天井を見上げると小さな金属の部品がぶら下がっていて、その真下に段ボールが積み上がっています。
火災のときにそこから水が広がるはずなのに、荷物が屋根になって水をさえぎってしまう状態を散水障害といいます。
条文はヘッドの周りに空けておくべき寸法を数字で決めていて、置いてよい物は一つもありません。
この記事では、スプリンクラーヘッドの周りに要る空間と制御弁の維持管理を解説します。
倉庫がいっぱいで、天井近くまで箱を積んでいる棚があります。
それはまさに散水障害が起きやすい積み方です。
ヘッドの周りに空けておく寸法は条文に書かれています。
置いてはいけない範囲まで決まっているのですか。
下方と水平方向の両方に数字の基準があります。
まずどこから来た決まりなのかを見ていきましょう。
- デフレクターから下方0.45メートル以内かつ水平方向0.3メートル以内には何も置けません。(消防法施行規則第13条の2第4項第1号ホ)
- 易燃性の可燃物を収納する部分に設けるヘッドでは、下方の寸法が0.9メートルに広がります。(同号ホ)
- 取付け面から0.4メートル以上突き出したはり等で区画された部分ごとにヘッドが要ります。(同号イ)
- 幅または奥行が1.2メートルを超えるダクト等があるときはその下面にもヘッドが要ります。(同号ロ)
- 制御弁にはみだりに閉止できない措置と、直近の見やすい箇所への標識が求められます。(同規則第14条第1項第3号)
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目次
スプリンクラー設備の散水障害とはなにを指すのか

その水の広がり方をさまたげる状態を、実務では散水障害と呼びます。
令第12条第2項第2号イは、天井の各部分から一つのヘッドまでの水平距離で設置間隔を決めています。
建物の区分に応じて1.7メートル以下から2.3メートル以下までが定められていて、この間隔なら床面のどこにも水が届くという設計です。
ところが実際の床には棚や什器や積み荷があり、水がさえぎられれば設計どおりの範囲は守れません。
だから条文は距離を決めるだけで終わらせず、ヘッドの周りに何も置かないことまで別に求めています。
設置のときに決まった間隔が、あとから荷物で崩れてしまうということですね。
そのとおりで、設備は使える状態で維持してはじめて意味を持ちます。
次は空けておく寸法そのものを見ます。
ヘッドの周りはどこまで空けなければならないのか

デフレクターは水を放射状に散らすための羽根の部分です。
一般の部分では下方0.45メートル以内と水平方向0.3メートル以内が空いていなければなりません。
綿花類や合成樹脂類のように燃えやすいものを収納する部分では、下方の寸法が0.9メートルまで広がります。
条文が「何も設けられ、又は置かれていないこと」と書いているとおり、対象は積み荷だけではなく、後から吊った照明器具・掲示物・配線・間仕切りの上端も含まれます。
棚を新調するときや在庫を積み増すときは、天井の高さではなくデフレクターの高さから測るのが実務の勘所です。
棚の最上段の高さを決めるときに使える数字ですね。
最上段の高さを棚板に表示しておくと現場で守られます。
次は水そのものを止めてしまう弁の話です。
制御弁は日頃どんな状態にしておくのか

ヘッドがいくら正しく付いていても、この弁が閉じていれば水は出ません。
規則第14条第1項第3号ロは制御弁にみだりに閉止できない措置を求めていて、閉じたままにしておくことを想定していません。
場所も決められていて、閉鎖型ヘッドを用いる設備では階ごとに、床面から0.8メートル以上1.5メートル以下の箇所に設けます。
さらにハで制御弁である旨の標識を直近の見やすい箇所に置くこととされており、誰が見ても弁だと分かる状態が求められています。
標識が外れていたり物陰に隠れていたりすれば、それ自体が維持されていない状態です。
つまり制御弁は場所と標識と開閉の状態の三つを見ればよいのですね。
その三つで十分です。
次は見落としが起きやすいところを並べます。
実務で見落としやすいのはどこか

天井の形が変われば、必要なヘッドの数まで変わるからです。
イは取付け面から0.4メートル以上突き出したはり等で区画された部分ごとにヘッドを設けよといい、はり等の中心距離が1.8メートル以下のときだけ例外を認めています。
ロは給排気用ダクトや棚で幅または奥行が1.2メートルを超えるものがあれば、その下面にもヘッドを設けよとしています。
つまり空調のダクトを後から通したり、天井まで届く大型の棚を入れたりすると、既存のヘッドだけでは足りなくなることがあります。
維持されていないと認められれば消防法第17条の4第1項の設置維持命令の対象になり、命令に従わなければ同法第44条第12号の罰則が置かれています。
内装の模様替えのときに、設備のことまで気が回っていませんでした。
天井に触る工事は着工前に所轄へ相談する癖をつけてください。
最後に明日からの確認をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

どれも工具を使わずに目で見て終わります。
まず倉庫とバックヤードを歩き、ヘッドの真下と周りに物が入り込んでいないかを見ます。
次に各階の制御弁を回り、開いていることと標識が見えることを確かめます。
最後に維持台帳を開き、規則第31条の6第3項が求める報告の周期を確認します。特定用途の建物は1年に1回、それ以外は3年に1回です。
気になる箇所が見つかったら、消防設備士や消防設備点検資格者に見てもらい、消防計画の日常確認の項目に書き足しておきます。
今日のうちに倉庫の棚と各階の弁を見てまわります。
その二か所を押さえれば大きな見落としは防げます。
最後によくある質問を見ておきましょう。
よくある質問
まとめ
棚の最上段に線を引いて、そこから上には積まないと決めます。
見える線にしておくのがいちばん続きます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条第1項・第17条第1項・第17条の3の3・第17条の4第1項・第44条第12号
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条第2項第2号
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の2第4項第1号・第14条第1項第3号・第31条の6第1項・第3項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





