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給湯器は入力何キロワットから消防の基準が変わるのか|簡易湯沸設備と給湯湯沸設備を分ける12キロワットの線を解説

機械室の壁に据えられた大きな給湯機と小さな湯沸器とタイル張りの台を写した記事のアイキャッチ画像

建物の給湯設備は、厨房の小さな湯沸器から機械室に据えた大きな給湯機までさまざまです。
どれも普段は給湯器と呼ばれますが、消防の規制では入力の大きさで名前そのものが変わります。
分かれ目は入力12キロワットで、ここを超えると屋内での置き方の条件が一つ増えます。
この記事では簡易湯沸設備と給湯湯沸設備の分かれ目と不燃性の床等の基準を条文から解説します。

給湯器にも消防の基準がかかるのですか。

湯沸設備は対象火気設備等として条文に名前が出ています。
しかも大きさによって二つの名前に分かれます。

大きさで扱いが変わるとは知りませんでした。

入力12キロワットが種類の分かれ目になります。
届出がいるかどうかの線はこれとは別に引かれています。

この記事の結論
  • 湯沸設備は消防法第9条を受けた火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
  • 入力12キロワット以下が簡易湯沸設備で、それ以外が給湯湯沸設備です。(省令第3条第10号・第11号)
  • 屋内に設ける対象火気設備等は不燃性の床等の上に設けるのが原則です。
  • 簡易湯沸設備はこの不燃性の床等の求めから名指しで外されています。(省令第6条第2号)
  • 設置の届出が要るのは入力70キロワット以上の給湯湯沸設備です。

湯沸設備は入力12キロワット以下が簡易湯沸設備で12キロワットを超えると給湯湯沸設備になり屋内では不燃性の床等の上に置き入力70キロワット以上なら設置の届出が要ることをまとめた図解

湯沸設備は消防の規制でどう呼び分けられているのか

建物と小さな壁掛けの湯沸器と大きな据置きの給湯機を並べて描いた図
給湯器という言い方は日常のもので、条文には出てきません。
省令は湯沸設備という言葉を使い、これを二つに分けて並べています。
対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条 令第五条第一項各号列記以外の部分の総務省令で定めるものは、第一号から第十三号までに掲げる設備から配管設備等を除いたもの及び第十四号から第二十一号までに掲げる設備とする。 一 炉 (略) 五 ボイラー (略) 十 簡易湯沸設備(入力が十二キロワット以下の湯沸設備をいう。以下同じ。) 十一 給湯湯沸設備(簡易湯沸設備以外の湯沸設備をいう。以下同じ。) 十二 燃料電池発電設備(略) (略)
分かれ目は入力です。
省令第3条は対象火気設備等を21種類挙げていて、湯沸設備はそのうちの第10号と第11号です。
入力が12キロワット以下のものを簡易湯沸設備といい、それ以外の湯沸設備を給湯湯沸設備といいます。
どちらも第一号から第十三号までの並びに入るので、炉やふろがまやボイラーと同じ側に置かれていることになります。
名前が二つに分かれること自体が、このあと見る基準の当たり方の違いにつながっています。

炉やボイラーと同じ並びだったのですね。

並びの位置がそのまま扱いの違いにつながります。
まずは本体の銘板で入力の数値を確かめてください。

入力が12キロワットを超えるとなにが変わるのか

床の上に直接置いた小さな湯沸器と厚い台の上に置いた大きな給湯機を並べて描いた図
名前が変わるだけなら実務は動きません。
実際に動くのは、屋内に置くときの床の条件です。
同省令第6条(屋内において総務省令で定める不燃性の床等の上に設けることを要しない場合) 令第五条第一項第三号の防火上支障がないものとして総務省令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とする。 一 対象火気設備等を不燃材料のうち金属で造られた床上又は台上に設ける場合に、当該対象火気設備等の底面の通気を図る等、直接熱が伝わらない措置が講じられた場合 二 対象火気設備等が簡易湯沸設備又は燃料電池発電設備である場合
免除に名指しされているのは小さいほうだけです。
消防法施行令第5条第1項第3号は、屋内に設ける対象火気設備等を不燃性の床等の上に設けることを求めています。
省令第6条はその例外を二つ置いていて、第2号で名前を挙げられているのは簡易湯沸設備と燃料電池発電設備の二つだけです。
入力が12キロワットを超えて給湯湯沸設備になると、この免除から外れて床の条件がそのままかかります。
離隔距離を定めた別表第一も、簡易湯沸設備の欄は12キロワット以下、給湯湯沸設備の欄は12キロワットを超えるものという入力で書き分けられています。

大きいほうだけ床の条件が残るということですか。

そのとおりで、免除の側に名前が無ければ原則どおりに戻ります。
機械室に据えた大きな給湯機は下の床から見てください。

不燃性の床等とはどんな床を指すのか

金属の台に直接置いた湯沸器と禁止の印とタイル張りの台に置いた湯沸器と可の印を描いた図
不燃なのだから鉄板でよいはずだ、と考えたくなります。
ところが条文は、そこをはっきり外しています。
同省令第7条(不燃性の床等) 令第五条第一項第三号の総務省令で定める不燃性の床等は、不燃材料のうち金属以外のもので造られた床若しくは台又は土間とする。
金属はここから外れています。
省令第7条が挙げているのは不燃材料のうち金属以外のもので造られた床か台、または土間です。
コンクリートやタイルや石の台は当てはまりますが、鉄板の架台をそのまま置いただけでは当てはまりません。
ただし前の見出しで読んだ省令第6条第1号が逃げ道を用意していて、金属で造られた床上や台上でも底面の通気を図る等の直接熱が伝わらない措置を講じたのなら認められます。
金属の架台を使うのなら、脚を立てて底面に空気が通る状態にしたうえで、その状態を写真に残しておくと立入検査での説明が早くなります。

つまり金属の台なら下を浮かせておけばよいのですね。

底面に熱が直接伝わらない状態にすることが条件です。
据付の写真を点検の記録と一緒に残しておいてください。

届出が要らない大きさなら基準もかからないのか

書類を持った人と消防署の窓口と大きな給湯機とガスの配管を描いた図
届出の話と基準の話は、同じ大きさで動くとはかぎりません。
湯沸設備は、その差がとくにはっきり出る設備です。
同省令第8条(消費熱量) 令第五条第一項第四号の総務省令で定める消費熱量は、三百五十キロワット(厨房設備にあっては、同一室内に設ける全ての厨房設備の入力の合計が三百五十キロワット)とする。
線は二本あります。
火災予防条例(例)第44条は、設置の届出が要るものとして入力70キロワット以上の給湯湯沸設備を挙げています。
同じ号に並ぶボイラーのほうには入力の下限が付いていないので、書き分けられているのが読み取れます。
一方で位置と構造と管理の基準は消防法施行令第5条と省令が受け持っていて、そちらの分かれ目は12キロワットです。
入力を合計して見るしくみが置かれているのは厨房設備だけなので、湯沸設備は一台ごとに入力を見ることになります。

届出をしていないから関係ない、とは言えないのですね。

届出の下限と基準の分かれ目は別の条文が持っています。
手元の機器を二本の線それぞれに当てて仕分けてみてください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検票を持った人と銘板の付いた湯沸器と物差しと消防署の建物を描いた図
確認する順番を決めておくと迷いません。
入力と置き場所と届出の三つを、この順に見ていきます。
消防法施行令第5条第1項 (略) 十一 対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと
銘板の入力から始めます。
まず本体の銘板で入力を読み、12キロワット以下か超えるかで種類を仕分けます。
超えるものが屋内にあるなら、その下がコンクリートや土間になっているか、金属の台なら通気の措置があるかを見ます。
入力70キロワット以上のものは設置の届出の対象なので、届出書の控えが手元に残っているかを確かめます。
最後に市町村の火災予防条例そのものを開いて、号の番号と数値が例と同じかどうかを突き合わせておきます。

銘板と床と届出書の三つを見ればよいわけですね。

その三つを消防計画の自主検査の項目に足しておくと毎年たどれます。
写真を添えておけば交代した担当者にも伝わります。

よくある質問

Q家庭用の壁掛け給湯器も対象火気設備等になりますか?
A省令第3条第10号は入力が12キロワット以下の湯沸設備を簡易湯沸設備としていて、家庭用かどうかで分ける書き方をしていません。もっとも火災予防条例(例)第44条の届出のほうは個人の住居に設けるものを除いています。基準のかかり方と届出の要否は別々に書かれているので、実際の適用は所轄消防署に確かめてください。
Q入力が12キロワットちょうどのときはどちらになりますか?
A省令第3条第10号は入力が十二キロワット以下の湯沸設備を簡易湯沸設備としているので、ちょうど12キロワットのものは簡易湯沸設備に入ります。給湯湯沸設備は簡易湯沸設備以外の湯沸設備という書き方なので、12キロワットを超えるものがこちらに回ります。銘板の数値の読み方に迷うときは、機器の仕様書を持って相談してください。
Qボイラーとして扱われるものも給湯湯沸設備の届出が要りますか?
A火災予防条例(例)第44条はボイラーと入力70キロワット以上の給湯湯沸設備を同じ号に並べたうえで、労働安全衛生法施行令第1条第3号のボイラーに当たるものを除いています。同じ機器が二つの名前で重ねて届出の対象になることは想定されていない書き方です。どちらで整理するかは機器の仕様によりますので、所轄消防署に確かめてください。
Q基準の特例を定めた表に湯沸設備の欄が無いのはどう読めばよいですか?
A省令第17条の表に欄があるのは火花を生ずる設備から急速充電設備までの八種類で、いずれも省令第3条の第十四号から第二十一号までの側のものです。消防法施行令第5条第3項が火を使用する設備以外のものにしか特例を認めていないためで、第十号と第十一号の湯沸設備はそもそも特例に乗る資格がありません。表に無いということは、基準がそのままかかるという意味になります。

まとめ

湯沸設備は火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
入力12キロワット以下が簡易湯沸設備で、それ以外が給湯湯沸設備です。
屋内に設ける対象火気設備等は不燃性の床等の上に設けるのが原則です。
簡易湯沸設備は省令第6条第2号でこの求めから外されています
不燃性の床等は不燃材料のうち金属以外のもので造られた床や台や土間です。
金属の台でも底面の通気を図る等の措置を講じたのなら認められます。
設置の届出が要るのは入力70キロワット以上の給湯湯沸設備です。

まずは本体の銘板で入力を確かめてみます!

種類の分かれ目と届出の下限は別に見るのが近道です
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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第5条・第6条・第7条・第8条・第17条・別表第一
  • 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第44条
  • 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第1条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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