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自衛消防組織の要員を警備会社に任せたら誰が指示を出すのか|統括管理者が統括する範囲と消防計画への書き方を解説

自衛消防の要員を委託したら誰が指示を出すのか

大きな建物では、防災センターの当直や夜間の巡回を警備会社に任せているところが多くあります。
その人たちを自衛消防組織の要員に数えてよいのか、という質問をよく受けます。
条文は要員の雇用形態を限っていませんが、指揮の筋道のほうは別に決められています。
この記事では委託先の要員を自衛消防組織のどこに置き誰の指示で動かすのかを整理します

防災センターの当直は警備会社に任せています。
この人たちを自衛消防の要員に入れてよいのでしょうか。

入れられます。
条文は要員に雇用の形を求めていません。

それなら災害のときは警備会社の責任者が動かすことになるのでしょうか。

そこは分かれます。
自衛消防組織を統括するのは統括管理者ひとりと定められています。

この記事の結論
  • 自衛消防組織の要員は自社の従業員に限られていません
  • 条文が求めているのは業務ごとの員数だけで雇用の形ではありません
  • 委託先の要員も内部組織のどこに入るのかを区分して配置します
  • 災害のときに指示を出すのは委託先の責任者ではなく統括管理者です
  • 契約書に書いてあっても消防計画に書かなければ足りません

委託先の人も要員になれるが班のどこに入るかを決め指示は統括管理者から出し契約でなく消防計画に書くという流れを並べた図解

自衛消防組織の要員は自社の従業員でなければならないのか

左の建物の横に並ぶ四つの台に作業服の人と制帽の人が二人ずつ立っているイラスト
はじめに、法令が自衛消防組織の要員について何を求めているのかを確かめます。
人数の話は消防法施行規則に置かれていて、そこに書かれているのは業務の区分と員数だけです。
消防法施行規則第4条の2の11(自衛消防組織の要員の員数等) 自衛消防組織には、次の各号に定める業務について、それぞれおおむね二人以上の要員を置かなければならない。 一 火災の初期の段階における消火活動に関する業務 二 情報の収集及び伝達並びに消防用設備等その他の設備の監視に関する業務 三 在館者が避難する際の誘導に関する業務 四 在館者の救出及び救護に関する業務
条文が定めているのは業務と員数だけです
要員が自社の社員なのか委託先の社員なのかという区別は、この条文のどこにも出てきません。
実際に、防災センターの監視を委託先の要員が担っている建物は珍しくありません。
第二号の情報の収集及び伝達並びに設備の監視は、まさにその人たちが日ごろ行っている業務です。
まずは自分の建物の編成表を開いて、四つの業務それぞれに何人が割り当てられているかを数え直してください。

うちの編成表は社員の名前しか載っていません。
警備の方は数に入れていませんでした。

実際に動く人が載っていないと編成表の意味がありません。
担っている業務ごとに書き込んでみてください。

委託先の要員は自衛消防組織のどこに置くのか

仕切り壁で区切られた四つの台に作業服の人と制帽の人が立ち各台の前に札の付いた柱が立っているイラスト
次に、編成表のどこへ書き込むのかを確かめます。
班のような内部組織を作るときの決まりが、消防法施行規則に置かれています。
消防法施行規則第4条の2の10第3項 自衛消防組織にその業務を分掌する内部組織を編成する場合は、当該内部組織の業務の内容及び活動の範囲を明確に区分し、当該内部組織にその業務の実施に必要な要員を配置するとともに、当該内部組織を統括する者を置くものとする
求められているのは区分と配置と統括する者の三つです
委託先の要員を入れるかどうかで、この三つの中身が変わることはありません。
たとえば通報連絡の班に委託先の要員を置くなら、その班の活動の範囲を先に区切ります。
そのうえで人を配置し、その班を統括する者が誰なのかを決めます。
なお内部組織の編成と自衛消防要員の配置は、消防法施行規則第4条の2の15第1項第4号により設置の届出にも書く事項とされているので、編成表と届出の内容がずれていないかも合わせて見てください。

班を統括する者は、委託先の人でもよいのでしょうか。

条文は統括する者の資格や所属を限っていません。
誰を置くにしても消防計画で名指ししておくことが先です。

災害のときは誰の指示で動くのか

中央の高い台に立つ作業服の人から左右の四つの台に立つ人へ横棒が伸びているイラスト
ここがこの記事のいちばん大事なところです。
指揮の筋道は、消防法施行令にひと言だけ置かれています。
消防法施行令第4条の2の8第2項 統括管理者は、自衛消防組織を統括する。
指揮の筋道は契約の数だけ増えたりしません
統括するのはひとりだと書かれているので、委託先の要員も統括管理者の指示で動くことになります。
委託先の社内では別の指揮系統があるはずですが、災害のときの建物の中はそちらではありません。
この筋道を書き留める場所が、防災管理では消防法施行規則第51条の10第1項第1号の活動要領です。
誰が誰に指示を出し、その指示をどの手段で伝えるのかまで書いておくと、当日に迷わずに済みます。

つまり建物の中では指揮系統がひとつに束ねられるということですね。

そのとおりです。
伝える手段まで活動要領に書いておくと現場が動けます。

契約書に書いてあれば消防計画は要らないのか

左は契約の書類だけが載った机と空の書棚で右は書類とバインダーが並ぶ机に作業服の人と制帽の人が立つイラスト
実務でいちばん見落とされているのがここです。
業務の一部を外に任せている建物には、消防計画への記載義務が別に置かれています。
消防法施行規則第3条第2項(第51条の8第2項により防災管理に係る消防計画に準用) 防火管理上必要な業務の一部が当該防火対象物の関係者(略)及び関係者に雇用されている者(当該防火対象物で勤務している者に限る。)以外の者に委託されている防火対象物にあつては、当該防火対象物の防火管理者は、前項の消防計画に、当該受託者の氏名及び住所(略)並びに当該受託者の行う防火管理上必要な業務の範囲及び方法を定めなければならない
契約書と消防計画は別のものです
条文が求めているのは、消防計画のほうに受託者と業務の範囲及び方法を書くことです。
契約書に細かく書いてあっても、消防計画が空欄のままなら義務を果たしたことになりません。
逆に消防計画に「初期消火も担当する」と書いたのに、契約の業務の範囲が巡回だけなら、当日その人は動けません。
総務省消防庁の大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドラインでも、防災センター等に勤務する委託者との契約内容により災害対応に支障を来すことのないよう連携体制を構築することとされています。

契約書のほうを見たことがありませんでした。
消防計画と食い違っていたらどうなるのでしょうか。

食い違ったままだと当日に手が止まります。
両方を並べて業務の範囲をそろえるところから始めてください。

明日からなにを確かめればよいのか

バインダーと書類が載った机に座る作業服の人と向かい合う制帽の人と右の書棚を描いたイラスト
最後に、手元でできる確認の順序をまとめます。
迷ったときに誰へ相談すればよいのかも、消防法施行令が決めています。
消防法施行令第48条第3項 防災管理者は、防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防災管理対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない
確かめる順序は三つです
一つ目は編成表で、委託先の要員が担っている業務の欄に実際に載っているかを見ます。
二つ目は活動要領で、誰の指示でその人たちが動くのかが書いてあるかを見ます。
三つ目は契約書と消防計画を並べて、業務の範囲と方法がそろっているかを見ます。
三つのうち一つでも欠けていたら、自分で決めてしまう前に管理について権原を有する者の指示を求めてください。

三つとも今週のうちに見られそうです。
契約書はビル管理の担当に出してもらいます。

その順で見れば抜けが分かります。
直した内容は次の訓練で確かめておいてください。

よくある質問

Q委託先の要員も自衛消防業務講習を受けていなければなりませんか?
A講習の課程の修了が求められているのは統括管理者で、消防法施行令第4条の2の8第3項に定められています。要員そのものに修了を求める規定は置かれていません。ただし消防法施行規則第51条の10第1項第2号で要員に対する教育及び訓練を消防計画に定めることとされているので、委託先の要員も対象に含めて書いてください。
Qある業務の要員を委託先の人だけでそろえてもよいのですか?
A消防法施行規則第4条の2の11は業務ごとにおおむね二人以上と定めているだけで、その内訳までは書かれていません。もっとも夜間や休日に自社の従業員が誰もいない時間帯ができるのであれば、統括管理者やその代行者が建物にいるかどうかを合わせて確かめてください。
Q警備の委託先を切り替えたときは届出をやり直すのですか?
A自衛消防組織の設置の届出は、消防法第8条の2の5第2項により届け出た事項を変更したときにも必要とされています。内部組織の編成及び自衛消防要員の配置は届出事項なので、委託先が替わって配置が変わるのであれば届け出ることになります。
Q防火管理と防災管理で書き分けが必要になりますか?
A消防法施行令第49条の読替えにより、自衛消防組織の業務のうち火災に対応する部分は防火管理に係る消防計画へ、火災以外の災害に対応する部分は防災管理に係る消防計画へ定めることとされています。委託先の要員の位置づけは両方に関わるので、同じ言葉で書きそろえてください。

まとめ

条文が定めているのは業務の区分と員数だけです
要員が自社の社員か委託先の社員かという区別は書かれていません
内部組織には区分と配置と統括する者の三つが求められます
編成と配置は設置の届出にも書く事項とされています
災害のときに統括するのは統括管理者ひとりです
その筋道を書き留める場所が消防計画の活動要領です
契約書の業務の範囲と消防計画の記載はそろえておきます

契約の話と消防計画の話が別ものだと分かりました。
まずは編成表から見直します。

そこがそろえば活動要領は整います。
消防計画の書き方でお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の5第1項・第2項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の8第2項・第3項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第48条第3項・第49条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第2項・第4条の2の10第3項・第4条の2の11
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の15第1項・第51条の8第2項・第51条の10第1項
  • 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊3
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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