大きな地震が起きた瞬間に、建物の中で最初に決めなければならないのは誰が全体に指示を出すかです。
自衛消防組織には統括管理者が置かれますが、その人がいつも建物にいるとは限りません。
出張や休暇で不在の時間帯に災害が起きれば、指揮を執る人が空白になります。
だから消防計画には代行者と代行の順番まで書いておくことが求められています。
うちの統括管理者は本社勤務で週の半分しかいません。
いない日に地震が来たら誰が指揮するのでしょうか。
そこは代行者を決めておく場面です。
しかも一人ではなく複数を決めて順番まで付けます。
順番まで決める必要があるのですか。
その場にいる管理職が仕切ればよいと思っていました。
その場で決めると必ず迷いが出ます。
消防庁のガイドラインは代行の優先順位を定めるよう示しています。
- 自衛消防組織を統括するのは統括管理者だと消防法施行令が定めています
- 緊急時の指揮命令体系は消防計画に書く事項として消防庁のガイドラインに示されています
- 自衛消防本部は管理権原者または指定された者の判断で設置するのが基本の形です
- 統括管理者の不在に備えて複数の代行者を定め代行の優先順位まで決めておきます
- 一定の震度以上の地震では指示を待たずに本部を設置するよう書き込みます
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目次
自衛消防組織の指揮命令体系とは何を決めておくものなのか

まず自衛消防組織の中で誰が頂点に立つのかを政令で確かめます。
統括管理者が自衛消防組織を統括する、という一文がそのまま指揮の骨格になります。
一方で、その統括をどう回すかという手順までは政令に書かれていません。
書く場所は消防計画で、防災管理対象物では消防法施行規則第51条の10第1項第一号が自衛消防組織の活動要領を定めさせています。
つまり指揮の順番や本部の立ち上げ方は、条文を探すのではなく自分の消防計画に書き込む作業になります。
政令には統括するとしか書かれていないのですね。
中身は自分たちで組み立てるということですか。
そのとおりです。
ただし白紙ではなくガイドラインが書くべき項目を並べてくれています。
自衛消防本部は誰の判断でいつ設置するのか

誰の判断で立ち上げるのかがガイドラインに示されています。
本部を置くかどうかは管理権原者または指定された者が決め、活動をいつ始めるかは統括管理者が決める、という二段構えが示されています。
本部の置き場所についても、同じ別冊3が本部隊は防災センターまたはこれに準じる場所を活動拠点とするとしています。
だから消防計画には、誰が本部設置を宣言するのか、その人が不在なら誰が宣言するのかを名指しで書く必要があります。
役職名だけを書いて終わりにすると、当日その席が空いていたときに誰も動けません。
本部を置く判断と動き出す判断が分かれているとは知りませんでした。
うちの計画はどちらも書いていない気がします。
そこはよくある抜けです。
まず設置を宣言する人の欄を計画に作ってください。
統括管理者が不在のときは誰が指揮を執るのか

不在への備えについて、ガイドラインは踏み込んだ書き方をしています。
求められているのは複数の代行者を置くこと、その人たちに活動に必要な権限を渡すこと、そして誰から順に代わるかの優先順位を決めることの3点です。
消防法施行令にも消防法施行規則にも代行者そのものを定めた規定は置かれていないので、この3点は消防計画で埋めるほかありません。
権限を渡すという部分も見落とされがちで、名前だけを並べても館内放送や避難の指示を出せなければ代行になりません。
順位を決めるときは役職の序列ではなく、実際にその時間帯に建物にいる人かどうかで並べ替えてください。
名前を書くだけでは足りないということですね。
権限を渡すところまで計画に書きます。
そこまで書いて初めて機能します。
夜間や休日に建物にいる人を先に並べると実戦的になります。
本部隊と地区隊の間で見落としやすいのはどこか

内部組織を作るときの決まりを省令で確かめます。
本部隊を1隊に絞ったうえで、階や区画ごとに置く地区隊が本部へ報告する線を計画に明記させる建て付けになっています。
ここで抜けやすいのが、地区隊が動いたことを本部が知らないまま別の指示を出してしまう場面です。
自衛消防の業務の一部を警備会社などへ委託している場合は、その委託先を含めた指揮命令系統を明確に書くこともガイドラインが求めています。
防災センターを複数設けている建物では、通報した旨を他の防災センターにも連絡して情報を共有するよう記載することが示されています。
各フロアの責任者が勝手に動く形になっていました。
報告の線を書いていないのが原因かもしれません。
まさにそこです。
地区隊長から本部へという一本の線を計画に書き足してください。
明日からなにをすればよいのか

何を定めさせている条文なのかをもう一度押さえます。
まず統括管理者の代行者を2人以上決め、誰から順に代わるのかを表にして計画へ入れます。
次に自衛消防本部を誰が設置するのかと、どの震度から指示を待たずに設置するのかを書きます。
ガイドラインは、一定震度以上の地震では管理権原者または指定された者の指示がなくても本部を設置し活動を開始するよう記載することを示しています。
最後に、書いた順番どおりに人が動けるかを避難訓練の中で試し、動かなかった箇所を計画に戻して直してください。
震度をいくつにするかまで決めるのですね。
訓練で試すところまでが一続きだと分かりました。
その進め方で形になります。
まずは代行者の表を一枚作るところから始めてください。
よくある質問
まとめ
誰が指揮するかを空欄のままにしていたと気づきました。
代行の順番から計画に書き入れます。
それが一番効きます。
消防計画の見直しでお困りでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の5第1項・第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第4条の2の8・第46条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の10第1項・同条第3項・第51条の10第1項
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)本編及び別冊3
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





