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防災管理者の選任や解任を届け出ないとどうなるのか|罰則の対象になる行為と法人が罰せられない理由を解説

防災管理者の選任解任の届出を怠った場合の罰則をテーマにした、届出書を受け渡す場面のアイキャッチ画像

防災管理者を選任したものの、消防署への届出はまだ済ませていない、という建物を見かけることがあります。
選任そのものは建物の中で完結する行為なので、届出を後回しにしても大きな問題にはならないと考えてしまいがちです。
しかし条文は、選任・解任の届出を怠った場合の罰則まで具体的に定めています。
この記事では防災管理者の選任・解任を届け出ないとどうなるのか、罰則の中身と法人の扱いまで条文で確認します

うちは先月防災管理者を選任したんですが、消防署への届出はまだなんです。
これ、まずいですか。

はい、届出を怠ると罰則の対象になります。
順番に確認しましょう。

選任さえしていれば、届出は多少遅れても大丈夫だと思っていました。

いいえ、届出そのものが独立した義務です。
まずは根拠となる条文から見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防災管理者を選任・解任したときに届出を怠ると、30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
  • 根拠は消防法第44条第8号で、消防法第36条第1項が第8条第2項を読み替えて防災管理者にも適用します
  • 防災管理では紛らわしい表示の禁止違反や点検報告の虚偽など、他の行為も同じ44条の罰則の対象になります
  • ただし届出を怠った場合は両罰規定(第45条)の対象に含まれておらず、罰せられるのは行為者本人に限られます
  • 選任・解任があったときは遅滞なく所定の様式で届け出ることが唯一の対処法です

防災管理者の届出を怠った場合の罰則と両罰規定の対象外である理由を示した図解

防災管理者の届出を怠るとどうなるのか

建物管理者が防災管理者の選任を消防署へ届け出る様子を表したイメージ
防災管理者を選任・解任したときには、消防署への届出という別の手続きが待っています。
まずはこの届出義務の根拠を確認します。
消防法第8条第2項(第36条第1項において読み替えて準用) 前項の権原を有する者は、防災管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
選任・解任の届出は、防災管理者を定める行為とは別に課された独立の義務です
消防法第36条第1項は消防法第8条から第8条の2の3までを読み替えて防災管理者に準用しており、その中の第8条第2項が届出義務の根拠になります。
届出の相手は所轄消防長又は消防署長で、選任したときも解任したときも同じ手続きが必要です。
「防災管理者を決めた」という社内の記録だけでは条文の要件を満たさず、実際に届け出て初めて義務を果たしたことになります。
この届出を怠った場合、条文はどのような扱いを定めているのか、次に確認します。

防災管理者を決めたことは社内の稟議に残っているので、それで十分だと思っていました。

いいえ、消防署への届出まで済ませて初めて義務を果たしたことになります。
怠るとどうなるか見てみましょう。

罰則の対象になる行為と金額はどう決まっているのか

届出を怠った場合の罰金と拘留を象徴するイメージ
届出を怠った行為には、具体的な金額まで罰則が定められています。
根拠になる条文を確認します。
消防法第44条 次のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は拘留に処する。(略)第8号 第8条第2項(第36条第1項において準用する場合を含む。)(略)の規定による届出を怠つた者
届出を怠ると30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
消防法第44条第8号は、消防法第36条第1項において準用する第8条第2項の届出を怠った者を、30万円以下の罰金又は拘留の対象として明記しています。
是正命令を経てから罰則が科される仕組みとは異なり、届出そのものを怠った時点で直接この罰則の対象になる点に注意が必要です。
選任・解任のどちらを届け出なかった場合でも、条文上は同じ第8号が適用されます。
防災管理に関わる罰則は、この届出懈怠だけではありません。次にどんな行為が対象になるのか見ていきます。

消防署から先に注意されて、それでも直さなかったら罰金、という順番ではないんですか。

届出の懈怠は命令を経ずに直接罰則の対象になります。
他にどんな行為が対象になるか見てみましょう。

防災管理では他にどんな行為が同じ罰則の対象になるのか

紛らわしい表示や虚偽の点検報告が罰則の対象になる様子を示したイメージ
第44条が対象にしている行為は、届出懈怠だけではありません。
防災管理に関わる主なものを確認します。
消防法第44条(続き) 第3号 第8条の2の2第3項(第36条第1項及び第6項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 第11号 第8条の2の2第1項(第36条第1項において準用する場合を含む。)(略)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
紛らわしい表示や虚偽の点検報告も同じ44条の対象です
第3号は、防災管理点検に合格していないのに紛らわしい表示を掲げる行為を、第36条第1項・第6項の準用を通じて防災管理点検にも適用しています。
第11号は、防災管理点検の結果について報告をしない、または虚偽の報告をする行為を対象にしています。
届出懈怠(第8号)と条文上の号は違いますが、どれも同じ第44条の中で30万円以下の罰金又は拘留として扱われる点は共通です。
これだけ広い範囲が罰則の対象になっている一方で、会社そのものが罰せられるかどうかは別の条文で決まります。次に確認します。

届出だけじゃなくて、表示や報告の中身まで見られているんですね。

はい、同じ第44条の中に並んでいます
次は会社の扱いについて見てみましょう。

法人まで罰せられるとは限らないのはなぜか

会社は罰則の対象外で行為者本人だけが罰せられることを示したイメージ
会社ぐるみの違反だからといって、必ず会社まで罰せられるとは限りません。
両罰規定と呼ばれる条文を確認します。
消防法第45条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。(略)第3号 (略)前条第1号、第3号、第11号、第12号若しくは第22号
両罰規定の対象条文に届出懈怠(第44条第8号)は含まれていません
第45条第3号が法人にも罰金刑を科すと定めているのは、前条(第44条)の第1号・第3号・第11号・第12号・第22号に限られています。
届出を怠った行為(第8号)はこの一覧に入っておらず、法人に対する罰金刑は科されません
つまり従業員が届出を失念しても会社そのものが処罰されるわけではなく、届出を怠った行為者本人が第44条第8号の罰則の対象になります。
会社が罰せられないからといって軽い話ではなく、実際に処罰されるのが個人である以上、届出の管理は誰か一人任せにしないことが実務上のポイントです。

会社が罰せられないなら、そこまで心配しなくてもいいということですか。

いいえ、個人が処罰されるという重さは変わりません。
最後に対応の手順を確認しましょう。

選任や解任があったときはどう対応すればよいのか

防災管理者の選任届を消防署へ速やかに提出する様子を表したイメージ
罰則を避ける方法は難しいことではなく、決められた手続きを踏むだけです。
実務での対応を確認します。
消防法施行規則第3条の2第1項(第51条の9による読み替え後) 防災管理者の選任又は解任の届出は、別記様式第一号の二の二による届出書によつてしなければならない。第2項 前項の届出書には、選任の届出にあつては、防災管理者の資格を証する書面を添えなければならない。
選任・解任があったら、速やかに所定の様式で届け出てください
消防法施行規則第51条の9が準用する第3条の2により、届出は別記様式第一号の二の二の届出書で行い、選任のときは資格を証する書面を添付します。
「遅滞なく」という条文の言葉に明確な日数の定めはありませんが、選任・解任が決まった時点で速やかに手続きに進むのが安全です。
届け出た書類の写しは防災管理維持台帳にも保存されるため、いつ・誰が届け出たかを社内でも記録に残しておくと、あとから確認する際に役立ちます。
担当者の異動が多い建物ほど、この届出の抜け漏れは起きやすいので、選任・解任の都度チェックする仕組みにしておくと安心です。

今日中に届出書を用意して、消防署に提出しに行きます。

それが一番確実です。選任と同時に届出も済ませるのが安心です。
これで確認の手順は揃いました。

よくある質問

Q防災管理者を選任していれば、届出は多少遅れても問題ありませんか?
Aいいえ。選任・解任の届出は消防法第8条第2項(第36条第1項準用)が定める独立した義務で、怠ると同法第44条第8号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。
Q届出を怠ったことが原因で、会社(法人)も罰金を科されますか?
A原則として科されません。両罰規定(消防法第45条)が定める対象条文の一覧に第44条第8号は含まれておらず、罰せられるのは届出を怠った行為者本人に限られます。
Q選任と解任のどちらも同じように届け出る必要がありますか?
Aはい。消防法第8条第2項は「これを解任したときも、同様とする」と定めており、選任・解任のいずれも遅滞なく届け出る義務があります。
Q届出以外に、防災管理で罰則の対象になる行為はありますか?
Aあります。紛らわしい表示を掲げる行為や点検結果について虚偽の報告をする行為なども同じ消防法第44条の罰則対象です。

まとめ

防災管理者を選任・解任したときは遅滞なく所轄消防長又は消防署長に届け出る義務があります
届出を怠ると消防法第44条第8号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
根拠は消防法第36条第1項が第8条第2項を読み替えて防災管理者に準用している点です
防災管理では紛らわしい表示の禁止違反や点検報告の虚偽なども同じ44条の対象になります
ただし両罰規定(第45条)の対象条文に第44条第8号は含まれず、罰せられるのは行為者本人に限られます
「選任さえしていれば届出は後回しでよい」という理解は誤りで、届出そのものが独立した義務です
選任・解任があったら別記様式第一号の二の二の届出書で速やかに届け出てください

届出を怠ったときの罰則と、会社と個人の違いまで整理できました。

選任と届出はセットだと覚えておいていただければ安心です。
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参考・出典

  • 消防法第36条第1項
  • 消防法第8条第2項
  • 消防法第44条
  • 消防法第45条
  • 消防法施行規則第51条の9
  • 消防法施行規則第3条の2
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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