火事のあと消防が原因を調べに来ることはよく知られています。
けれども調査に来るのが必ず地元の消防署とは限りません。
消防法は都道府県知事と消防庁長官にも調査の道を開いています。
この記事では誰が火災の原因調査を行うのかを条文で確かめながら解説します。
うちのビルでぼやがあったあと何度も調べに来られました。
あれは誰の権限でされていることなのでしょうか。
火災の原因調査は消防法が消防長と消防署長に負わせた義務です。
火事があれば着手しなければならないと条文に書かれています。
県や国の職員が来ることもあると聞きました。
そんなことが本当にあるのでしょうか。
あります。
消防本部の無い区域や特に必要と認められた場合には知事や消防庁長官が調査に入れます。
- 火災の原因調査は消防長又は消防署長が着手しなければなりません。(消防法第31条)
- 消防本部を置かない市町村の区域では都道府県知事も調査ができます。(消防法第35条の3第1項)
- 消防庁長官が調査できるのは求めがあった場合と特に必要があると認めた場合だけです。(消防法第35条の3の2第1項)
- 知事や長官が調査する場合も資料提出命令と立入検査の規定が準用されます。
- 資料を出さず立入検査を拒むと30万円以下の罰金又は拘留です。(消防法第44条第2号)
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目次
火災の原因調査は誰が行うと決まっているのか

調査の主体は運用ではなく条文そのもので決まっています。
消防長又は消防署長は、消火活動をなすとともに火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害の調査に着手しなければならない。
条文は「できる」ではなく着手しなければならないと書いているので、火災があれば消防長又は消防署長は原因の調査に入ります。
調べる中身は火災の原因と受けた損害に分かれていて、後者は焼けた財産の程度を見るものです。
放火又は失火の疑いがあるときの主たる責任及び権限も、消防法第35条第1項で消防長又は消防署長にあると定められています。
つまり建物側から見た窓口は、まず地元の消防本部か消防署だと考えておけば足ります。
消火活動に来た隊の所属を管理日誌に書き残しておくと、あとの照会が早くなります。
火事があれば必ず調べに来るということですね。
条文が着手義務として書いているところが要点です。
断る断らないという話にはなりません。
都道府県知事が原因調査をするのはどんな区域なのか

このときだけ都道府県知事が調査の主体になれます。
消防本部を置かない市町村の区域にあつては、当該区域を管轄する都道府県知事は、当該市町村長から求めがあつた場合及び特に必要があると認めた場合に限り、第三十一条又は第三十三条の規定による火災の原因の調査をすることができる。
まず前提として置かれているのが消防本部を置かない市町村の区域で、消防本部のある市町村ではこの条文は出てきません。
そのうえで市町村長から求めがあつた場合と特に必要があると認めた場合に限ると書かれています。
できる調査も第31条の原因と損害の調査、または第33条の焼けた財産の調査に絞られています。
主体が知事に代わっても、調査の種類そのものが増えるわけではありません。
自分の建物がどちらの区域にあるかは市町村の消防事務の形で決まるので、ふだんの届出先がどこかを一度確かめておくと迷いません。
うちの町は消防署ではなく役場が窓口です。
そういう区域の話なのですね。
その区域では都道府県知事が調査に入る道が開かれています。
まずは自分の町がどちらなのかを確かめてみてください。
消防庁長官が原因調査をするのはどんなときなのか

主体が一段上がるだけで枠組みは知事の場合と同じです。
消防庁長官は、消防長又は前条第一項の規定に基づき火災の原因の調査をする都道府県知事から求めがあつた場合及び特に必要があると認めた場合に限り、第三十一条又は第三十三条の規定による火災の原因の調査をすることができる。
条文の作りは知事の場合と同じで、求めがあつた場合と特に必要があると認めた場合に限られています。
求めを出せるのは消防長と、第35条の3第1項に基づいて調査をしている都道府県知事です。
できる調査はここでも第31条又は第33条で、主体が国に上がっても調査の種類は増えません。
条文が「限り」という言葉を置いているとおり、入口は消防長や知事の求めがあるかどうかで決まります。
建物側としては、来た職員の所属が消防本部なのか都道府県なのか消防庁なのかを、名刺と証票で確かめて記録に残しておけば十分です。
国まで出てくる道があるとは知りませんでした。
条文の上ではその道があります。
ただし求めがあった場合と特に必要と認めた場合に限られています。
調べる主体が代わると罰則も変わるのか

準用の規定が置かれているので義務はそのまま付いてきます。
第三十二条、第三十四条、第三十五条第一項及び第二項(勧告に係る部分を除く。)並びに第三十五条の二の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、第三十四条第一項中「当該消防職員」とあるのは「消防庁の職員」と(略)読み替えるものとする。
準用されるのは質問と資料の提出を定めた第32条、資料の提出命令と立入検査を定めた第34条などです。
知事の場合も第35条の3第2項に同じ準用があり、第34条第1項の「当該消防職員」は「当該都道府県の消防事務に従事する職員」と読み替えられます。
罰則も分かれていません。第34条第1項の資料提出や立入検査を拒めば、消防法第44条第2号で30万円以下の罰金又は拘留です。
同号は括弧書きで「第三十五条の三第二項及び第三十五条の三の二第二項において準用する場合を含む」と明記しています。
第32条第1項の資料提出や報告は同条第22号に、第33条の火災後の被害状況の調査を拒んだ場合は同条第23号にそれぞれ置かれています。
なお法人にも罰金刑が科される両罰規定(消防法第45条第3号)が挙げているのは第44条の第1号と第3号と第11号と第12号と第22号で、第2号と第23号は入っていません。
県や国が来ても書類を出す義務は同じなのですね。
断れないということですか。
そのとおりで、拒むと第44条の罰則がそのまま働きます。
求められた資料は控えを取ってから出してください。
火災のあと建物側はなにを確かめておけばよいのか

準用の中には建物側を守る規定も入っています。
第一項 消防長又は消防署長は、前条の規定により調査をするために必要があるときは、関係者に対して必要な資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員に関係のある場所に立ち入つて、火災により破損され又は破壊された財産の状況を検査させることができる。
第二項 第四条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定は、前項の場合にこれを準用する。
準用される消防法第4条第2項により、立ち入る職員は市町村長の定める証票を携帯し、請求があるときは示さなければなりません。
同条第3項では業務をみだりに妨害してはならないとされ、同条第4項では知り得た関係者の秘密をみだりに他に漏らしてはならないとされています。
同条第1項ただし書も準用されるので、個人の住居は関係者の承諾を得た場合などでなければ立ち入れません。
また第33条は関係保険会社の認めた代理者にも財産の調査を認めているので、保険の担当者が調査に加わることがあります。
明日からできるのは、出した資料の控えを一部残すこと、来訪者の所属と氏名を記録すること、証票の提示を遠慮なく求めることです。
証票を見せてくださいと言ってよいのですね。
条文にそう書かれているので遠慮は要りません。
控えを残す習慣をつけておくとあとの照会が楽になります。
よくある質問
まとめ
来訪者の所属を書き留める欄を管理日誌に足します。
出した資料の控えも必ず残すようにします!
調べる主体が誰であっても備えることは同じです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法第4条第1項から第4項まで
- 消防法第31条
- 消防法第32条
- 消防法第33条
- 消防法第34条
- 消防法第35条第1項及び第2項
- 消防法第35条の2
- 消防法第35条の3
- 消防法第35条の3の2
- 消防法第44条第2号・第22号・第23号
- 消防法第45条第3号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





