図面や検査済証に耐火構造という言葉が並んでいることがあります。
そのすぐ横に準耐火構造や防火構造と書かれていると違いが見えなくなります。
この三つは守る範囲ともちこたえる時間で分かれています。
この記事では三つの構造の違いと消防法令での使われ方を条文から解説します。
うちの建物の書類に準耐火構造と書いてありました。
耐火構造とはどう違うのでしょうか。
どちらも建築基準法が定めている構造です。
火に対してどこまで持ちこたえるかという時間の長さが違います。
建築の話なら消防の書類には関係ないということでしょうか。
消防用設備等の基準はこの区分で面積の数値が動きます。
建物の構造を知らないまま点検票だけを見ても答えは出ません。
- 耐火構造と準耐火構造と防火構造はいずれも建築基準法第2条が定める用語です。
- 耐火構造は火災が終わるまでの間倒壊と延焼を防ぐ性能を持つ構造です。(建築基準法第2条第7号)
- 耐火構造に求められる時間は最上階から数えた階数で変わり柱とはりは最長で3時間です。(建築基準法施行令第107条)
- 準耐火構造は主要な部分が45分間で屋根と階段は30分間とされています。(同令第107条の2)
- 防火構造が対象にしているのは外壁と軒裏だけで時間は30分間です。(同令第108条)
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目次
建築物の構造に耐火や防火という区分があるのはなぜか

どの部分にどこまでの性能を求めるかで名前が分かれています。
五 主要構造部
壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
七 耐火構造
壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
条文は耐火構造を壁 柱 床その他の建築物の部分の構造と書いていて 建物そのものを支えている部分を丸ごと相手にしています。
一方で防火構造は同じ第2条の第8号で外壁又は軒裏の構造と限って定義されています。
つまり同じ火に強い構造でも 建物全体を見ているものと外まわりだけを見ているものがあるということです。
そして耐火構造も準耐火構造も 求められる中身は建築基準法施行令に置かれた技術的基準に投げられています。
自分の建物の書類にどちらの言葉が書かれているかを先に確かめると 次に読む条文が決まります。
防火構造は外壁と軒裏だけの話だったのですね。
定義の書き出しが外壁又は軒裏となっています。
柱や床については何も求めていない構造です。
耐火構造は火災が終わるまでなにを守る構造なのか

そして時間はその部分がどの階にあるかで変わります。
一 次の表の上欄に掲げる建築物の部分にあつては、当該各部分に通常の火災による火熱が同表の下欄に掲げる当該部分の存する階の区分に応じそれぞれ同欄に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(表のうち柱及びはりの欄)最上階及び最上階から数えた階数が2以上で4以内の階 1時間/最上階から数えた階数が5以上で9以内の階 1.5時間/最上階から数えた階数が10以上で14以内の階 2時間/最上階から数えた階数が15以上で19以内の階 2.5時間/最上階から数えた階数が20以上の階 3時間(屋根及び階段の欄はいずれも30分間)
二 前号に掲げるもののほか、壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が1時間(略)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が(略)可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
三 前二号に掲げるもののほか、外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が1時間(略)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。
第1号が壊れないこと 第2号が裏側の面を燃え出す温度まで上げないこと 第3号が屋外へ火炎を出す亀裂を作らないことです。
このうち時間の表が置かれているのは第1号だけで 柱とはりは最上階から数えて20以上の階になると3時間まで求められます。
下の階ほど長い時間になるのは 上の階が積み重なっている分だけ支える役目が重くなるからだと読める書き方です。
一方で屋根と階段は階の区分に関係なく30分間とされていて 同じ耐火構造でも部分によって求められる時間はまったく違います。
自分の建物の階数と 見ている部分が柱なのか屋根なのかを分けて考えると条文が読めるようになります。
耐火構造といっても一律に何時間と決まっているわけではないのですね。
表の見出しが当該部分の存する階の区分になっています。
同じ建物でも階と部位で読む欄が変わります。
準耐火構造と防火構造はどこが違うのか

けれども条文は火がどちらから来るかで書き分けています。
七の二 準耐火構造
壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、準耐火性能(通常の火災による延焼を抑制するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので(略)。
八 防火構造
建築物の外壁又は軒裏の構造のうち、防火性能(建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄網モルタル塗、しつくい塗その他の構造で(略)。
建築基準法施行令第107条の2(準耐火性能に関する技術的基準)第1号(抜粋)
間仕切壁(耐力壁に限る。) 45分間/外壁(耐力壁に限る。) 45分間/柱 45分間/床 45分間/はり 45分間/屋根(軒裏を除く。) 30分間/階段 30分間
建築基準法施行令第108条(防火性能に関する技術的基準)
一 耐力壁である外壁にあつては、これに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
二 外壁及び軒裏にあつては、これらに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
準耐火性能は通常の火災による延焼を抑制するためのもので 屋内で起きた火災も含めて建物の各部分に求められます。
これに対して防火性能の定義には建築物の周囲において発生する通常の火災と書かれていて 外から迫る火を前提にしています。
第108条の第1号も第2号も加熱の向きが建築物の周囲からになっており 屋内から屋外へ火炎を出さないことを求める号は置かれていません。
時間で見ても準耐火構造は柱やはりが45分間 屋根と階段が30分間なのに対し 防火構造は外壁と軒裏について30分間だけです。
木造の住宅や小規模な建物で防火構造と書かれていたら それは隣からのもらい火を抑えるための仕様だと読んでください。
防火構造は外からの火を止めるための仕様ということですね。
定義に建築物の周囲において発生すると書いてあります。
屋内の火災を受け持つ構造とは前提が違います。
実務で見落としやすいのはどこか

ただし出てくる言葉は建築基準法と同じものばかりではありません。
屋外消火栓設備は、別表第一(一)項から(十五)項まで、(十七)項及び(十八)項に掲げる建築物で、床面積(略)が、耐火建築物にあつては9,000平方メートル以上、準耐火建築物(建築基準法第2条第九号の三に規定する準耐火建築物をいう。以下同じ。)にあつては6,000平方メートル以上、その他の建築物にあつては3,000平方メートル以上のものについて設置するものとする。
一つめが言葉の使い分けで 消防法にも消防法施行令にも消防法施行規則にも防火構造という語は出てきません。
消防用設備等の基準で構造が問われるときに条文が使うのは耐火構造 準耐火構造 耐火建築物 準耐火建築物です。
二つめが耐火構造と耐火建築物の混同で 建築基準法第2条第九号の二は特定主要構造部が耐火構造であることに加えて 延焼のおそれのある部分の開口部に防火設備を有することも求めています。
三つめが階の数え方で 第107条の表の備考は 階数に算入されない屋上部分をこの表の適用については最上階に含めるとし 地階の部分の階数は全て算入するとしています。
書類に耐火構造とだけ書かれていても それだけで屋外消火栓設備の9,000平方メートルの欄を使ってよいことにはならないので 建築の確認書類まで戻って確かめてください。
耐火構造と書いてあれば耐火建築物だと思っていました。
開口部の防火設備まで揃って耐火建築物になります。
面積の欄を選ぶ前に確認済証の記載を見てください。
明日からなにを確認すればよいのか

そこで決まった構造が消防の面積の数値まで動かします。
前項の規定の適用については、同項各号(第五号を除く。)に掲げる防火対象物又はその部分の延べ面積又は床面積の数値は、特定主要構造部(略)を耐火構造とし、かつ、壁及び天井(略)の室内に面する部分(略)の仕上げを難燃材料(略)でした防火対象物にあつては当該数値の三倍の数値(略)とし、特定主要構造部を耐火構造としたその他の防火対象物又は建築基準法第2条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当し、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした防火対象物にあつては当該数値の二倍の数値(略)とする。
一つめが確認済証と検査済証で 自分の建物が耐火建築物なのか準耐火建築物なのかその他なのかを読み取ります。
二つめが設計図書で 主要構造部の仕様と 壁や天井の室内に面する部分の仕上げがどの材料かを見ます。
三つめが消防用設備等の点検票で 屋内消火栓設備や屋外消火栓設備の設置の根拠になっている面積が この構造と仕上げの前提と合っているかを突き合わせます。
内装をやり直したり増築したりすると 倍読みの前提が崩れて設置義務のかかる面積が下がることがあります。
工事の話が出た段階で設計者と所轄消防署の両方に構造と仕上げの扱いを確かめておいてください。
まず検査済証を探すところから始めてみます。
そこに構造の区分が書かれています。
点検票の面積と合っているかを並べて見てください。
よくある質問
まとめ
似た言葉だと思って読み飛ばしていました。
まず自分の建物がどれなのかを確かめます。
構造の区分は消防用設備等の要否まで動かします。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 建築基準法第2条(用語の定義)第5号 第7号 第7号の二及び第8号
- 建築基準法施行令第107条(耐火性能に関する技術的基準)
- 建築基準法施行令第107条の2(準耐火性能に関する技術的基準)
- 建築基準法施行令第108条(防火性能に関する技術的基準)
- 消防法施行令第11条(屋内消火栓設備に関する基準)第2項
- 消防法施行令第19条(屋外消火栓設備に関する基準)第1項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





