高層ビルやショッピングセンターのように、多くの人が出入りしてしかも規模が大きい建物には、自衛消防組織を置くことが消防法で定められています。
では、その自衛消防組織が実際にどう動くかは、どこに書けばよいのでしょうか。
建物を一人の権原者が所有している場合と、テナントが複数入っていて権原者が何人もいる場合とでは、消防計画に書く内容そのものが変わります。
この記事では自衛消防組織の業務を消防計画に定める仕組みと、内部組織を作るときに必須になる要件を条文から確認します。
うちのビルは複数のテナントが入っていて、自衛消防組織を置くように言われたのですが、消防計画には何を書けばいいんでしょうか。
自衛消防組織の業務をどこに書き込むかというルールがあります。
実は権原者の数によって書く内容が変わるんです。
うちは管理会社とテナントの各社が権原を持っています。
単独のビルとは違うということですか。
単独の建物なら3つの事項で足りますが、共同で自衛消防組織を置く場合はさらに事項が増えます。
順番に見ていきましょう。
- 自衛消防組織の業務は権原者が防火管理者に消防計画の中で定めさせます
- 単独設置なら活動要領など3つの事項を定めれば足ります
- 複数の権原者が共同設置する場合は協議会や統括管理者の選任など4つの事項が加わります
- 内部組織を編成するなら業務の区分・要員配置・統括する者の三点が必須です
- 自衛消防組織を置いたら遅滞なく所轄消防長等へ届出を行います
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目次
自衛消防組織の業務は誰が消防計画に書くのか

業務の中身を誰がどこに書くのか、まずその仕組みを条文で確認します。
書く役目を負うのは権原者本人ではなく、権原者が定めた防火管理者です。
自衛消防組織を置く義務そのものは消防法第8条の2の5が課していますが、その中身をどう書くかは規則側で細かく決められています。
権原者が複数いる建物ほど、誰の消防計画にどこまで書くのかが曖昧になりがちです。
まずは自分の建物が単独の権原者か、複数の権原者による共同設置なのかを確認してください。
自衛消防組織そのものが計画書を持っているわけではないんですね。
そうです。防火管理に係る消防計画の中に書き込む形になります。
単独設置と共同設置で書く事項はどう変わるのか

条文の号の数をそのまま数えると、その差がはっきり見えます。
単独設置の3つは活動要領、要員への教育訓練、その他必要な事項という内容です。
共同設置で加わる4つは、協議会の設置運営、統括管理者の選任、業務を行う防火対象物の範囲、その他必要な事項です。
共同設置とは、同一敷地内などで管理権原が複数に分かれている建物で、権原者たちが一つの自衛消防組織を共同で置く形のことです。
自分の建物がどちらに当たるかを確認したうえで、消防計画のどの号が足りているかを一つずつ照らし合わせてください。
協議会というのは、テナントの代表者が集まって話し合う場のようなものですか。
イメージとしてはそのとおりです。
設置及び運営のやり方まで消防計画に定める必要があります。
活動要領にはどこまで書けばよいのか

自衛消防組織そのものの業務内容を定めた条文と合わせて確認します。
初期消火活動ではどの段階で誰が動くか、通報では誰がどの手段で消防機関に連絡するかを定めます。
避難誘導では在館者をどの経路でどこまで誘導するかを、建物の構造に合わせて書きます。
これらは前段で確認した規則第4条の2の10第1項第1号の「活動要領」がまさに指している中身です。
一般的な防火管理の消防計画とは別に、自衛消防組織の要員が実際に動く手順として書き分けてください。
防火管理の消防計画にすでに避難誘導のことは書いてある気がします。
それは要員の活動要領としての書き分けです。
自衛消防組織が動く手順として重ねて定めます。
内部組織を作るときに見落としやすいのはどこか

実は内部組織を作る場合だけに課された条件があります。
まず業務の内容と活動の範囲を明確に区分し、班ごとに何をどこまで担うかを決めます。
次に各内部組織にその業務を実施できるだけの要員を配置し、最後にその内部組織を統括する者を置きます。
「おおむね3つ(4つ)の事項を消防計画に書いた」というだけでは、内部組織を実際に編成した建物では条件を満たしません。
班分けだけして統括する者を決めていない、区分が曖昧で誰が何を担うか分からない、という状態が実務では見落とされがちです。
班分けの図は作ってありますが、誰が班をまとめるかまでは決めていませんでした。
それでは内部組織を統括する者が欠けている状態です。
班ごとに一人、必ず決めてください。
明日から何を確認すればよいのか

消防計画と届出書の内容がずれていないかを、最後に確認します。
届出事項には内部組織の編成及び自衛消防要員の配置、統括管理者の氏名及び住所などが含まれます。
つまり、消防計画に書いた活動要領や内部組織の区分と、届出書に書く内部組織の編成は同じ内容でなければ整合しません。
共同設置の場合は協議会の運営や統括管理者の選任まで消防計画に書いているはずなので、届出の内容もそこに合わせます。
まずは自分の建物の消防計画を開き、内部組織の区分と届出書の記載が今の体制と一致しているかを確かめてください。
班分けを見直したら、消防計画だけでなく届出も出し直すということですね。
そのとおりです。
消防計画と届出書の両方を、今の体制に合わせて更新してください。
よくある質問
まとめ
単独と共同で書く事項が違うことと、内部組織を作るときの3点、よく分かりました。
まずは自分の建物の消防計画を開いてみます。
単独か共同か、内部組織を作るか、そして届出との一致。
この3点を確認すれば消防計画の抜けは防げます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条の2の5
- 消防法施行令第4条の2の6
- 消防法施行令第4条の2の7
- 消防法施行規則第4条の2の10
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





