夏祭りや花火大会の会場に露店を並べる相談を受けることがあります。
人出が増えるほど消防署から求められることも重くなり、当日の朝に慌てる場面が生まれます。
ところが指定催しという言葉は、消防法の条文をいくら探しても出てきません。
この記事では屋外の大規模な催しに求められる防火担当者と計画を条文から解説します。
地域の祭りで露店を出したいと相談されました。
規模が大きいと防火担当者を決める義務が出ます。
届出を出して終わりではありません。
そんな決まりは消防法のどこに載っているのでしょうか。
消防法ではなく市町村の火災予防条例にあります。
順に見ていきましょう。
- 屋外の大規模な催しは消防長が指定催しとして指定します。(火災予防条例(例)第42条の2第1項)
- 指定を受けた主催者は速やかに防火担当者を定めなければなりません。(同(例)第42条の3第1項)
- 防火担当者に6つの事項を含む火災予防上必要な業務に関する計画を作らせます。(同(例)第42条の3第1項)
- 計画は開催する日の14日前までに消防長へ提出します。(同(例)第42条の3第2項)
- 指定の要件も条番号も市町村ごとに異なります。(消防法第9条)
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目次
指定催しとはどんな催しなのか

火の使い方の決まりは市町村の条例に委ねられていて、その条例の中に置かれています。
消防法第9条は、火を使用する設備や器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項を、政令で定める基準に従い市町村条例で定めるとしています。
その条例のひな形として総務省消防庁が示しているのが火災予防条例(例)で、第5章の2に「屋外催しに係る防火管理」という節が置かれています。
条文は「指定しなければならない」と書かれており、要件に当たる催しであれば消防長に指定する義務があります。
東京消防庁は、平成25年8月に発生した京都府福知山市の花火大会火災を契機として火災予防条例が改正されたと説明しています。
つまりこの仕組みは、露店の周りで実際に起きた火災を受けて後から積み上げられた屋外の防火管理の枠組みだということです。
建物ではなく催しそのものが対象になるのですね。
屋外の催しだけを見ている節です。
次はどこで線が引かれるかを見ましょう。
どんな催しが指定を受けるのか

線をどこに引くかは消防長に委ねられ、指定の手続だけが条例に置かれています。
第42条の2第1項は「大規模なものとして消防長が別に定める要件」と書いており、具体的な数字は各消防本部の側に置かれています。
東京消防庁は、1日当たり10万人以上の人出が予想され、かつ主催する者が出店を認める露店等の数が100店舗を超えるものを要件として公表しています。
大阪市は同じ制度を大阪市火災予防条例第55条の4と第55条の5に置き、要件は告示で定めるという形をとっています。
指定の前には主催する者の意見を聴くことになっていますが、主催する者のほうから指定を求めたときはこの手続が省かれます。
指定されたかどうかは通知と公示で分かるので、大きな催しを予定しているなら会場を管轄する消防署の公表を先に見ておいてください。
同じ規模の催しでも街によって扱いが変わるのですか。
要件も条番号も市町村ごとに違います。
次は指定された後にやることです。
主催者はなにをしなければならないのか

どちらにも期限が付いているのがこの制度の特徴です。
第42条の3第1項が求めているのは、防火担当者を速やかに定め、その者に計画を作成させ、計画に基づく業務を行わせることの三つです。
計画に盛り込む事項は同項の第一号から第六号までで、実施体制の確保、対象火気器具等の使用と危険物の取扱いの把握、露店等及び客席の安全な配置、消火準備、火災が発生した場合の消火活動と通報連絡と避難誘導、その他火災予防上必要な業務の6つです。
そのうえで第2項が、同じ14日前という期限で計画そのものを消防長へ提出することを求めています。
開催日の14日前を過ぎてから指定を受けたときは、防火担当者を定めた後遅滞なく計画を作成させ、消防長が定める日までに提出することとされています。
指定の通知が届いたら、まず担当者を決める人事と会場図の作成を同時に動かしてください。
つまり会場の配置図まで計画に入るのですね。
露店と客席の配置が第三号に入っています。
次は取りこぼしやすい点を見ましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

催しの規模に関係なく効いてくる決まりが、別の条文に置かれています。
この号は消防法第9条を受けた条例制定基準そのもので、これに従って各市町村の条例が消火器の準備を定めています。
火災予防条例(例)では第18条第1項第9号の2がこれに当たり、指定催しかどうかとは無関係に働きます。
もう一つ落としやすいのが露店等の開設の届出で、火災予防条例(例)第45条第6号は対象火気器具等を使用する露店等の開設をあらかじめ届け出るものとしています。
東京消防庁はこの届出を開設の3日前までとしており、計画の提出とは別の手続として案内しています。
条番号も期限も市町村ごとに違うので、(例)の番号のまま自分の管轄の条例を探さないでください。
指定を受けなくても届出は要るということですか。
火を使う露店を出す時点で別に必要です。
最後に手元で確かめる順番をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

条文が求めている順番どおりに手を動かすのが近道です。
- 会場を管轄する消防署の火災予防条例で、指定催しの条番号と要件を確かめる(消防法第9条)
- 予定している人出と露店等の数を書き出し、公表されている要件と突き合わせる(火災予防条例(例)第42条の2第1項)
- 指定の通知が届いたら、その日のうちに防火担当者を決める(同(例)第42条の3第1項)
- 第一号から第六号までの6つの事項を並べた計画の様式を消防署で受け取る(同(例)第42条の3第1項)
- 開催する日の14日前までに計画を提出する(同(例)第42条の3第2項)
- 火を使う露店等の出店者に、開設の届出と消火器の準備を先に伝えておく(同(例)第45条第6号)
主催する者からの指定の求めは第42条の2第2項ただし書に書かれており、こちらから声を掛けることができます。
大きな催しを毎年開いているなら、前年の公示を見れば自分の催しが指定されていたかどうかも分かります。
出店者への周知は主催者にしかできない仕事で、計画の第三号が求める安全な配置も出店区画を割る前に決めておくほうが早いです。
迷ったら会場を管轄する消防署に、催しの名称と予定人数と露店等の数を持って相談してください。
出店の募集を始める前に消防署へ行けばよいのですね。
区画を割ってからでは配置を直せません。
先に相談したほうが手戻りが減ります。
よくある質問
まとめ
今年の会場図を出して消防署に相談してきます。
その一歩で当日の慌ただしさが変わります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条の2第1項第6号
- 総務省消防庁「火災予防条例(例)」第18条第1項第9号の2・第42条の2・第42条の3・第45条第3号・第45条第6号
- 東京消防庁「多数の者の集合する催しにおける火災予防について」
- 大阪市「指定催し(屋外における大規模な催し)について」(大阪市火災予防条例第55条の4・第55条の5)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





