窓の上枠に沿って細い配管が走り小さなヘッドが並んでいる建物があります。
同じような窓なのにヘッドが一つも無い建物もあります。
この違いは延焼のおそれのある部分と防火戸の有無で決まります。
この記事では開口部に設けるスプリンクラーヘッドの基準を条文から解説します。
うちのビルは窓の上にヘッドが並んでいる階と何も無い階があります。
天井のヘッドとは別の号で決められている設備です。
対象になる開口部が限られているので付いていない窓もあります。
どの窓が対象になるのか自分で見分けられるのでしょうか。
手がかりは階と隣地境界線からの距離です。
防火戸が設けられているかどうかでも変わります。
- 開口部のスプリンクラーヘッドを定めているのは消防法施行令第12条第2項第3号です。
- 10階以下の部分では延焼のおそれのある部分にある開口部だけが対象になります。(同号)
- 延焼のおそれのある部分は隣地境界線等から1階は3メートル以下2階以上は5メートル以下の距離にある部分です。(建築基準法第2条第6号)
- ヘッドは開口部の上枠に長さ2.5メートル以下ごとに1個設けることとされています。(令第12条第2項第3号)
- 防火戸又はドレンチャー設備が設けられている開口部はこの限りでないとされています。(消防法施行規則第15条第1項)
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目次
窓の上に並ぶスプリンクラーヘッドはなにをするものなのか

それが開口部に設けるスプリンクラーヘッドです。
前項に規定するもののほか、スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。(略)
三 前号に掲げるもののほか、開口部(防火対象物の10階以下の部分にある開口部にあつては、延焼のおそれのある部分(建築基準法第2条第6号に規定する延焼のおそれのある部分をいう。)にあるものに限る。)には、その上枠に、当該上枠の長さ2.5メートル以下ごとに1のスプリンクラーヘッドを設けること。(略)
第2号までが天井や小屋裏に設けるヘッドの基準で 第3号はそれに続けて前号に掲げるもののほかと書かれています。
つまり天井のヘッドを設けたうえで さらに開口部にも設けるという組み立てです。
窓の内側で水が落ちれば 外から迫る火炎や外へ噴き出す火炎に対する水の膜ができます。
天井のヘッドは室内の火災を抑えるためのものなので 開口部を通る延焼までは受け持ちません。
自分の建物で窓の上に配管が走っていたら それは天井の設備とは別の基準で付いていると考えてください。
天井にヘッドがあるのに窓にも要るのですね。
条文が前号に掲げるもののほかと書いています。
天井の基準を満たしたうえで開口部の基準がかかる作りです。
どの開口部が対象になるのか

10階以下の部分では延焼のおそれのある部分にあるものだけです。
六 延焼のおそれのある部分
隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積の合計が500平方メートル以内の建築物は、1の建築物とみなす。)相互の外壁間の中心線(ロにおいて「隣地境界線等」という。)から、1階にあつては3メートル以下、2階以上にあつては5メートル以下の距離にある建築物の部分をいう。ただし、次のイ又はロのいずれかに該当する部分を除く。
イ 防火上有効な公園、広場、川その他の空地又は水面、耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分
ロ 建築物の外壁面と隣地境界線等との角度に応じて、当該建築物の周囲において発生する通常の火災時における火熱により燃焼するおそれのないものとして国土交通大臣が定める部分
一つめが隣地境界線 二つめが道路中心線 三つめが同一敷地内に建物が2棟以上あるときの外壁間の中心線です。
その線から1階は3メートル以下 2階以上は5メートル以下にある部分が延焼のおそれのある部分にあたります。
同一敷地内の建物どうしについては 延べ面積の合計が500平方メートル以内なら1の建築物とみなすと書かれているので 小さな別棟がある敷地では中心線を引かないことになります。
除かれる部分も条文に置かれていて 公園 広場 川その他の空地又は水面や耐火構造の壁に面する部分はイによって外れます。
自分の建物の図面に敷地の境界線を重ねて どの窓がこの帯に入るかを先に見てください。
敷地の中に建物が2棟あるので中心線を引く側なのですね。
延べ面積の合計が500平方メートル以内かどうかで扱いが分かれます。
以内であれば2棟をまとめて1の建築物とみなします。
ヘッドはどのように設けることになっているのか

どちらも数字で示されているので現場で確かめられます。
その上枠に、当該上枠の長さ2.5メートル以下ごとに1のスプリンクラーヘッドを設けること。
消防法施行規則第13条の2第4項第1号(標準型ヘッド等)
ヘ 開口部に設けるスプリンクラーヘッドは、当該開口部の上枠より0.15メートル以内の高さの壁面に設けること。
条文は当該上枠の長さ2.5メートル以下ごとに1と書いているので 上枠が長い開口部ほどヘッドの数が増えます。
取り付ける高さも決められていて 規則は上枠より0.15メートル以内の高さの壁面としています。
天井から吊るすのではなく 窓の直上の壁面に付くのはこのためです。
点検票にヘッドの個数が並んでいるときは 上枠の長さと突き合わせると数が合っているかを確かめられます。
内装をやり直して窓の上に下がり壁や幕板を作ると この高さの条件から外れることがあるので図面を先に見てください。
窓の上に飾りの板を回そうという話が出ています。
ヘッドは上枠より0.15メートル以内の高さの壁面に設けることとされています。
着工の前に消防設備士へ図面を見てもらってください。
防火戸があればヘッドは設けなくてよいのか

ただし外れる範囲は思っているより狭く決められています。
ただし、防火対象物の10階以下の部分にある開口部で建築基準法第2条第9号の二ロに規定する防火設備(防火戸その他の総務省令で定めるものに限る。)が設けられているものについては、この限りでない。
消防法施行規則第15条第1項(開口部に設置する防火設備)
令第12条第2項第3号ただし書に規定する防火設備として総務省令で定めるものは、防火戸又はドレンチャー設備とする。
一つめが階で ただし書きも括弧書きも10階以下の部分にある開口部について書かれており 11階以上の部分にはこの限定が置かれていません。
二つめが防火設備の中身で 規則第15条第1項は防火戸又はドレンチャー設備に限っており 網戸や一般のサッシは含まれません。
ドレンチャー設備を選んだ場合は同条第2項の基準が続き ヘッドは開口部の上枠に2.5メートル以下ごとに1個 制御弁は階ごとに床面から0.8メートル以上1.5メートル以下の位置に設けることとされています。
三つめが維持で 改修で防火戸を撤去したり常時開放のまま固定したりすると ただし書きの前提そのものが崩れます。
窓まわりを触る工事のときは 防火戸を残すのかヘッドを付けるのかを設計の段階で所轄消防署に確かめておいてください。
防火戸を外すとヘッドの話に戻ってくるということですね。
ただし書きは防火設備が設けられているものを条件にしています。
撤去すればその条件を満たさなくなります。
明日からなにを確認すればよいのか

どれも普段から手元にあるもので足ります。
九の二 耐火建築物
ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(略)を有すること。
九の三 準耐火建築物
耐火建築物以外の建築物で、イ又はロのいずれかに該当し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に前号ロに規定する防火設備を有するものをいう。
一段めが図面で 配置図に敷地の境界線と道路中心線を重ねて どの外壁面が3メートルと5メートルの帯に入るかを読み取ります。
二段めが現況で その帯に入る開口部に防火戸が付いているか ヘッドが並んでいるかを歩いて見ます。
三段めが点検票で 開口部のヘッドの個数と上枠の長さが合っているかを突き合わせます。
耐火建築物や準耐火建築物では 延焼のおそれのある部分の開口部に防火設備を有することが建築基準法の側でも要件になっているので 建築の書類に手がかりが残っていることが多いはずです。
図面と現況が食い違っていたら そのままにせず所轄消防署と設計者の両方に相談してください。
まず配置図を出してくるところから始めます。
配置図があれば距離の帯はその場で引けます。
そのうえで開口部まわりを見に行ってください。
よくある質問
まとめ
窓の上のヘッドに条文の裏づけがあることを知りませんでした。
まず配置図と現況を突き合わせてみます。
窓まわりの工事は設備の要否まで動かします。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法施行令第12条(スプリンクラー設備に関する基準)第2項第3号
- 消防法施行規則第13条の2(標準型ヘッド等)第4項第1号
- 消防法施行規則第15条(開口部に設置する防火設備)第1項及び第2項
- 建築基準法第2条(用語の定義)第6号 第9号の二及び第9号の三
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





