屋外にテントや木のたるを置いて楽しむサウナが全国で増えています。
これまでの消防の基準は建物のなかの浴室に置くサウナを想定して作られていました。
そこで令和8年3月31日から簡易サウナ設備という新しい区分が加わりました。
この記事では簡易サウナ設備に当たる要件と設置のときに要る備えを条文から解説します。
敷地にテントのサウナを置きたいと相談されて困っています。
屋外に置くものにも消防の基準がかかります。
去年の改正で簡易サウナ設備という区分ができました。
屋外の一時的なものだから関係ないと思っていました。
そこがいちばん誤解されているところです。
まずは要件の四つを一緒に見ていきましょう。
- 屋外のテント型やバレル型のサウナ室に設ける放熱設備は簡易サウナ設備として扱われます。(対象火気省令第3条第8号)
- 定格出力が6キロワット以下で熱源が薪か電気であることまでが要件です。(同号)
- 温度が異常に上昇したときに熱源を遮断する手動及び自動の装置を設けます。(同省令第15条第7号)
- 薪を熱源とするものは消火器の設置でこの装置に代えることができます。(同号ただし書)
- 個人が私生活のために設けるものを除き設置の届出が必要になりました。(火災予防条例(例)第44条)
▼

目次
簡易サウナ設備とは何を指すのか

入口は消防法第9条で、火を使う設備の基準を市町村の条例にゆだねる作りになっています。
消防法第9条を受けた消防法施行令第5条が条例制定基準を定め、その第1項の柱書が対象になる設備を総務省令で定めるものとしています。
その省令が対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)で、第3条には炉やふろがまや厨房設備など21種類が並んでいます。
令和7年11月12日に公布された令和7年総務省令第101号によって、この第3条第8号に簡易サウナ設備が加わりました。
同じ改正でそれまで「サウナ設備」と呼ばれていたものは第9号の一般サウナ設備という名前に変わっています。
ストーブが放熱設備という名前で出てくるのですね。
サウナ室そのものではなく熱を出す部分を指しています。
次は当てはまる範囲を見ます。
どのサウナが簡易サウナ設備になるのか

定義の条文そのものを読むのがいちばん早い道です。
一つ目は場所で、屋外その他の直接外気に接する場所に設けるものに限られます。
二つ目は形で、テントを活用したテント型サウナ室か、円筒形でかつ木製のバレル型サウナ室のどちらかに設けるものです。
三つ目は大きさで、放熱設備の定格出力が6キロワット以下であることが求められます。
四つ目は熱源で、薪か電気に限られるため灯油やガスを燃やすものは当たりません。
どれかを外れたものは第9号の一般サウナ設備となり、建物のなかの浴室に置く従来のサウナと同じ基準がそのままかかります。
四つのうちひとつでも違えば一般サウナ設備になるのですね。
そのとおりです。
次は当たったときに何を備えるかを見ます。
設置するときに何を備えなければならないのか

省令が名指ししているのは、たき殻受けと熱源を止める装置の二つです。
同省令第15条 (略) 七 簡易サウナ設備及び一般サウナ設備にあっては、その温度が異常に上昇した場合に直ちにその熱源を遮断することができる手動及び自動の装置を設けること。ただし、簡易サウナ設備(薪を熱源とするものに限る。)にあっては、その周囲において火災が発生した際に速やかに使用できる位置に消火器を設置した場合は、この限りではない。
第15条第7号は手動及び自動の両方の装置を求めており、どちらか一方だけでは足りません。
ただし薪を熱源とするものは、周囲で火災が起きたときにすぐ使える位置に消火器を置くことでこの装置に代えることができます。
薪のように固体燃料を使うものには、第10条第9号によって不燃材料で造ったたき殻受けを付ける義務も別にかかります。
消防庁予防課の通知は、代替として置く消火器を消防法施行令第10条第2項の規定の例により設置し、常に使用できる状態にしておく必要があるとしています。
薪のものは消火器を置けばよいということですか。
薪のものに限った話で電気のものは装置が要ります。
次は見落としやすいところを見ます。
簡易サウナ設備で見落としやすいのはどこか

消防庁の通知が運用上の線をはっきり書いています。
通知は定格出力等によらずと書いているので、合計が6キロワット以下におさまっていても複数台なら当たりません。
届出のほうは、個人が私生活のために設けるものだけが外れ、個人事業主が事業のために設置するものは届出が必要とされています。
建物の屋上などに置く場合は、その部分が消防法施行規則第6条第5項の「その他多量の火気を使用する場所」に当たる点にも注意が要ります。
テント型は軽いので、同省令第12条第1号が求める容易に転倒しない構造という条件が実際にはいちばん効いてきます。
台数を増やすつもりだったので危ないところでした。
増やす前にご相談いただくのが安全です。
次は確認の順番を整理します。
明日からなにを確認すればよいのか

最後に管理の義務まで押さえておけば抜けがありません。
通知は定格出力について販売・製造業者の仕様書等を確認して判断するよう求めています。
可燃物までの距離については、同じ日に公布された令和7年消防庁告示第10号により、周囲の可燃物が許容最高温度(100℃)を超えない距離か当該可燃物が引火しない距離のいずれかが確保されていればよいこととされました。
実際に何センチ離すかは製造事業者が実験で確かめた距離を参考にするよう通知が示しているので、所轄の消防署に確認するのが確実です。
取扱説明書に書かれた薪の量を守り強風時には使用しないことまでが管理に含まれます。
まず仕様書を取り寄せて定格出力を見てみます。
そこが出発点になります。
数字が分かれば所轄への相談も一度で済みます。
よくある質問
まとめ
新しい区分だと知らないまま置くところでした。
要件と届出の二つを押さえれば十分です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条・第10条第2項
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第6条第5項
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第10条・第12条・第15条
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令の一部を改正する省令(令和7年総務省令第101号)
- 対象火気設備等及び対象火気器具等の離隔距離に関する基準の一部を改正する件(令和7年消防庁告示第10号)
- 「対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令の一部を改正する省令等の公布等について」(令和7年11月12日消防予第444号)
- 「改正火災予防条例(例)の運用等について」(令和7年11月12日消防予第496号)
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第7条の2・第7条の3・第44条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





