災害が起きたとき自衛消防隊の全員がそろっているとはかぎりません。
夜間や休日は要員が数えるほどしか建物にいないこともあります。
人が足りない場面で何から手を付けるのかは、活動要領に書いておくことができます。
この記事では人員が限られる場面で優先する対応行動をどう決めて消防計画に書き分けるのかを条文と消防庁のガイドラインから整理します。
消防計画には初期消火も通報も避難誘導も書いてあります。
ただ全部を同時にやれる人数が夜はいないのです。
消防庁のガイドラインもその場面を想定しています。
何を先にするかをあらかじめ示しておくことが有効だと書かれています。
順番をつけると後回しにした業務をやらない言い訳になりませんか。
やらない理由ではなく手が回らないときの並べ方です。
業務そのものを消防計画から削るという話ではありません。
- 自衛消防組織の活動要領は消防計画に定めなければならない事項です
- ガイドラインは少ない人員体制で活動せざるを得ない場面も想定されるとしています
- 優先すべき対応行動をあらかじめ具体的に示しておくことが有効だと書かれています
- 要員の員数を定めた条文が名指ししている業務は4つだけです
- 区画の形成やライフライン途絶への対応は自分で書き足さないと抜け落ちます
▼

目次
自衛消防隊の活動要領とはどこまで決めるものなのか

自衛消防組織の話でよく出てきますが、条文では消防計画に定める事項として並んでいます。
火災に対応するための活動要領は防火管理に係る消防計画に、火災以外の災害に対応するための活動要領は防災管理に係る消防計画に定めます。
どちらの号も「その他の……必要な業務」という受け皿を置いており、名指しされた業務だけで閉じてはいません。
つまり並べる項目も順番も、条文が一つひとつ指定しているわけではなく建物ごとに決める余地があります。
自分の建物の活動要領を開いて、書いてあるのが業務の名前だけになっていないかをまず見てください。
うちは初期消火班と避難誘導班の名前を並べただけでした。
班の名前は編成の話で活動要領はその先です。
誰がどの順で動くかまで書けるところが要領という言葉の意味です。
人員が足りなくなる場面はどう想定されているのか

大きな建物ほどやるべきことは増えますが、そこにいる人の数まで比例して増えるわけではありません。
自衛消防組織の設置が義務になるのは高層や大面積の建物で、そこでの自衛消防活動は多岐にわたります。
一方で夜間や休日は在館する従業員が減り、地震では出社できない要員も出ます。
ガイドラインはその落差を前提にしたうえで、何を優先するかの整理を求めています。
だからこの整理は非常時の思いつきではなく、平常時に紙に落としておく仕事になります。
人が減る前提で書いてよいのですね。
手を抜いていると見られないか心配でした。
むしろ書いていないほうが本番で止まります。
まずは時間帯ごとに動ける人数を数えるところからです。
優先する対応行動として何が挙げられているのか

ガイドラインは、優先すべき対応行動を活動ごとに例示という形で並べています。
先頭が身の安全を守るである点は、地震を想定した並びであることをよく表しています。
揺れている最中に隊員が動けば負傷し、そのあとの通報も誘導もできなくなるからです。
そのうえで覚知から通報、初期消火、被害状況の把握と続き、最後にライフライン途絶への対応が置かれています。
この10の活動を自分の建物に当てはめ、時間帯ごとに動ける人数で回せる範囲まで落とすと活動要領の骨格になります。
つまり隊員自身の安全が一番上ということですね。
そこが崩れると残りが全部止まります。
訓練でも最初の数十秒の身の守り方から確かめてください。
活動要領から抜け落ちやすいのはどの行動か

要員を何人置くかを決めている条文には、業務の名前が四つだけ並んでいます。
この条文が名前を挙げているのは消火活動と情報の収集及び伝達と避難誘導と救出救護の4つです。
ガイドラインが並べた活動と見比べると、身の安全を守ることと災害発生の覚知と区画の形成とライフライン途絶への対応は、この四つの名前には出てきません。
班の名前を条文どおりに四つ作って満足すると、防火戸を閉めて区画を作る役や停電と断水に手を打つ役が誰なのか決まらないまま残ります。
活動要領を作るときは、員数の条文を出発点にしたうえで足りない行動を自分で書き足してください。
言われてみると停電したときに誰が動くか決めていません。
そこは既存の班に足しても構いません。
大事なのは新しい班を作ることではなく担当を空白にしないことです。
明日からなにをすればよいのか

活動要領を書くのは防火管理者や防災管理者ですが、そのもとになる指示は管理権原者が出します。
平日の昼と夜間と休日で、建物の中にいる要員が何人になるかを時間帯ごとに数えます。
次にガイドラインの活動を並べ、その人数で同時に着手できるものと後に回すものを分けます。
分けた結果を活動要領として消防計画に書き、内部組織の編成と要員の配置は届出の記載事項でもあるので設置届の内容ともそろえます。
そのうえで訓練を一度回し、順番どおりに動けたかを確かめてから消防計画へ戻すと形が固まります。
まず時間帯ごとの人数表を作ってみます。
それが一番の近道です。
数が出れば優先の並びは自然に決まります。
よくある質問
まとめ
人が足りない前提で書いてよいとわかって気が楽になりました。
今日のうちに時間帯ごとの人数を数えてみます。
その一枚が活動要領の土台になります。
消防計画の見直しでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の5・第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第4条の2の6・第4条の2の7・第49条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の10第1項第一号・第4条の2の11・第4条の2の15第1項第四号・第51条の10第1項第一号
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊5
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





