高層ビルや大規模な商業施設に防災管理者を置くとき、資格を持つ人なら誰でもよいわけではありません。
消防法施行令第47条は、防災管理者になれる人を管理的又は監督的な地位にある人に絞ったうえで、4つの資格ルートのどれかを満たすよう求めています。
さらに、建物全体をまとめる統括防災管理者になるには、この資格に加えて別の要件が上乗せされます。
資格の入り口から統括に必要な条件までを条文に沿って確認します。
防災管理者を選ぶ担当になったのですが、資格があればどなたでも防災管理者になれるのでしょうか。
実は管理的又は監督的な地位にあることが前提で、そのうえで資格ルートを満たす必要があります。
条文を順番に見ていきましょう。
講習を受けていないと防災管理者にはなれませんか。
講習だけでなく実務経験など他のルートもあります。
まずは条文の全体像から確認します。
- 防災管理者になれるのは、管理的又は監督的な地位にある人で、4つの資格ルートのいずれかを満たす人です
- 資格ルートは①講習修了②実務経験1年③消防職員1年④これらに準ずる者の4つです
- 防災管理新規講習はおおむね4時間30分で、甲種防火管理講習と併せて受けると12時間になります
- 統括防災管理者になるには、防災管理者の資格に加えて権限の付与や業務内容の説明を受けているという追加の要件を満たす必要があります
- 選任・解任は資格を証する書面を添えて遅滞なく届け出る必要があります
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目次
防災管理者になれるのはどんな人か

条文はまず、選べる人の立場そのものに条件を置いています。
条文の柱書きは、次の各号の資格を持つだけでは足りず、その建物で防災管理上必要な業務を実際に遂行できる管理的又は監督的な地位にあることを求めています。
現場に出ていない役員や、権限を持たない担当者ではこの条件を満たしません。
遠隔地勤務などでそうした地位の人がいない建物には、規則第51条の6が別の要件を用意しています。
まずは自分の建物で誰が管理的又は監督的な地位にあるかを確認してください。
資格を持つ人がいれば誰でもよいわけではないんですね。
はい。
次はその4つの資格ルートを見ていきましょう。
4つの資格ルートは具体的に何を満たせばよいか

令第47条第1項は資格の取り方を4つの号に分けています。
第一号は防災管理に関する講習を修了するルートで、最も一般的な方法です。
第二号は講習を受けなくても1年以上の防災管理の実務経験があれば資格を得られるルートです。
第三号は消防職員として管理的又は監督的な職に1年以上あった人向けのルート、第四号は総務省令が個別に認める人向けの受け皿です。
自分がどのルートに当てはまるかは、まず講習を受けているかどうかから確認するのが早道です。
私は講習を受けていませんが、前の職場で防災の仕事を1年以上していました。
その経験が認められれば、第二号の実務経験ルートで資格を持てる可能性があります。
詳しくは所轄消防署にご確認ください。
講習は何をどれだけ学ぶのか

新規講習と再講習の2種類があります。
防災管理新規講習はおおむね4時間30分で、防災管理の意義や消防計画の作成などを学びます。
甲種防火管理者の新規講習と併せて受講すると合計おおむね12時間にまとまり、別々に受けるより効率的です。
防災管理再講習はおおむね2時間で、過去5年間の法令改正の概要や災害事例を学び、甲種防火管理の再講習と併せるとおおむね3時間になります。
甲種防火管理者の資格もこれから取るなら、別々に申し込むより併修できる講習を探すほうが手間が減ります。
防火管理者の講習と別々に受ける必要はないんですね。
併せて実施している講習なら、まとめて受講できます。
お近くの登録講習機関に確認してみてください。
統括防災管理者になるには何が上乗せされるのか

ただし建物全体をまとめる統括防災管理者は、話が別です。
規則第51条の11は第3条の3を読み替えて準用し、権限の付与・業務内容の説明・建物の状況説明という3つの要件を追加で求めています。
つまり、複数の管理権原者から建物全体を任されるだけの権限と知識を実際に持っているかが問われます。
すでに防災管理者として選任されている人でも、この3要件を確認しないまま統括防災管理者に選ぶことはできません。
統括防災管理者を選ぶときは、資格の有無だけでなく、この3要件を権原者どうしで確認する場を設けてください。
資格を持つ担当者がいれば、そのまま統括防災管理者に任せられますか。
資格だけでは足りません。
権限の付与など3つの要件を満たしているかを別に確認してください。
選任・解任の届出はどう出すのか

選任のときも解任のときも、手続きは同じ枠組みです。
届出は所定の届出書で行い、選任のときは資格を証する書面を添えなければなりません。
講習修了者なら修了証、実務経験ルートなら経験を証明できる書類が必要になります。
届出先は所轄消防長又は消防署長で、選任・解任のいずれも遅滞なく提出することが前提です。
明日からは、まず届出書に添える資格を証する書面が手元にあるかを確認してください。
修了証をなくしていたら、届出はどうすればいいですか。
講習を行った機関に再発行を相談してください。
まずは手元の書面をそろえることから始めましょう。
よくある質問
まとめ
防災管理者になるための条件が、資格と地位の両方だとよく分かりました。
まずは自分の建物の管理体制を確認します。
資格ルートの確認、講習の有無、そして届出。
この3つを押さえれば防災管理者の選任は形になります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第36条第1項
- 消防法施行令第47条
- 消防法施行令第48条の2
- 消防法施行規則第3条の2
- 消防法施行規則第3条の3
- 消防法施行規則第51条の7
- 消防法施行規則第51条の9
- 消防法施行規則第51条の11
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





