消防用設備等の義務は建物が何階建てかで大きく変わります。
ところがその階数の数え方は消防法令のどこにも書かれていません。
屋上の塔屋や地階の倉庫は建築面積の八分の一という基準で階数から外れます。
この記事では建物の階数の数え方を条文から解説します。
うちのビルが何階建てなのか書類によって違って書かれていました。
屋上や地階に階数に入らない部分があると見え方が変わります。
数え方そのものが条文で決められています。
階数が一つ違うだけで設備の義務は変わるのでしょうか。
変わります。
スプリンクラー設備や非常コンセント設備は地階を除く階数が11以上という線で義務が切り替わります。
- 階数の算定方法を定めているのは建築基準法施行令第2条第1項第8号です。
- 屋上部分と地階の倉庫等は水平投影面積の合計が建築面積の八分の一以下なら階数に算入されません。(同号前段)
- その水平投影面積は建築面積の算定方法で測ります。(同条第4項)
- 吹抜けや段地で部分によって階数が異なるときは最大の階数によります。(同号後段)
- 消防法施行令は地階を除く階数が11以上といった形で設備の義務を切り分けています。
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目次
建物の階数はどの法令が決めているのか

数え方を定めているのは建築基準法施行令のほうです。
次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、当該各号に定めるところによる。(略)
八 階数
昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。
また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。
条文は屋上部分と地階の一部を除いたうえで数えると決めています。
一方の消防法施行令はこの語を定義せず そのまま基準として使っています。
たとえばスプリンクラー設備は地階を除く階数が11以上の防火対象物に義務づけられ(令第12条第1項第3号) 非常コンセント設備も同じ線で切られています。(令第29条の2第1項第1号)
つまり階数の数え方を誤ると 消防用設備等の要否そのものを誤ることになります。
自分の建物の階数を確かめたいときは 消防法令ではなく建築基準法施行令第2条を開いてください。
消防の話なのに建築基準法を見るのですね。
消防法施行令には階数の定義規定が置かれていません。
算定方法は建築基準法施行令第2条第1項第8号の側にあります。
屋上の塔屋はどんなときに階数から外れるのか

どんな部分かという条件と どれだけの広さかという条件です。
二 建築面積
建築物(地階で地盤面上1メートル以下にある部分を除く。(略))の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもの(略)で当該中心線から水平距離1メートル以上突き出たもの(略)がある場合においては、その端から水平距離1メートル後退した線(略))で囲まれた部分の水平投影面積による。(略)
4 第1項第6号ロ又は第8号の場合における水平投影面積の算定方法は、同項第2号の建築面積の算定方法によるものとする。
第8号が挙げている屋上部分は昇降機塔 装飾塔 物見塔その他これらに類するものです。
エレベーターの機械室や階段室の頭のような部分がこれにあたり その水平投影面積の合計が建築面積の八分の一以下であれば階数に算入されません。
このとき比べる二つの面積は どちらも第2号の建築面積の算定方法で測ります。(同条第4項)
建築面積は外壁の中心線で囲まれた水平投影面積なので 軒やひさしが1メートル以上突き出ていればその端から1メートル後退した線で測ることになります。
屋上に部屋が乗っているというだけで判断せず 図面の面積表で八分の一以下に収まっているかを見てください。
屋上にあれば何でも外れるわけではないのですね。
条文はこれらに類する建築物の屋上部分と限っています。
面積の条件とあわせて二つとも満たす必要があります。
地階の倉庫や機械室はどう扱われるのか

ただし条文が挙げている部分の種類は屋上部分と違います。
二 地階
床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。
消防法施行令第10条第1項(抜粋)
五 前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一に掲げる建築物の地階(地下建築物にあつては、その各階をいう。以下同じ。)、無窓階(建築物の地上階のうち、総務省令で定める避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない階をいう。以下同じ。)又は3階以上の階で、床面積が50平方メートル以上のもの
第8号は地階について倉庫 機械室その他これらに類する建築物の部分を挙げており 屋上部分の例示には倉庫が入っていません。
その地階が建築面積の八分の一以下であれば 階数には算入されないことになります。
ここで注意したいのは 階数から外れても地階でなくなるわけではないという点です。
消火器具は地階の床面積が50平方メートル以上で対象になり(令第10条第1項第5号) 自動火災報知設備は地階の床面積が300平方メートル以上で対象になります。(令第21条第1項第11号)
地階かどうかは建築基準法施行令第1条第2号の高さの割合で決まるので 半地下の部屋がある建物では実際に測ってみてください。
階数に入らないなら設備も要らないと思っていました。
そこは別の話です。
消防法施行令は地階の床面積を見て義務を掛けているので階数から外れても対象になります。
実務で見落としやすいのはどこか

とくに使い方が変わったときと 面積の言葉が二通りあるときです。
三 床面積
建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
四 延べ面積
建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第52条第1項に規定する延べ面積(略)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
イ 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(略)の用途に供する部分(略)
ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(略)
一つめが屋上部分の使い方で 第8号は昇降機塔などに類する屋上部分だけを不算入としているため 使い方が変わればこの条件から外れることがあります。
二つめが階数の数え方で 吹抜けがある場合や敷地が斜面又は段地である場合は最大の階数によると同号後段が定めています。
三つめが延べ面積の言葉で 駐車場や備蓄倉庫を算入しないという第4号ただし書きは法第52条第1項に規定する延べ面積すなわち容積率の算定に係るものに限られています。
消防法施行令が使う延べ面積は第4号本文の各階の床面積の合計そのものなので 駐車場があっても差し引けません。
増築や改装のたびに この三つを図面と現況の両方で確かめておくと指摘を受けにくくなります。
駐車場の分は面積から引けると聞いたことがあります。
それは容積率を計算するときの延べ面積の話です。
条文のただし書きは法第52条第1項の延べ面積に限って適用されます。
明日からなにを確認すればよいのか

階数が動けば消防用設備等の当てはめも動きます。
三 別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ及び(16)項イに掲げる防火対象物で、地階を除く階数が11以上のもの(総務省令で定める部分を除く。)
消防法施行令第25条第1項(抜粋)
避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び11階以上の階を除く。)に設置するものとする。
一段めが書類で 確認申請の図書や検査済証に付いている面積表から建築面積と階数を読み取ります。
二段めが現況で 屋上の塔屋と地階の部屋がいま実際に何に使われているかを見て歩きます。
三段めが当てはめで 地階を除く階数が11以上ならスプリンクラー設備と非常コンセント設備が入り 避難器具は避難階及び11階以上の階が対象から外れます。
書類の階数と現況が食い違っていたら そのままにせず建築部局と所轄消防署の両方に相談してください。
階数の判断そのものは特定行政庁が行うものなので 自主的な結論だけで設備を減らすことは避けます。
まず面積表を出してくるところから始めます。
面積表があれば八分の一の当てはめはその場でできます。
そのうえで屋上と地階の使い方を見に行ってください。
よくある質問
まとめ
階数の数え方に条文があることを知りませんでした。
まず面積表と屋上の使い方を突き合わせてみます。
階数が動けば消防用設備等の当てはめも動きます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 建築基準法施行令第2条(面積、高さ等の算定方法)第1項第2号 第3号 第4号及び第8号並びに第3項及び第4項
- 建築基準法施行令第1条(用語の定義)第2号
- 建築基準法第52条第1項
- 消防法施行令第10条(消火器具に関する基準)第1項第5号
- 消防法施行令第12条(スプリンクラー設備に関する基準)第1項第3号
- 消防法施行令第21条(自動火災報知設備に関する基準)第1項第11号
- 消防法施行令第25条(避難器具に関する基準)第1項
- 消防法施行令第29条の2(非常コンセント設備に関する基準)第1項第1号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





