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薪ストーブに消防法の決まりはどこまでかかるのか|たき殻受けと取灰入れの違いと移動式が外れる理由を解説

薪ストーブに消防法の決まりはどこまでかかるのか

飲食店やロビーに薪ストーブを据えたいという相談が増えています。
ところが消防署に相談すると、灰の受け皿の話が先に出てきます。
薪や木炭のような固体燃料を燃やすストーブには、ほかの暖房機に無い号が向けられているためです。
この記事では固体燃料のストーブに何がどこまで求められるのかを条文から解説します。

店に薪ストーブを置きたいと言われたのですが、何を確かめればよいのでしょうか。

固体燃料を使うストーブには灰の受け皿が二つ求められます。
名前も置き場所も別のものです。

灰の受け皿が二つとはどういうことでしょうか。

ひとつは設備に付けるたき殻受けで、もうひとつは床や台に置くふたのある取灰入れです。
それぞれ別の条に置かれています。

この記事の結論
  • 固体燃料を使うストーブには不燃材料で造ったたき殻受けを付設することとされています。
  • それとは別にふたのある不燃性の取灰入れを不燃材料で造った床上か台上に設けます。
  • たき口から火粉等が飛散しないものとすることも同じ号に書かれています。
  • 移動式のストーブは対象火気設備等から除かれて器具の側で読みます。
  • 別表第一のストーブの欄に固体燃料の行は置かれていません。

固体燃料のストーブには灰の受け皿が二つあり設備に付設するたき殻受けと不燃材料で造った床上か台上に置くふたのある取灰入れが求められることと移動式のものが対象から外れることをまとめた図解

薪ストーブは消防法のどの決まりで扱われるのか

壁ぎわに据えた薪ストーブと立ち上がる煙突とその前で確認する人を描いた図
薪ストーブは家庭の暖房器具というより、建物に据える設備として扱われます。
その入口になるのは消防法のたった一条です。
消防法(昭和23年法律第186号)第9条 かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。
実際に効くのは市町村の条例です。
消防法第9条は基準そのものを書かず、政令で定める基準に従って市町村条例で定めるとしています。
その政令が消防法施行令第5条で、位置と構造と管理について11の条例制定基準を並べ、細目を総務省令に委ねています。
委ねられた省令が平成14年総務省令第24号で、この記事で読む号はすべてそこに置かれています。
手元で効く条番号は市町村ごとに違うので、自分の市町村の火災予防条例を開いて省令のどの号に当たるかを対応させておくと、あとの相談が早く進みます。

省令を読めば自分の市の条例も分かるのでしょうか。

省令は条例のもとになる基準なので、求めている中身はほぼ重なります。
ただし号の番号までは市町村ごとに違うので所轄で確かめてください。

どの薪ストーブが対象火気設備等になるのか

台に固定した薪ストーブと持ち手のついた移動式のストーブを並べて描いた図
同じ薪を燃やすストーブでも、条文の当たり方は二つに割れます。
分かれ目になるのは条文の括弧書きです。
対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条 令第五条第一項各号列記以外の部分の総務省令で定めるものは、第一号から第十三号までに掲げる設備から配管設備等を除いたもの及び第十四号から第二十一号までに掲げる設備とする。 (略) 六 ストーブ(移動式のものを除く。以下同じ。) (略)
移動式のものは設備から外れます。
省令第3条第6号は対象火気設備等としてストーブを挙げていますが、括弧書きで移動式のものを除いています。
除かれた移動式のストーブは決まりから消えるのではなく、令第5条の2と省令第18条第3号の固体燃料を使用する器具として、取扱いの側の基準で読むことになります。
設備として読むか器具として読むかで、かかる号がまるごと入れ替わります。
ただし移動式の定義はこの省令に置かれていないので、床や壁への固定と煙突のつなぎ方をそのまま伝えて所轄消防署に確かめてください。

煙突をつないでいれば移動式ではないと言えますか。

条文は移動式としか書いておらず、判断の物差しまでは示していません。
据え付けの状況が分かる写真を持って所轄消防署にご確認ください。

たき殻受けと取灰入れはそれぞれ何を求めているのか

引き出し式のたき殻受けが付いた薪ストーブとふたのある取灰入れを台の上に置いた図
灰にまつわる号は二つあり、置かれている条も狙いも違います。
名前が似ているので現場で取り違えが起きます。
同省令第10条 (略) 九 固体燃料を使用するストーブ及び簡易サウナ設備にあっては、不燃材料で造ったたき殻受けを付設すること。 同省令第11条 (略) 五 固体燃料を使用するものにあっては、たき口から火粉等が飛散しないものとするとともに、ふたのある不燃性の取灰入れを不燃材料で造った床上又は台上に設けるか、又は当該対象火気設備等の底面の通気が図られたものとすること。
片方は設備に付け片方は床に置きます。
第10条第9号のたき殻受けは、設備そのものに付設することを求めるもので、材料は不燃材料と指定されています。
一方で第11条第5号の取灰入れは、ふたのある不燃性のものを不燃材料で造った床上または台上に設けるという、置き場所まで含んだ求め方になっています。
第10条は火災の発生のおそれのある部分の構造、第11条は周囲に火災が発生するおそれが少ない構造という別々の柱書きのもとにあるので、片方だけでは足りません。
灰を運ぶバケツを用意して終わりにせず、ストーブ本体に受けが付いているかを合わせて確かめてください。

たき殻受けはどんな部品を指すのでしょうか。

条文は不燃材料で造ったたき殻受けとしか書いておらず、形までは決めていません。
機種の取扱説明書と一緒に所轄消防署へ持ち込むのが確実です。

据え付ける場所で見落としやすいのはどこか

板の床に直に置いた薪ストーブと石の台の上に据えた薪ストーブを並べて描いた図
灰の受け皿をそろえても、据えた床のところで引っかかることがあります。
床については別の条が待ち構えています。
同省令第7条 令第五条第一項第三号の総務省令で定める不燃性の床等は、不燃材料のうち金属以外のもので造られた床若しくは台又は土間とする。 同省令第6条 令第五条第一項第三号の防火上支障がないものとして総務省令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とする。 一 対象火気設備等を不燃材料のうち金属で造られた床上又は台上に設ける場合に、当該対象火気設備等の底面の通気を図る等、直接熱が伝わらない措置が講じられた場合 (略)
鉄板を一枚敷くだけでは足りません。
令第5条第1項第3号は屋内に設ける場合に不燃性の床等の上に設けることを求めていて、その中身が省令第7条で不燃材料のうち金属以外のものと限られています。
金属の床や台にするのであれば、省令第6条第1号のとおり底面の通気を図るなど直接熱が伝わらない措置が別に要ることになります。
壁までの距離のほうも見落としやすく、別表第一のストーブの欄は気体燃料と液体燃料に分かれているだけで、固体燃料の行が置かれていません
そのため表の上では同じ欄の上記に分類されないものとして、上方150センチメートル・側方100センチメートル・前方150センチメートル・後方100センチメートルという値を読むことになります。

石の板を敷いておけば大丈夫でしょうか。

その材料が建築基準法でいう不燃材料に当たるかどうかで結論が変わります。
製品の資料を添えて所轄消防署にご相談ください。

明日からなにを確認すればよいのか

薪ストーブを確認する人と相談に向かう消防署の窓口を並べて描いた図
条文を並べてみると、見るべきものはそれほど多くありません。
現物で確かめられるものから順に片づけます。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条 (略) 十一 対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと。
点検と整理は管理の側にあります。
令第5条第1項第11号は、対象火気設備等について必要な点検および整備を行い、周囲の整理および清掃に努めることを条例制定基準として置いています。
一方でこの省令には、固体燃料のストーブの煙突を名指しした号がひとつも置かれていません。
条文に書かれていないことを条文から読み取ろうとすると迷うので、煙突まわりは早い段階で所轄消防署と建築の担当に振り分けたほうが進みます。
まずはたき殻受けと取灰入れと床の材質と周囲の距離の四つを写真に撮り、機種の資料を添えて相談してください。

つまり受け皿と床と距離を見ればよいのですね。

そのとおりで、条文の並びは市町村の火災予防条例に置き換わって効きます。
号の番号は市町村ごとに違うので所轄でお確かめください。

よくある質問

Q移動式のストーブには何の決まりもかからないのですか?
A移動式のストーブは省令第3条第6号の括弧書きで対象火気設備等から除かれますが、消防法施行令第5条の2と省令第18条第3号の対象火気器具等として、取扱いの側の基準がかかります。建築物等および可燃物との間に距離を保つことや、屋内で使用する場合は不燃性の床、台等の上で使用することなどが条例制定基準として置かれています。
Qたき殻受けが付いていない機種は使えないのですか?
A第10条第9号は不燃材料で造ったたき殻受けを付設することとしており、機種に最初から付いているかどうかまでは書いていません。実際に効くのは市町村の火災予防条例なので、機種の資料を持って所轄消防署にご確認ください。
Q取灰入れは金属のバケツでよいのですか?
A第11条第5号が求めているのはふたのある不燃性の取灰入れで、材質を金属に限る書き方はしていません。ただし、それを置く床または台のほうは不燃材料で造ったものとされているので、入れ物と置き場所を合わせて考える必要があります。
Qペレットストーブも固体燃料のストーブになりますか?
Aこの省令に固体燃料の定義は置かれておらず、ペレットという語も出てきません。燃料が固体かどうかで読み分けることになるので、燃料の種類が分かる機種の資料を所轄消防署に示して確かめてください。

まとめ

薪ストーブの決まりは消防法第9条から市町村の条例へ下りてきます。
対象火気設備等のストーブからは移動式のものが除かれています。
固体燃料のストーブには不燃材料で造ったたき殻受けを付設します。
それとは別にふたのある不燃性の取灰入れを不燃材料の床上か台上に設けます。
たき口から火粉等が飛散しないものとすることも同じ号にあります。
屋内の不燃性の床等は不燃材料のうち金属以外のものと限られています。
別表第一のストーブの欄に固体燃料の行は置かれていません。

ストーブの下の床と取灰入れを見てきます!

受け皿は設備に付けるものと床に置くものの二つがあります
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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条・第5条の2
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第6条・第7条・第10条・第11条・第18条・別表第一
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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飲食店やロビーに薪ストーブを据えたいという相談が増えています。 ところが消防署に相談すると、灰の受け皿の話が先に出てきます。 薪や木炭のような固体燃料を燃やすストーブには、ほかの暖房機に無い号が向けられているためです。 ...