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消防用設備等の不備を直さないと消防はなにを命じてくるのか|消防法第17条の4の設置命令と維持命令で分かれる罰則を解説

消防用設備等の不備を直さないでいるとなにを命じられるのかを示したアイキャッチ画像

立入検査や点検で消火器の不足や表示灯の不点灯を指摘されると、いつまでに直せばよいのかが気になります。
消防法は消防用設備等について設置命令維持命令という専用の条文を置いています。
そして命令に従わなかったときの罰は、設置しなかった場合と維持のための措置をしなかった場合で大きく分かれます
この記事では消防法第17条の4の命令の中身と罰則の分かれ目を条文で確かめながら解説します。

点検で誘導灯の不点灯が出たまま半年たっています。
このままだと消防から書面が届くのでしょうか。

消防用設備等には消防法第17条の4という専用の命令の条文があります。
建物全体に向けた措置命令とは別枠の仕組みです。

従わなかったらどれくらいの罰になるのですか。

そこが今日いちばんお伝えしたいところで、設置維持で条文も刑の重さも違います。
順番に条文で確かめていきましょう。

この記事の結論
  • 消防用設備等の不備を命じる根拠は消防法第17条の4第1項です。
  • 命令の相手は当該防火対象物の関係者で権原を有するものです。(消防法第17条の4第1項)
  • 命令の型は設置すべきことと維持のため必要な措置の2つに分かれます。
  • 命令に従わず設置しなかったときは1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。(消防法第41条第1項第5号)
  • 維持のための措置をしなかったときは30万円以下の罰金又は拘留です。(消防法第44条第12号)

消防用設備等の点検から指導と警告を経て設置維持命令と罰則へ進む流れを示した図解

消防用設備等の不備について消防はどの条文で命じてくるのか

事務所ビルの前で消防職員が命令の書面を建物の担当者へ手渡している場面を描いた図
はじめに書面の根拠になる条文を押さえておきます。
消防用設備等には建物全体に向けた措置命令とは別の条文が用意されています。
消防法第十七条の四第一項
消防長又は消防署長は、第十七条第一項の防火対象物における消防用設備等が設備等技術基準に従つて設置され、又は維持されていないと認めるときは、当該防火対象物の関係者で権原を有するものに対し、当該設備等技術基準に従つてこれを設置すべきこと、又はその維持のため必要な措置をなすべきことを命ずることができる。
設備専用の条文が別にあります。
消防法第5条第1項の措置命令が防火対象物の位置や構造や管理の状況まで広く対象にするのに対し、この条文は消防用設備等に絞って命令の根拠を置いています。
命ずることができるのは消防長又は消防署長で、相手方は当該防火対象物の関係者で権原を有するものと書かれています。
第2項は総務大臣の認定を受けた特殊消防用設備等について、設備等設置維持計画に従って設置され又は維持されていない場合を同じ形で定めています。
つまり届いた書面が第5条第1項の措置命令なのか第17条の4の命令なのかで、根拠も次に控える手続も変わります。
書面を受け取ったらまず条文番号の欄を読んでください。ここを取り違えると期限の意味も罰則の重さも読み違えます。

設備の話だけ別の条文になっているのですね。

そのとおりで、書面の条文番号がそのまま手続の分かれ道になります。
届いた書面はまず条文の欄を声に出して読み上げてみてください。

設置されていないと維持されていないはどう違うのか

なにも掛かっていない壁の掛け具と曲がった配管の横に消火器が置かれている場面を描いた図
条文は2つの状態を並べて書いています。
その並びは義務を定めた条文からそのまま引き継がれています。
消防法第十七条第一項
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める防火の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。
義務はもともと2つです。
関係者に課されているのは設置し維持しという並列の義務で、第17条の4第1項の命令もこの並びをそのまま受けています。
そもそも設けていない状態が設置されていないに当たり、設けてはあるが基準どおりの状態でなくなっているのが維持されていないに当たります。
判定の物差しになる設備等技術基準は消防法第17条の3の2が定義していて、そこには第17条の2の5第1項後段により適用されることとなる技術上の基準も含むと書かれています。
既存の建物では新しい基準がそのまま物差しになるとは限らず、その建物に現に適用されている基準が物差しになるということです。
自分の建物の設備がどの時点の基準で見られているのかは、点検を頼んでいる業者に確認しておくと命令の話が出たときに慌てずに済みます。

付いていない場合と壊れている場合で言い方が分かれるのですね。

その分かれ方が罰則の重さにも効いてきます。
点検票の不良の欄を設置と維持のどちらの話なのかで色分けしておきましょう。

命令に従わずに設置しなかったときはどう罰せられるのか

シャッターの閉まった店舗の前に標識が立ち別の場所で担当者が書類を確かめている場面を描いた図
ここからが罰則の話です。
設置しなかった場合は消防法の罰則の中でも重いほうに置かれています。
消防法第四十一条第一項
次のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
五 第十七条の四第一項又は第二項の規定による命令に違反して消防用設備等又は特殊消防用設備等を設置しなかつた者
消防法第四十一条第二項
前項の罪を犯した者に対しては、情状により拘禁刑及び罰金を併科することができる。
設置しなかった側は重く扱われます。
法定刑は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で、第2項により情状によっては拘禁刑と罰金を併科することもできると定められています。
さらに消防法第45条第2号は、法人の従業者などがこの違反行為をしたときに、行為者を罰するほか法人に対して3,000万円以下の罰金刑を科すと定めています。
命令が出たこと自体も外から見える形になり、第17条の4第3項が第5条第3項及び第4項を準用しているため、標識の設置その他総務省令で定める方法により公示されます。
標識の設置を拒み又は妨げてはならないことも同じ準用で及びますので、掲示を外してしまうことはできません。
設備一式の工事費より罰金のほうが高くつく場面は現実にあります。命令の書面が届く前の指導の段階で見積りだけでも取っておいてください。

会社にも罰金がかかるとは思っていませんでした。

両罰規定といって、行為者と法人の両方が対象になります。
役員会に上げる資料には条文の番号まで書いておくと話が早いです。

維持のための措置をしなかったときも同じ罰になるのか

消火器の横で作業員が記録板を持ちながら壁に付いた表示灯を見上げている場面を描いた図
同じ条文の命令なのに罰は分かれています。
維持のための措置をしなかった場合は別の条に置かれています。
消防法第四十四条
次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留に処する。
十二 第十七条の四第一項又は第二項の規定による命令に違反して消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持のため必要な措置をしなかつた者
同じ命令でも罰は分かれます。
法定刑は30万円以下の罰金又は拘留で、設置しなかった場合の第41条第1項第5号とは条も刑も別に置かれています。
法人については消防法第45条第3号が前条第12号を挙げているので、法人にも各本条の罰金刑すなわち30万円以下の罰金刑が科されることになります。
ただし軽いからといって放置してよい話ではなく、消防法第5条の2第1項第1号は第17条の4第1項又は第2項の命令が履行されない場合を使用停止命令の要件として挙げています。
維持の命令を放っておくと、罰金の話とは別に建物の使用そのものを止められる道が開かれているということです。
不点灯や圧力低下のような維持の不良こそ、点検のたびに同じ指摘が続いていないかを台帳で追いかけてください。

罰金が軽くても使用停止につながるのなら怖いですね。

使用停止命令は営業そのものに響きます。
同じ指摘が二回続いた設備から先に手配してください。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者が点検の記録をとじた書類を見ながら別の担当者と書面を受け渡している場面を描いた図
命令の入口は点検の結果です。
そこから逆算すると明日やることが決まります。
消防法第十七条の三の三
第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(略)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
入口は点検の報告です。
まず直近の点検結果報告書を開き、不良と書かれた欄がいくつ残っているかを数えてください。
次にその不良が設けていない話なのか、設けてはあるが基準どおりでない話なのかを分けます。前者は第41条第1項第5号の側、後者は第44条第12号の側につながります。
そのうえで是正の見積りと工程を用意し、命令の書面が届く前の段階で所轄消防署に工程を伝えておきます。
書面が届いてしまった場合は、条文番号と履行の期限と公示の有無の3点をその日のうちに確認してください。
命令を待たずに直すのがいちばん安く済みます。指導の段階で動けば罰則も公示も使用停止も視野に入りません。

点検票の不良の欄を分けるところから始めればよいのですね。

そこが分かれば見積りの優先順位まで決まります。
今日中に報告書を一枚めくってみてください。

よくある質問

Q点検で不良と出ただけで命令の書面が届くのですか?
A消防法第17条の4第1項が要件にしているのは設備等技術基準に従つて設置され、又は維持されていないと認めるときであって、点検結果の報告そのものを命令の要件とはしていません。実際にどの段階で書面が出るかの運用は所轄消防署にご確認ください。
Q命令はビルの所有者とテナントのどちらに届きますか?
A条文は当該防火対象物の関係者で権原を有するものと定めているだけで、所有者かテナントかという書き分けはしていません。どちらが権原を有するかは設備や区画の実態によりますので、個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
Q設置と維持で罰金の額はどれくらい違うのですか?
A設置しなかった場合は消防法第41条第1項第5号で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、維持のため必要な措置をしなかった場合は消防法第44条第12号で30万円以下の罰金又は拘留です。
Q法人そのものが罰せられることはありますか?
Aあります。消防法第45条第2号が第41条第1項第5号について法人に3,000万円以下の罰金刑を、同条第3号が第44条第12号について各本条の罰金刑を科すと定めています。

まとめ

消防用設備等の不備を命じる根拠は消防法第17条の4第1項です
命令の相手は当該防火対象物の関係者で権原を有するものです
命令の型は設置すべきことと維持のため必要な措置の2つです
物差しになるのはその建物に現に適用されている設備等技術基準です
設置しなかったときは1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です
維持の措置をしなかったときは30万円以下の罰金又は拘留です
法人にも罰金刑が科され使用停止命令に進む道もあります

まず点検結果報告書の不良の欄を数え直します。
そのうえで設置と維持に分けて見積りを取ります。

命令を待たずに直すのがいちばん安く済みます
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参考・出典

  • 消防法第5条第1項
  • 消防法第5条第3項及び第4項
  • 消防法第5条の2第1項第1号
  • 消防法第17条第1項
  • 消防法第17条の2の5第1項
  • 消防法第17条の3の2
  • 消防法第17条の3の3
  • 消防法第17条の4
  • 消防法第41条第1項第5号及び第2項
  • 消防法第44条第12号
  • 消防法第45条第2号及び第3号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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