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消防署の立入検査前に準備すべきこと3つ(飲食店、マンション、工場)

ある日、消防署から『〇〇月〇〇日に立入検査に伺います。』と電話がかかってきたことはありませんか?

いきなり消防署から電話がかかってきたらびっくりしますよね。

防火対象物(消防法に基づいて消防用設備等の設置義務が生じる用途の建物)に対して消防署が実施する「立入検査」および立入検査の準備、その後の「違反処理」について現役の消防設備士が解説していきます。

1.立入検査とは

立入検査とは、消防署職員が管轄区域内の防火対象物に立ち入って検査および建物関係者に質問することです。

立入検査の周期
消防署は管轄区域内の建物を2~4年で1回は立入検査できるように回っています。

立入検査の項目

検査の内容は主に3つ挙げられます。

  • ①消防設備の維持管理についての検査
  • ②防火管理、防災管理についての検査
  • ③火気の使用または取扱いに関する検査

立入検査の連絡は、主に建物の所有者宛に届きます。

※事実上管理者のような立ち位置のテナント宛に声がかかることもあります。

これらの立入検査で確認する項目は「立入検査マニュアル」で規定されています。

重点的な立入検査を実施すべき消防法令違反
  • 消防用設備等(特殊消防用設備等)点検の未実施又は点検結果の未報告
  • 廊下、階段、避難口等の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が存置されているもの。
  • 防火戸等についてその閉鎖の支障になる物件が存置されているもの。
  • 消防用設備等が技術上の基準に従って設置されていない又は適切に維持管理されていないもの。

その他、用途別に以下の通り立入検査で指導されやすい項目は決まっているので、消防署の立入検査前に以下の項目を確認しておきましょう!

立入検査の準備3つ(※飲食店の場合)

  • 防炎物品でない「のれん」等を新たに設置していないか
  • 避難階段や防火扉前に空き瓶のケースやガスボンベ等の資材を積んでいないか
  • 屋内消火栓の扉が座席やテーブルで開閉しにくい状態になっていないか

立入検査の準備3つ(※マンションの場合)

  • 避難経路となる共用部分に住人の私物が置かれていないか
  • 避難器具の降下地点に自転車や車などが停まっている状態になっていないか
  • 防火扉がロープ等で常時開いた状態で固定されていないか

立入検査の準備3つ(※工場の場合)

  • 指定数量を超える危険物が置かれていないか
  • 勝手に中二階やプレハブ小屋を作っていないか
  • 消防計画通り(だいたい半年に一度)に消防訓練を実施しているか

2.立入検査結果通知書と改善計画

立入検査が行われると、後日「立入検査結果通知書」が届きます。

不備・不適がある場合は、不備欠陥事項欄にその内容が記されていますので、この内容が行政指導の具体的内容になります。

消防法令違反の是正を求める指導、勧告、助言を ❝行政指導❞ と言います。

改善計画書を消防署に提出

消防法令違反を含む指導事項に対しては、「△△月△△日までに、〇〇を設置および▢▢の改善を行います」といった具合で、改善措置の内容・方法について改善計画書に記載をして消防署に報告します。

ただし立入検査結果報告書で指導された内容が「消防法 第17条の3の3の点検(消防用設備点検)を実施し、その結果を報告せよ」の様に、すぐ実施できる内容の場合は改善計画書の提出を省略して点検・報告するだけ構わないとしている消防署がほとんどです。

消防署の違反処理スキーム

消防法令違反や火災予防上の危険に対して、建物関係者の改善意思や進捗状況が確認できない場合には、「行政指導」→「警告」→「命令」→「刑事告発」と段階を追って消防署による違反処理は強制力を増していきます。

警告までは消防法令違反の是正や火災予防上の危険に対しての改善を促すものであり、法的な義務は発生していません。

3.違反処理について

行政指導で消防法令違反が是正されない等の場合については行政処分を行うこととなり、命令以降が該当します。

命令とは、具体的な火災発生の危険のある状況の改善や消防法令違反などの是正について義務を課すものであり、法的措置をもって違反処理=罰則の対象となることから、間接的にその履行を強制するものです。

命令がなされた際に、公示や罰則の対象となります。

公示とは?

公示は、その建物等に火災予防上の危険があることや、消防法令違反があることを周知するために建物に「消防法に違反している建物であるため、使用禁止となっています」等といった貼り紙がされることをいいます。

利用者や近隣の建物等の関係者等の第三者が、不測の損害を被ることを防ぐことを目的としています。

命令違反については刑事罰が科される可能性があります。

ここで注目したい点が、ハード面(設備)の設置および維持管理についての罰則だけでなく、 ソフト面(防火管理業務)の点検・管理についても罰則がある ということです。

まとめ

  • 立入検査とは、消防署職員が管轄区域内の防火対象物について検査及び質問すること
  • 違反処理とは、違反の是正等に義務を課し公示や罰則をもってその履行を強制させる
  • ソフト面(防火管理業務)への指導および罰則までが定められている
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