共同住宅のベランダの床にある四角いふたの下には避難はしごが収まっています。
火災のときにしか使わないので ふだんは開けてみることもありません。
そのはしごを避難訓練で使っていて 縦棒が抜け落ちるという事故が起きました。
消防庁は定期の点検で異常を見つけていれば事故は防げたはずだと述べています。
うちの建物のベランダにも避難はしごのハッチがあります。
業者さんに任せきりで中を見たことがありません。
そこを見に行くきっかけになる通知が出ています。
訓練中にはしごの縦棒が抜け落ちた事故がもとになりました。
設置のときに消防署の検査を受けているはずです。
それでも壊れるとしたら何を見ればよいのでしょう。
通知は破損や変形を目視で確かめよと書いています。
伸ばすときに異常な力が要らないかも確認します。
- 平成13年の通知は避難訓練中に金属製避難はしごの縦棒が抜け落ちた事故を受けて出されました
- 根拠は消防法第17条第1項と同法第17条の3の3です
- 点検では各部分に破損や変形がないことを目視で確かめ伸展等に異常な力を要しないことも確認します
- 設置したときは規則第31条の3により消防用設備等試験結果報告書を添えて届け出ます
- 消防法に基づかずに置いてあるはしごも同じように試験と点検を行うことが望ましいとされています
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目次
金属製避難はしごの事故はなぜ通知が出るまでになったのか

きっかけは鹿児島県で起きた一件の事故です。
先般、鹿児島県において、金属製避難はしごを使用して避難訓練を行っていた際、はしごの縦棒が抜け落ちるという事故が発生しました(別添〔略〕)。
この事故は、はしごの縦棒の溶接部が外れたことにより発生したものですが、日本消防検定協会における調査の結果、当該金属製避難はしごの設置時に、既に、何らかの原因により溶接部の外れが生じており、その後、変形が進行したものと推定されています。
当該金属製避難はしごは消防法に基づいて設置されていたものであり、定期に実施されている点検において異常を発見し、事故を未然に防止することが可能であったと考えられます。(略)
日本消防検定協会の調査では 溶接部の外れは設置のときに既に生じていたと推定されています。
火災でも地震でもない ふだんどおりの状態で不具合が育っていたわけです。
金属製避難はしごは消防法第17条第1項に基づいて設置し 及び維持しなければならない消防用設備等の一つです。
維持という言葉には 付けたあとも技術上の基準に合った状態を保つという意味が含まれています。
だからこの通知は 関係者への周知を都道府県に依頼するという形で出されました。
設置のときから外れていたというのは怖い話ですね。
見た目では気づけないものでしょうか。
だから通知は目視での確認を求めています。
各部分の破損や変形は見ればわかる異常です。
どの階の避難はしごが法令の対象になるのか

消防法施行令第25条が階と収容人員で線を引いています。
避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び11階以上の階を除く。)に設置するものとする。
一 別表第一(6)項に掲げる防火対象物の2階以上の階又は地階で、収容人員が20人(下階に同表(1)項から(4)項まで、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項又は(15)項に掲げる防火対象物が存するものにあつては、10人)以上のもの
二 別表第一(5)項に掲げる防火対象物の2階以上の階又は地階で、収容人員が30人(下階に同表(1)項から(4)項まで、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項又は(15)項に掲げる防火対象物が存するものにあつては、10人)以上のもの
(略)
五 前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の3階(略)以上の階のうち、当該階(略)から避難階又は地上に直通する階段が2以上設けられていない階で、収容人員が10人以上のもの
第1号は令別表第一(6)項の病院や福祉施設 第2号は(5)項の旅館や共同住宅です。
どちらも2階以上の階か地階で それぞれ収容人員20人と30人が入口になります。
下の階に飲食店や物品販売店舗などがあるときは この人数が10人まで下がります。
第5号は用途を問わず 避難階か地上に直通する階段が2以上ない階を収容人員10人から対象にしています。
避難階と11階以上の階は柱書で外れているので ベランダのはしごが並ぶのは中間の階です。
うちは共同住宅なので第2号にあたりますね。
2階以上の階が対象になるとわかりました。
そのとおりです。
下の階に店舗が入ると入口の人数が下がる点だけ気をつけてください。
点検ではどこをどう確かめればよいのか

点検基準に適合していることを確かめよという求め方です。
防火対象物の関係者は、消防法第17条の規定に基づき設置している金属製避難はしごについては、同法第17条の3の3の規定に従い定期に点検を実施する必要があり、当該点検においては、点検基準に適合していることを確認することが必要であること。
この場合、金属製避難はしごの各部分について破損や変形がないことを目視で確認するとともに、伸展等に異常な力を要すること等がないことを確認することが重要であること。
1つは各部分の破損や変形で これは目視で確かめます。
もう1つは伸ばすときの手ごたえで 伸展に異常な力が要るなら変形が疑われます。
点検の間隔は消防法施行規則第31条の6第1項により 1年以内で消防庁長官が定める期間ごとです。
結果の報告は同条第3項で 令別表第一(1)項から(4)項まで(5)項イ(6)項(9)項イ(16)項イ(16の2)項(16の3)項は1年に1回 その他は3年に1回とされています。
点検票の写真だけで済ませず ハッチを開けて実際に下ろすところまでを見届けてください。
ハッチを開けて実際に下ろしてみるのですね。
報告書に目を通すだけで終わりにしていました。
伸ばしてみないと手ごたえはわかりません。
立ち会える日を点検業者と決めておいてください。
実務で見落としやすいのはどこか

設置したときの届出と 法に基づかないはしごの扱いです。
2 防火対象物の関係者は、金属製避難はしごを設置した際には、消防法施行規則第31条の3の規定に基づき、消防用設備等試験結果報告書を添えて消防長等に届出をすることが義務づけられており、当該試験においても、金属製避難はしごが技術上の基準に適合していることを確認することが必要であること。
3 消防法に基づき設置している金属製避難はしご以外のものにあっても、避難器具の重要性に鑑み、前1及び2と同様に試験及び点検を確実に実施することが望ましいこと。
消防法施行規則第31条の3第1項は 工事が完了した日から4日以内に届け出ることを求めています。
そのとき添える書類が平面図と 配管及び配線の系統図 それに消防用設備等試験結果報告書です。
今回の事故は設置のときに既に溶接部が外れていたので この試験が最初の関門だったことになります。
もう1つが記3で 消防法に基づかずに置いてあるはしごも同じように試験と点検を行うことが望ましいとされています。
建物の持ち主が任意で付けた避難はしごは点検の対象から漏れやすいので 記録に書き足しておいてください。
任意で付けたはしごまで見るとは思いませんでした。
古い建物なので何が付いているか把握できていません。
まず建物にあるはしごを全部書き出してください。
そのうえで法に基づくものかどうかを分けます。
明日からなにを確認すればよいのか

記録の置き場所も規則で決まっています。
防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行った結果を、維持台帳(第31条の3第1項及び第33条の18の届出に係る書類の写し、第31条の3第4項の検査済証、第5項の報告書の写し、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録するとともに、(略)消防長又は消防署長に報告しなければならない。
はじめに建物にある避難はしごを階ごとに書き出し 令第25条第1項のどの号に当たるかを確かめます。
つぎに直近の点検の記録を開き 各部分の破損と変形 それに伸展の確認が残っているかを見ます。
最後に設置のときの検査済証と消防用設備等試験結果報告書の写しが維持台帳にそろっているかを確かめます。
3つのうち1つでも欠けていたら 次の点検の機会に点検業者へその場で伝えてください。
金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令第3条第1項は 避難はしごは安全 確実 かつ容易に使用される構造でなければならないと定めています。
点検の記録と台帳を並べて見てみます。
そろっていない書類が出てきそうです。
そこが見つかれば今日の確認は成功です。
足りないものは次の点検までに補えます。
よくある質問
まとめ
次の点検には立ち会って自分の目でも見てみます。
まずは台帳の中身を数えるところから始めます。
その一歩で避難はしごの状態が見えるようになります。
迷われたら㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 金属製避難はしごの適切な維持管理について(平成13年2月23日 消防予第56号)
- 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持)・第17条の3の2(設置の届出及び検査)・第17条の3の3(点検及び報告)
- 消防法施行令第25条(避難器具に関する基準)・第36条第2項(消防設備士等に点検させなければならない防火対象物)
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)・第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第3号)第3条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





