敷地の隅の使っていない土地や、テナントが抜けたままの別棟をお持ちの建物は少なくありません。
そこに生えた枯草や積みっぱなしのパレットは、放火の火種になりやすい場所として扱われています。
そして片づけを求めているのは消防法ではなく、市町村が定める火災予防条例のほうです。
条例の義務は消防署の命令を待たずに最初からかかっています。
うちの倉庫の裏に会社名義の空き地があって夏が終わると草がすっかり枯れています。
そこまで防火管理の話に入るとは思っていませんでした。
その枯草は火災予防条例が名指しで除去を求めているものです。
命令を待つ必要はありません。
隣に使っていない別棟もあります。
鍵は掛けていますが周りに古いパレットを積んだままです。
空家の側は侵入の防止まで条文に書かれています。
まずどちらの条文が効いているのかから見ていきましょう。
- 消防庁が示す火災予防条例(例)第24条第1項は空地の枯草等の燃焼のおそれのある物件の除去その他火災予防上必要な措置を求めている
- 同条第2項は空家について侵入の防止と周囲の燃焼のおそれのある物件の除去その他火災予防上必要な措置を求めている
- 義務がかかるのは空地が所有者と管理者と占有者の3者で空家は所有者と管理者の2者にとどまる
- 消防法の本則には空地や空家という語で関係者に直接この義務を課す条文が無く置かれているのは第3条第1項の措置命令のほうである
- 条番号は市町村ごとに違い条例(例)では第24条だが広島市火災予防条例では第25条である
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目次
空地と空家の管理義務とはどんな決まりなのか

市町村の火災予防条例が、はじめから関係者に向けて書いている条文です。
2 空家の所有者又は管理者は、当該空家への侵入の防止、周囲の燃焼のおそれのある物件の除去その他火災予防上必要な措置を講じなければならない。
語尾が講じなければならないで終わっている点が、消防法の措置命令の条文との決定的な違いです。
消防法第3条第1項は消防長や消防署長が命ずることができると書いており、命令があってはじめて相手方の義務が生まれます。
これに対して条例のこの条は、命令の有無にかかわらず所有者や管理者の側に直接かかっています。
上に引いたのは総務省消防庁が示している条例(例)の条文で、実際に効力を持つのは自分の市町村が制定した条例のほうです。
命令が出てから片づければよいと思っていました。
条例は最初から講じなければならないと書いています。
次は誰にかかるのかを見ます。
管理の義務は誰にかかるのか

この差は消防法が用語として定めている関係者の中身を知ると読み解けます。
4 関係者とは、防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者をいう。
条例(例)第24条第1項は空地について所有者と管理者と占有者を並べ、第2項は空家について所有者と管理者しか挙げていません。
つまり土地を借りて資材置場や来客用の駐車場として使っている側も、空地のほうでは義務を負う立場になります。
自社所有ではないから関係ないという整理は、条文の文言からは出てきません。
借りている土地と使っていない棟が敷地内にあるなら、誰が刈るのかを契約と社内の分担の両方で決めておくのが実務の入口になります。
土地を借りている側にも義務がかかるのですね。
空地の側は占有者まで書かれています。
次は具体的になにをするのかです。
具体的になにをしなければならないのか

なにが燃焼のおそれのある物件なのかは、消防法が措置命令の対象として挙げている物件が手がかりになります。
三 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理
四 放置され、又はみだりに存置された物件(前号の物件を除く。)の整理又は除去
第3号は燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理と書いており、刈った草をその場に積んでおけば物件が残ったままになります。
第4号は燃えるかどうかにかかわらず、放置され又はみだりに存置された物件の整理又は除去を挙げています。
空家の側で条例が求めているのは、周囲の物件の除去に加えて侵入の防止という行為そのものです。
草を刈り、刈った草を運び出し、壁際のパレットや段ボールを離し、使っていない棟の出入口を閉じておく。ここまでが条文の並びから読み取れる作業になります。
つまり刈って運び出すところまでが除去ということですね。
積んだままにすると存置と見られる余地が残ります。
次は見落としやすい点を見ます。
実務で見落としやすいのはどこか

そこで後回しにしてしまうのが、この論点でいちばん多い落とし穴です。
一 第30条の規定に違反して指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱つた者
二 第31条の規定に違反した者
三 第33条又は第34条の規定に違反した者
四 第42条の3第2項の規定に違反して、同条第1項に規定する火災予防上必要な業務に関する計画を提出しなかつた者
条例(例)第49条が挙げているのは危険物と指定可燃物と屋外催しの計画に関する条で、第24条は入っていません。
ただし放置された燃焼のおそれのある物件は消防法第3条第1項の命令の対象になり、その命令に従わなければ同法第44条第1号により30万円以下の罰金又は拘留とされています。
もうひとつの落とし穴が条番号で、条例(例)では第24条ですが広島市火災予防条例では第25条が同じ見出しの条になっています。
条文を引いて社内に説明するときは、条例(例)の番号ではなく自分の市町村の条例の番号を確かめてから書いてください。
条例に罰則が無いなら後回しでもよいのでしょうか。
放置すれば消防法第3条の命令へ進みます。
次は明日からの確認手順です。
明日からなにを確認すればよいのか

条例(例)の第1条は、この条例がなにを定めるためのものかを掲げています。
市町村の例規集で火災予防条例を開き、空地及び空家の管理という見出しの条を探して条番号を控えます。
次に敷地の配置図を出して、建物が建っていない区画と使っていない棟に印を付けます。
そのうえで外周を一周し、枯草と壁際に積まれた物と使っていない棟の出入口の3点を写真に残します。
撮った写真は日付とともに残しておくと、次の見回りや立入検査のときにそのまま説明の材料になります。
自分の市の条例を開いたことがありませんでした。
条番号は市町村ごとに違うので例規集で確かめてください。
外周を一周するだけでも見つかります。
よくある質問
まとめ
明日は敷地の外周と使っていない別棟の周りを写真に撮ってきます。
撮った写真に日付を添えて残せば次の見回りがそのまま楽になります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第2条第4項
- 消防法第3条第1項
- 消防法第5条の3第1項
- 消防法第44条第1号
- 総務省消防庁「火災予防条例(例)」(昭和36年11月22日自消甲予発第73号)第1条
- 火災予防条例(例)第24条
- 火災予防条例(例)第49条
- 広島市火災予防条例第25条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





