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ヒートポンプ冷暖房機の届出は入力70キロワットからでよいのか|内燃機関の防振措置と条例の基準を解説

入力70キロワット未満でも基準はかかるのかというタイトルを重ねたビル屋上の空調室外機の写真

ビルの屋上や駐車場の脇に空調の室外機が並んでいる建物は珍しくありません。
電気で動く機械だと思われがちですが、内燃機関つまりエンジンで圧縮機を回すタイプがあります。
消防法はこれをヒートポンプ冷暖房機という対象火気設備等の一つとして名指ししています。
この記事では届出の下限である入力70キロワットと内燃機関の防振の措置を条文から解説します。

屋上の室外機にも消防の基準がかかるのですか。

ヒートポンプ冷暖房機は対象火気設備等として条文に名前が出ています。
空調の機械だからと最初から外れる作りにはなっていません。

大きいものだけの話だと思っていました。

入力70キロワットという線は届出の側に引かれたものです。
位置と構造の基準はまた別の条文が受け持っています。

この記事の結論
  • ヒートポンプ冷暖房機は消防法第9条を受けた火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
  • 省令第3条第13号の定義には出力や燃料の絞り込みを書いたかっこ書きがありません。
  • 設置の届出が要るのは入力70キロワット以上の内燃機関によるものです。
  • この機械だけに置かれた号は内燃機関の防振のための措置です。(省令第12条第5号)
  • 基準の特例を定めた第17条の表にこの機械の欄はありません。

ヒートポンプ冷暖房機は内燃機関で動かすものが対象火気設備等になり入力70キロワット以上で届出が要り内燃機関には防振のための措置が求められることをまとめた図解

エンジンで動く冷暖房機がなぜ消防法の設備として並んでいるのか

事務所の建物と屋上に並んだ空調の室外機とガスの立ち上がり配管とメーターを描いた図
室外機は電気の機械という見え方が普通です。
ところが省令の条文には、この機械の名前が設備の並びの中にはっきり出てきます。
対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条 令第五条第一項各号列記以外の部分の総務省令で定めるものは、第一号から第十三号までに掲げる設備から配管設備等を除いたもの及び第十四号から第二十一号までに掲げる設備とする。 一 炉 (略) 五 ボイラー (略) 十二 燃料電池発電設備(略) 十三 ヒートポンプ冷暖房機 十四 火花を生ずる設備(略) (略)
条文に名前が出ています。
第3条は対象火気設備等を21種類挙げていて、ヒートポンプ冷暖房機はその第13号です。
並びの前半である第一号から第十三号までには炉やふろがまやボイラーが入っていて、この機械はその最後に置かれています。
後半の第十四号から第二十一号までには火花を生ずる設備や変電設備や蓄電池設備といった電気の設備が並びます。
どちらの側に置かれているかで、あとで見る基準の当たり方が変わってきます。

炉やボイラーと同じ並びに入っているのですね。

並びの位置がそのまま扱いの違いにつながります。
まずは室外機の銘板で原動機の種類を確かめてください。

届出が要るのは入力70キロワット以上のものだけなのか

小型の室外機と大型の室外機に立てかけた届出の書類を並べた比較の図
設置のときに消防署へ出す届出には、はっきりした下限が引かれています。
その線がどこにあるのかを火災予防条例(例)で確かめます。
火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号)第44条 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備のうち、次の各号に掲げるものを設置しようとする者は、あらかじめ、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。 (略) (4) 入力70キロワット以上の温風暖房機(略) (略) (7の2) 入力70キロワット以上の内燃機関によるヒートポンプ冷暖房機 (8) 火花を生ずる設備 (略)
下限が引かれているのは届出の側です。
条例(例)第44条は設置しようとする者にあらかじめの届出を課していて、この機械は第7号の2に置かれています。
そこには入力70キロワット以上の内燃機関によるものという線が引かれているので、これに当たらないものはこの号の届出の対象になりません。
一方で位置と構造と管理の基準は消防法施行令第5条と省令が受け持っていて、そちらの定義には大きさの線がありません。
届出が要らない大きさだから基準もかからない、という読み方はこの条文からは出てこないと考えてください。

届出の有無と基準の有無は別なのですね。

受け持っている条文が違うので別に見ます。
台数と入力を一覧にしておくと相談が早く進みます。

ヒートポンプ冷暖房機だけに置かれた基準はどれか

防振の台とばねの上に載せた空調の室外機と様子を見ている担当者を描いた図
21種類の設備には、それぞれ専用の号が用意されています。
この機械のために置かれた号は、条文全体を通して一つだけです。
同省令第12条 令第五条第一項第七号の規定により、対象火気設備等(建築設備を除く。)は、次の各号に定めるところにより、振動又は衝撃により、容易に転倒し、落下し、破損し、又はき裂を生じず、かつ、その配線、配管等の接続部が容易に緩まない構造としなければならない。 一 地震その他の振動又は衝撃により容易に転倒し、落下し、破損し、又はき裂を生じないものとすること。 (略) 五 ヒートポンプ冷暖房機にあっては、その内燃機関は、防振のための措置が講じられたものとすること。 (略) 七 内燃機関を原動力とする発電設備にあっては、防振のための措置が講じられた床上又は台上に設けること。
専用の号はこの一つだけです。
省令の第4条から第16条までを通して、ヒートポンプ冷暖房機という名前が出てくるのは第12条第5号だけです。
求められているのは、その内燃機関に防振のための措置が講じられていることです。
すぐ後ろの第7号は内燃機関を原動力とする発電設備について防振のための措置が講じられた床上又は台上に設けよと書いていて、こちらは置き場所への要求になっています。
機械そのものに求めるのか置き場所に求めるのかが分かれているので、据付のときは防振の措置がどこにあるかを図面で示せるようにしておきます。

つまりエンジンそのものを見るということですね。

号の書きぶりがそうなっています。
納入時の据付要領書を消防計画と一緒に保管しておいてください。

基準の特例の表にこの機械の欄が無いのはなぜか

壁と空調の室外機の間に距離を示す物差しを置き横に条文の書類を重ねた図
電気の設備には、かかる条文をまとめて外す特例の表が用意されています。
ところがその表を最後まで見ても、この機械の欄は出てきません。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第3項 火を使用する設備以外の対象火気設備等であつて、その機能、構造等により第一項に定める条例制定基準によることが適当でないと認められるものについては、当該条例制定基準に関して、当該対象火気設備等の種類ごとに総務省令で特例を定めることができる。 / 同省令第17条 令第五条第三項の規定により、次の表の上欄に掲げる対象火気設備等については、それぞれ同表の下欄に掲げる規定は適用しない。 (略)
特例に乗れるのは火を使用する設備以外です。
令第5条第3項は火を使用する設備以外の対象火気設備等についてだけ特例を認めています。
これを受けた省令第17条の表に欄があるのは、火花を生ずる設備と放電加工機と変電設備と内燃機関を原動力とする発電設備と蓄電池設備とネオン管灯設備と舞台装置等の電気設備と急速充電設備の8種類だけです。
ヒートポンプ冷暖房機はこの表に出てこないので、令第5条第1項の各号と省令の第10条から第16条までが原則そのまま残ります。
離隔距離についても省令の別表第一と別表第二にこの機械の欄が無いため、残るのは同省令第5条第3号の消防庁長官が定めるところにより得られる距離です。

表に載っていないほうが厳しくなるのですか。

外す仕組みが無いという意味では広く残ります。
屋外に置いている台については距離の相談を先にしておくと安心です。

明日からなにを確認すればよいのか

室外機の銘板を指さす担当者と空調の室外機と消防署の建物
条文の並びが分かれば、見るところの順番も決まります。
手を動かすのは銘板と図面と消防計画の三つです。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第1項 (略) 二 対象火気設備等は、可燃物が落下し、又は接触するおそれがなく、かつ、可燃性の蒸気若しくは可燃性のガスが発生し、又は滞留するおそれのない位置に設けること。 (略) 十一 対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと。
見るのは銘板からです。
最初に室外機の銘板で原動機の種類と入力を確かめ、内燃機関で動かすものかどうかを分けます。
入力70キロワット以上のものが見つかったら、設置のときの届出が済んでいるかを図面と控えで追います。
つづいて据付の状態を見て、内燃機関の防振のための措置と、周囲に可燃物が落ちたり触れたりしていないかを確かめます。
最後に令第5条第1項第十一号の点検及び整備と周囲の整理清掃が続くので、消防計画の点検の項目に室外機を一行足しておくと抜けません。

室外機の周りに物を置いているのも見直します。

そこは令第5条第1項第二号がまっすぐ効くところです。
年に一度は周囲の整理と清掃をまとめて記録に残してください。

よくある質問

Q電気だけで動くヒートポンプ冷暖房機も対象火気設備等になりますか?
A省令第3条第13号はヒートポンプ冷暖房機とだけ書いていて、燃料の種類や出力による絞り込みのかっこ書きを置いていません。もっとも基準の中身のほうは同省令第12条第5号のように内燃機関があることを前提にした号が中心です。どこまでを対象とするかは市町村の条例の書きぶりによりますので、所轄消防署に確かめてください。
Q入力70キロワット未満なら消防への手続は何も要りませんか?
A火災予防条例(例)第44条の届出は入力70キロワット以上の内燃機関によるものに限られているので、これに当たらなければこの号の届出はありません。ただし位置と構造と管理の基準は消防法施行令第5条と省令が受け持っていて、そちらには大きさの線がありません。届出の有無と基準の有無は別に見てください。
Q防振のための措置とは具体的に何を指しますか?
A省令第12条第5号は防振のための措置が講じられたものとだけ書いていて、材料や構造までは定めていません。同じ第12条の第一号が、地震その他の振動又は衝撃により容易に転倒し、落下し、破損し、又はき裂を生じないものとすることを求めているので、この二つを合わせて据付の状態を説明できるようにしておきます。
Q離隔距離の別表にこの機械が載っていないのはどう読めばよいですか?
A省令第5条は火災予防上安全な距離を三つの号で示していて、第一号と第二号はそれぞれ別表第一と別表第二を引いています。ヒートポンプ冷暖房機はどちらの別表にも欄がないので、残るのは第三号の消防庁長官が定めるところにより得られる距離です。実際には消防長又は消防署長が認める距離以上とされているので、屋外に置くなら事前に相談しておくと確実です。

まとめ

ヒートポンプ冷暖房機は火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
省令第3条第13号の定義には出力や燃料の絞り込みがありません。
設置の届出が要るのは入力70キロワット以上の内燃機関によるものです。
届出の下限と位置や構造の基準がかかる範囲は別の話です。
この機械だけに置かれた号は省令第12条第5号の防振のための措置です。
発電設備の第7号が置き場所を求めるのに対し機械そのものに求めています。
基準の特例を定めた第17条の表にこの機械の欄がありません

まずは室外機の銘板を見に行ってみます!

届出の下限と基準がかかる範囲は別に見るのが近道です
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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第5条・第10条・第12条・第16条・第17条・別表第一・別表第二
  • 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第44条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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ビルの屋上や駐車場の脇に空調の室外機が並んでいる建物は珍しくありません。 電気で動く機械だと思われがちですが、内燃機関つまりエンジンで圧縮機を回すタイプがあります。 消防法はこれをヒートポンプ冷暖房機という対象火気設備等...