目は修了証の交付方法で、オンライン型の紙発行は郵送交付、電子発行なら電子署名を付けた電子交付になります。
修了証の交付条件・交付方法・交付時期はあらかじめ周知することとされているので、申し込む前に講習機関のホームページで確かめておいてください。
身分証明書の画像を先に用意しておけばよいわけですね。
はい、その通りです。
次によくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
受け方の選択肢が広がっているとわかって助かりました。
選任や届出の段取りで迷ったらお声がけください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火・防災管理に関する講習のオンライン化について(通知)(令和4年8月29日 消防予第428号)及び同通知別添「防火・防災管理に関する講習のガイドライン」
- 防火・防災管理に関する講習のガイドラインの改正について(通知)(令和5年1月20日 消防予第41号)
- 消防法施行令第3条第1項第1号イ及び第2号イ・第4条の2の8第3項第1号・第47条第1項第1号
- 消防法施行規則第2条の3・第4条の2の14・第51条の7
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





