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地震のあと建物の被害はどうやって確かめるのか|情報の集約手順と対応の優先順位の定め方を解説

地震のあと建物の被害はどうやって確かめるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

大きな地震で揺れがおさまったあと、建物の中で何が起きているのかを最初につかむのは、防災センターに集まってくる情報です。
ところが消防計画を開くと、通報連絡や避難誘導は書いてあるのに、被害の情報をどうやって集めて誰に上げるのかが空白のままになっていることがあります。
情報が上がってこなければ、救出に人を向けるのか、在館者を外へ出すのか、その場にとどめるのかを決めようがありません。
地震のあとの被害状況の確認は、消防計画に書いておく事項です

地震のあと、うちの建物がどうなっているのかを誰がどうやって確かめるのか決めていません。
放送の文例までは用意したのですが、そこから先が止まってしまいます。

そこは被害状況の確認という項目で、消防計画に書いておく事項です。
集める手段と、集めた情報を誰に上げるのかまで決めておきます。

うちには総合操作盤も監視カメラもあります。
ただ、誰がそれを見て報告するのかまでは決まっていません。

機器があっても、見る人と伝える先が決まっていなければ情報は止まります。
そこを埋めるのが自衛消防組織の情報の収集及び伝達という業務です。

この記事の結論
  • 地震のあとの被害状況の確認は、消防法施行規則第51条の8第1項第二号ホの応急措置につながる事項です
  • 情報を集めて伝える役目は、消防法施行規則第4条の2の11第二号が置く情報の収集及び伝達という業務です
  • 集めた情報は統括管理者に集約し、必要に応じて隊員や在館者へ伝えます
  • 優先して集める情報を決めていないと、集まった情報を読み解けないまま時間が過ぎます
  • 確認の手段と集約の手順は消防計画に具体的に書いておきます

地震のあとの被害情報を集めて集約し優先順位を決めるまでの流れを示した図解

地震のあとに確かめる被害の状況とはなにを指すのか

地震のあとに建物の各階の被害を確かめる担当者のイラスト
地震の被害は、火災のように一か所から広がるとは限りません。
建物のあちこちで同時に起きるので、まず全体像を集めるところから始まります。
消防法施行令第四十五条 法第三十六条第一項の火災以外の災害で政令で定めるもの(略)は、次に掲げる災害とする。/一 地震(略)/消防法施行規則第五十一条の八第一項第二号ホ 地震発生時における通報連絡、避難誘導、救出、救護その他の地震による被害の軽減のための応急措置に関すること
応急措置を選ぶための前段です
通報連絡も避難誘導も救出救護も、どこで何が起きているかが分からなければ動かせません。
消防法施行規則第51条の8第1項第二号ホは、これらをまとめて応急措置として防災管理に係る消防計画に定めさせています。
総務省消防庁の大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドラインは、その手前に発生時の被害状況の確認という項目を置き、確認手段と情報収集、情報集約の手順を具体的に書くよう求めています。
自分の建物の消防計画に、揺れがおさまったあと最初に何を確かめるのかが書かれているかを見てください。

応急措置の前に、確かめる工程が別にあるということですか。
そこは意識していませんでした。

動かす前に、どこへ動かすかを知る工程です。
ここが空白だと、人を出す順番を決められません。

建物全体の被害はどんな手段で集めるのか

総合操作盤や監視カメラで建物の被害情報を集める様子のイラスト
集める役目は、あらためて作らなくても建物の中にあります。
自衛消防組織の業務として、条文が最初から置いているためです。
消防法施行規則第四条の二の十一 自衛消防組織には、次の各号に定める業務について、それぞれおおむね二人以上の要員を置かなければならない。/一 火災の初期の段階における消火活動に関する業務/二 情報の収集及び伝達並びに消防用設備等その他の設備の監視に関する業務/三 在館者が避難する際の誘導に関する業務/四 在館者の救出及び救護に関する業務
集める役目は組織の中にすでにあります
消防法施行規則第4条の2の11第二号は、情報の収集及び伝達と設備の監視をひとつの業務として置き、おおむね二人以上の要員を求めています。
防災管理対象物は消防法施行令第46条により消防法施行令第4条の2の4の防火対象物とされているので、この組織は地震のときも同じ建物の中にあります。
総務省消防庁のガイドラインは、把握の手段として総合操作盤や自動火災報知設備、監視カメラ、設備モニタ、従業員からの速報を例に挙げています。
条文は機器を指定していないので、自分の建物にある手段を書き出すところから始められます。

機器の名前は条文に書いていないのですね。
それなら、うちにあるものを並べれば足りそうです。

そのとおりです。
並べたら、それぞれを誰が見るのかまで書き添えてください。

集めた情報は誰にどうやって集約するのか

各地区隊から統括管理者へ被害情報が集約される流れのイラスト
集めた情報がばらばらの場所に届くと、全体像は誰にも見えません。
行き先を一か所に決めておくのはそのためです。
消防法施行令第四条の二の八第二項 統括管理者は、自衛消防組織を統括する。/消防法施行規則第四条の二の十第一項第一号 火災の初期の段階における消火活動、消防機関への通報、在館者が避難する際の誘導その他の火災の被害の軽減のために必要な業務として自衛消防組織が行う業務に係る活動要領に関すること
情報の行き先は一か所にします
消防法施行令第4条の2の8第2項は、統括管理者が自衛消防組織を統括すると定めています。
総務省消防庁のガイドラインは、統括管理者が各地区隊の通報連絡班から上がってきた情報で被害情報を確認し、収集した情報を必要に応じて隊員や在館者に伝達すると例示しています。
この上げ方と下ろし方が活動要領で、消防法施行規則第4条の2の10第1項第一号により消防計画に定めます。
上げ先が決まっていない建物では、同じ報告が二重に届き、誰も見ていない場所ができます。

つまり、上げる先を統括管理者に一本化して、そこから下ろすということですね。
紙の様式まで作っておくと迷わずにすみそうです。

様式があると、聞き漏らしが減ります。
階と場所、けが人の有無、閉じこめの有無を書ける欄を作っておいてください。

実務で見落としやすいのはどこか

整理されていない情報と優先順位を付けた情報を並べたイラスト
手段を並べて上げ先を決めると、そこで終わりにしてしまいがちです。
ところが条文は、その先の判断まで消防計画に求めています。
消防法施行規則第五十一条の八第一項第二号イ 地震発生時における建築物その他の工作物及び建築物その他の工作物に存する者等の被害の想定並びに当該想定される被害に対する対策に関すること
集めるだけでは足りません
消防法施行規則第51条の8第1項第二号イは、被害の想定と、その想定される被害に対する対策を消防計画に定めさせています。
何が起きうるかを先に決めていないと、上がってきた情報のどれが重いのかを判断できません。
総務省消防庁のガイドラインは、優先して収集すべき情報として負傷者数、閉じこめ者数、火災等2次災害の有無、構造等損壊を挙げ、被害の内容と程度に応じた対応の優先順位の判断方法を書くよう求めています。
人命を優先するのか、避難手段の確保を優先するのか、機能の維持を優先するのかという物差しを、揺れる前に置いておくということです。

優先順位まで書くとなると、当日の状況によって変わりませんか。
先に決められるものなのか迷います。

決めておくのは結論ではなく判断の物差しです。
物差しさえあれば、当日はそこに当てはめるだけになります。

明日からなにを確認すればよいのか

消防計画を開いて被害状況の確認の手順を確かめる場面のイラスト
ここまでを自分の建物に置き換えると、確かめる場所は限られます。
消防計画と、機器の前に座る人の2つです。
消防法施行令第四十八条 防災管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防災管理対象物についての防災管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。/3 防災管理者は、防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防災管理対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない
まず自分の消防計画を開きます
被害状況の確認にあたる項目があるか、無ければどこに書き足すのかを決めます。
次に使える手段を書き出し、総合操作盤や監視カメラの前に誰が座るのか、居ない時間帯は誰が見に行くのかまで書きます。
上げ先を統括管理者に一本化し、優先して集める情報をあらかじめ決めます。
消防法施行令第48条第3項は必要に応じて管理権原者の指示を求めて誠実に職務を行うことを求めているので、機器の増設や人の配置が要る部分はそこで相談します。

まず計画を開いて、手段と上げ先と集める情報を書き足すという順番ですね。
今週の点検のときに合わせて見てみます。

その順番で進めてください。
書き足したら、次の訓練でその手順どおりに情報が上がるかを試してみてください。

よくある質問

Q被害状況の確認は防火管理の消防計画にも書くのですか?
Aどちらにも関係します。自衛消防組織の活動要領は消防法施行規則第4条の2の10第1項第一号により防火管理に係る消防計画に定め、地震による被害の軽減にあたる部分は消防法施行規則第51条の8第1項第二号により防災管理に係る消防計画に定めます。同じ建物で両方が動きます。
Q総合操作盤や監視カメラがない建物ではどうすればよいですか?
A条文は機器を指定していません。消防法施行規則第4条の2の11第二号が求めているのは、情報の収集及び伝達と設備の監視という業務と要員です。総合操作盤は消防法施行規則第12条第1項第8号により防災センター等に設けるもので、対象になる建物は限られます。人が見て回って報告する経路でも、書いてあれば手順になります。
Q集めた情報は在館者にも伝えるのですか?
A総務省消防庁のガイドラインは、統括管理者が収集した情報を必要に応じて隊員や在館者に伝達すると例示しています。館内放送の文例を先に用意しておくと、揺れたあとに言葉を探さずにすみます。
Q対応の優先順位まで消防計画に書けるものですか?
A書くのは個別の結論ではなく判断の方法です。人命を優先する、避難手段の確保を優先する、機能の維持を優先するといった物差しを先に置いておけば、当日はその物差しに当てはめるだけになります。

まとめ

地震のあとの被害状況の確認は、防災管理に係る消防計画に書いておく事項です
根拠は消防法施行規則第51条の8第1項第二号ホの応急措置で、その手前に置かれる工程です
集めて伝える役目は消防法施行規則第4条の2の11第二号の情報の収集及び伝達という業務です
防災管理対象物は消防法施行令第46条で自衛消防組織設置防火対象物と同じ範囲なので、組織はすでに建物の中にあります
情報の行き先は統括管理者に一本化し、活動要領として消防計画に定めます
優先して集める情報と、対応の優先順位の判断方法を先に決めておきます
機器の増設や人の配置が要る部分は管理権原者に相談します

集める手段と上げ先まで書いておけば、当日は物差しに当てはめるだけですね。
明日、消防計画の応急措置のところを開いてみます。

それで十分に前へ進みます。
書き方や訓練の組み立てで迷われたら、㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第36条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第4条の2の8・第45条・第46条・第48条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の10・第4条の2の11・第12条第1項第8号・第51条の8
  • 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年3月)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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