建物の運営を外の会社に任せていると、防災管理の消防計画をだれの指示で作るのかがぼやけます。
建物の中に管理権原者が一人とは限らないからです。
指定管理者制度やPFIで動いている施設では、そうした形がむしろふつうになっています。
この記事では権原の範囲を個別の消防計画にどう定めるのかを条文と消防庁のガイドラインから整理します。
うちの施設は市の建物ですが、運営はわたしどもの会社が任されています。
防災管理者はどちらが決めるのでしょうか。
決めるのは管理について権原を有する者です。
建物の中で権原が分かれていれば、その範囲を消防計画に書くことになります。
範囲というのは、フロアの区切りのようなものでしょうか。
そこも含みます。
だれがどの部分の防災管理に責任を持つのかを、個別の消防計画で線引きします。
- 防災管理の消防計画は管理について権原を有する者の指示を受けて作ります
- 権原が分かれている建物では個別の消防計画に権原の範囲を定めなければなりません
- 根拠は規則第51条の8第2項が規則第3条第3項を準用している点にあります
- 業務を外に委託しているときは受託者の氏名と住所と業務の範囲まで定めます
- ガイドラインは指定管理者制度やPFIの管理責任関係を明確に書くよう求めています
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目次
防災管理の消防計画はだれの指示を受けて作るのか

条文は防災管理者に作成を命じながら、その前に受けるべきものを置いています。
防災管理者が担うのは作成と届出で、条文はその手前に指示を受けてという一句を置いています。
建物の使い方や設備の状況をどう扱うかは、権原を持つ側の判断が先に立つという組み立てです。
運営を任されている会社の担当者が防災管理者になっている施設では、この段取りが飛ばされがちです。
いまの消防計画を開いて、だれの指示を受けて作ったものなのかが読み取れるかを見てください。
指示を受けた記録は残していません。
口頭で決めていました。
形式までは決まっていません。
計画の頭に権原者の名と役職を書いておくだけでも、あとから見た人に伝わります。
管理について権原が分かれているとはどんな状態か

これは建物の持ち主が複数いるという意味だけではありません。
消防法第36条第1項がこの規定を読み替えて準用し、同じ立場の者に防災管理者を定めさせています。
所有者が一人でも、フロアごとに別の会社が入って自分の裁量で管理していれば、権原はそこで分かれます。
総務省消防庁のガイドラインは、指定管理者制度・不動産信託制度・PFI・SPCという四つの管理形態を名指しして、その管理責任関係を明確に記載するよう求めています。
自分の施設がどの制度に当たるかを気にするより、実際にだれが管理を決めているかで線を引いてください。
建物は市のもので、運営の裁量はうちにあります。
それなら権原は分かれているということでしょうか。
そこは協定の中身しだいなので、断言はできません。
どこまでを任されているかを協定書で読み取って、所轄消防署にご確認ください。
権原の範囲は消防計画のどこに定めるのか

権原が分かれている建物には、条文がはっきりと定めを置いています。
準用の読み替えで、防火対象物は建築物その他の工作物に、防火管理者は防災管理者に置き換わります。
建物全体で一つ作れば済むという話ではなく、権原ごとに作った計画のそれぞれに範囲を書くという定めです。
ガイドラインも、まず建物全体を対象とした一体の計画を作り、そのうえで管理権原ごとに個別の計画を作ると説明しています。
図面に色を塗って区分を示しておくと、平常時の管理区分がはっきりしない場所や、重なっている場所が目に見えるようになります。
つまり全体の計画と個別の計画で役割が違うということですね。
そのとおりです。
まずは自分の受け持ちを平面図に落として、隣とぶつかっていないかを見てください。
運営を委託しているときはなにを書き足すのか

実際の業務を外の会社にやってもらっているときです。
書くのは受託者の氏名と住所で、法人であれば名称と主たる事務所の所在地になります。
それに加えて、その会社に任せた業務の範囲と方法まで定めるところまでが条文の求めです。
指定管理者やPFIの事業者が警備や設備の運転を担っている施設では、この欄が空のままになっていることがあります。
契約の業務仕様書を横に置いて、消防計画の記載と食い違っていないかを一行ずつ照らし合わせてください。
清掃と警備は別々の会社に頼んでいます。
両方とも書かないといけませんね。
防災管理の業務を担っている先であれば、そのとおりです。
会社ごとに範囲と方法を分けて書くと、あとで読む人が迷いません。
明日からなにを確認すればよいのか

権原も委託先も、時間がたてば入れ替わるからです。
ガイドラインが管理権原の範囲に挙げている記述のポイントは四つで、いずれも標準的に盛り込まれる事項として扱われています。
権原と責任の範囲、指定管理者制度などの管理形態での管理責任関係、防火と防災の管理者の一部委託、そして定期的な把握と変更の手段です。
条文の側でも、消防計画を変更するときは作成のときと同じように所轄消防長または消防署長への届出が要ります。
指定管理の期間が切り替わる年度末に、消防計画を開く予定をカレンダーへ先に入れておいてください。
指定管理の更新のたびに見直す、という一行を計画に足しておきます。
その一行があるだけで見直しの理由になります。
あわせて受託者の欄も同じ日に見るようにしておくと抜けません。
よくある質問
まとめ
所有と管理を分けて考えるのだとわかりました。
まずは協定書と消防計画を並べて権原の範囲を見直します。
そこまで進めば十分です。
権原の範囲の書き方でお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条第1項・第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第46条・第47条・第48条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第2項・第3条第3項・第51条の8
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)第2 具体的な消防計画の構成・別冊4
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





