劇場や百貨店の売場で「禁煙」の標識を見かけたことがある方は多いはずです。
この標識は施設が独自に用意しているのではなく、火災予防条例という条例に根拠があります。
条例は建物の用途ごとに喫煙や裸火の使用を禁止する場所を指定し、防火対象物の関係者にも標識の設置や制止といった具体的な義務を課しています。
この記事では火災予防条例第23条が定める指定場所の範囲と、関係者が実際に行うべき対応を解説します。
うちの劇場、入口に「禁煙」の看板があるんですが、これって条例で決まっているものなんでしょうか。
はい、火災予防条例第23条という条文で、消防長が指定した場所での喫煙等が禁止されています。
指定されているかどうかは、どうやって確認すればいいんですか。
対象になる場所の号立てと、関係者がすべき対応を順番に見ていきましょう。
- 劇場・百貨店・文化財建造物など指定された場所では喫煙・裸火の使用・危険物品の持込みが禁止される
- 指定場所には「禁煙」「火気厳禁」等の標識を設置する義務がある
- 全面禁煙にしない場合は喫煙所の設置と標識表示が必要になる
- 喫煙所の床面積は客席面積の30分の1以上という基準がある
- 関係者は違反しようとする者を制止する義務を負う
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目次
喫煙等に関する制限とはどんな義務を課しているのか

火災予防条例という条例が、建物の用途に応じて喫煙等を禁止する場所を市町村ごとに指定しています。
喫煙・裸火の使用・危険物品の持込みという3つの行為がまとめて禁止の対象になります。
禁止は絶対的なものではなく、消防長が火災予防上支障がないと認めれば例外扱いも可能です。
劇場でのキャンドルサービスや百貨店での危険物製品の展示販売など、事前に確認を取れば認められる場合があります。
まずは自分の建物のどの場所が指定を受けているかを確認することが出発点になります。
うちの施設にも禁煙の看板があるんですが、あれって条例で決まってたんですね。
普通の張り紙かと思ってました。
そうなんです。
次は、具体的にどんな建物のどの場所が対象になるかを見ていきましょう。
どの建物のどの場所が指定の対象になるのか

自分の建物がどの号に当てはまるかを確認すれば、対応すべき範囲が見えてきます。
二 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場の売場又は展示部分
三 文化財保護法の規定によって重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律の規定によって重要美術品として認定された建造物の内部又は周囲
四 前各号に掲げるもののほか、火災が発生した場合に人命に危険を生ずるおそれがある場所(火災予防条例第23条第1項第一号〜第四号)
一号・二号は建物の用途で決まるため、劇場や物品販売業の店舗であれば形式的に該当します。
三号の文化財は指定・認定の有無で決まるため、自治体や文化庁の指定状況を確認する必要があります。
四号は用途を限定しない受け皿の号で、地下街のように人が密集し避難が難しい場所が典型例として運用されています。
自分の建物がどの号に当たるかは、所轄消防署に確認するのが確実です。
うちはテナントビルの物品販売店なんですが、これも対象になりますか。
売場や展示部分であれば二号に当たる可能性が高いです。
次は、指定を受けた場所で具体的に何をしなければならないかを見ていきましょう。
指定された場所の関係者は具体的に何をしなければならないのか

条例は関係者に対して、標識の設置と喫煙所の整備という2つの具体的な措置を求めています。
標識は客席前面など見やすい場所に設置し、禁止の内容を明示する必要があります。
建物全体を禁煙にする場合は喫煙所を作らなくてよい代わりに、全面禁煙である旨の標識が必要になります。
一部だけを禁煙にする場合は喫煙所の設置が必須で、灰皿等を備えたうえで「喫煙所」の標識も設けます。
どちらの方針を取るかを先に決めてから、標識の内容を確定させると手戻りが少なくなります。
全面禁煙にすれば喫煙所を作らなくていいんですね。
その代わり全面禁煙である旨の標識が必要です。
次は、実務で見落としやすい落とし穴を確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

条例には広さの基準や標識の代替規定など、見落としやすい細かな定めがあります。
客席面積のおよそ30分の1という比率が確保できているかを、設計段階で確認しておく必要があります。
健康増進法に基づく喫煙専用室の標識を掲げている場合は、条例独自の「喫煙所」標識を重ねて設けなくてもよいとされています。
標識に図記号を併記する場合は、国際標準化機構の規格や日本産業規格に適合したものを使う必要があります。
既存の喫煙所が基準を満たしているかは、リフォームや用途変更のタイミングで見直すとよいでしょう。
うちの喫煙所、健康増進法の標識だけ付けてました。
条例違反になりますか。
その標識で足りる場合があります。
ただし面積基準は別なので、あわせて確認しておきましょう。次は、明日からの確認手順です。
明日から防火管理者は何を確認すればよいのか

条例は関係者に対して、違反行為を制止する義務まで課しています。
標識を設置して終わりではなく、実際に喫煙しようとしている人がいれば声をかけて止める必要があります。
巡視の頻度や声かけの方法をあらかじめ消防計画や自主検査の中で決めておくと、現場の従業員が迷いません。
指定場所・標識・喫煙所・巡視の4点を一覧にしておくと、立入検査でもそのまま説明に使えます。
まずは自分の建物のどの場所が指定されているかを、今日中に確認してみてください。
指定場所と標識と喫煙所、それから制止ですね。
一度うちの建物で確認してみます。
その4点が揃っていれば大丈夫です。
気になる点があれば、いつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
指定場所・標識・喫煙所・制止の4点、うちの建物でも確認してみます。
ありがとうございました。
ぜひ確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 小山市火災予防条例第23条(喫煙等に関する制限等)
- 阿波広域行政組合消防本部 火災予防条例第23条
- 東京都火災予防条例第23条
- 東京消防庁「知っていますか?こんな場所での火気使用規制 禁止行為と解除承認」
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





