立入検査の連絡と一緒に書類をそろえておいてくださいと言われることがあります。
あれは親切なお願いなのか それとも断れないものなのか迷うところです。
根拠は消防法第4条第1項にあり 立入検査とは別の手段として並んでいます。
この記事では資料の提出と報告の求めがどこまで及ぶのかを条文から解説します。
立入検査の前に書類を用意しておいてくださいと電話が来ました。
それは消防法第4条第1項に根拠のある求めです。
お願いではなく応じる前提のものだと思ってください。
忙しいので当日にまとめてお見せするのではだめでしょうか。
出し方の期限は条文にありませんが 出さないままだと罰則の対象になります。
いつまでに何が要るのかを先に聞いておくのが確実です。
- 消防法第4条第1項は資料の提出命令と報告の求めと立入検査の三つを並べています。
- 相手方は関係者で 所有者と管理者と占有者を指します。(消防法第2条第4項)
- 応じないときや虚偽のときは30万円以下の罰金又は拘留です。(消防法第44条第2号)
- 危険物は消防法第16条の5第1項 火災の調査は同法第34条第1項という別の条文です。
- 証票の提示や守秘義務の規定は立ち入る場合について置かれています。(同法第4条第2項から第4項まで)
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目次
消防が書類を出すよう求めてくるのはどの条文に基づくのか

ところがその一つの項には三つの手段が書かれています。
消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員(略)にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。ただし、個人の住居は、関係者の承諾を得た場合又は火災発生のおそれが著しく大であるため、特に緊急の必要がある場合でなければ、立ち入らせてはならない。
資料の提出を命じること 報告を求めること そして立ち入って検査し質問することが 一つの項の中に書かれています。
どれも火災予防のために必要があるときという条件のもとで行われるものです。
これらを行うことができるとされているのは消防長又は消防署長で 現場で検査や質問をする消防職員とは条文上の位置づけが違います。
書類の提出は立入検査の下ごしらえではなく それ自体が独立した手段だと読んでおくと話が早くなります。
立入検査の条文だとばかり思っていました。
立入検査は三つ目の手段として書かれているだけです。
建物に来なくても資料の提出を求めることはできます。
資料の提出を命じられるのと報告を求められるのはどう違うのか

ところが罰則の側は同じ号にまとめています。
次のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は拘留に処する。
二 第4条第1項(略)の規定による資料の提出若しくは報告を求められて、資料の提出をせず、虚偽の資料を提出し、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による立入り、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
資料については命じと書かれ 報告については求めと書かれています。
言葉づかいは違いますが 消防法第44条第2号は両方を並べて同じ罰則の対象にしています。
求めという言葉から任意のお願いだと読み取れるような但し書きは 条文には置かれていません。
電話で聞かれても文書で求められても 応じる前提のものとして受け取ってください。
求めと書いてあるので断ってもよいのかと考えていました。
罰則の条文が命令と求めを分けずに並べているところが答えです。
虚偽の報告も同じ号に書かれています。
どんな資料まで求められることがあるのか

目的が違えば根拠の条文も変わります。
市町村長等は、(略)危険物の貯蔵又は取扱いに伴う火災の防止のため必要があると認めるときは、指定数量以上の危険物を貯蔵し、若しくは取り扱つていると認められるすべての場所(略)の所有者、管理者若しくは占有者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防事務に従事する職員に、貯蔵所等に立ち入り、(略)検査させ、関係のある者に質問させ、若しくは試験のため必要な最少限度の数量に限り危険物若しくは危険物であることの疑いのある物を収去させることができる。
消防法第34条第1項(抜粋)
消防長又は消防署長は、前条の規定により調査をするために必要があるときは、関係者に対して必要な資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員に関係のある場所に立ち入つて、火災により破損され又は破壊された財産の状況を検査させることができる。
第4条第1項が使えるのは火災予防のために必要があるときで 同じ項が挙げる位置と構造と設備と管理の状況に対応する資料がその範囲になります。
消防計画や防火管理者の選任の届出や消防用設備等の点検結果の報告のように 消防法令の側で作成や届出が義務づけられている書類は もともと手元にあるはずのものです。
指定数量以上の危険物を扱う場所については第16条の5第1項という別の条文があり こちらは市町村長等の権限として書かれています。
火災が起きたあとの調査は第34条第1項が根拠になるので 同じ資料の提出でも入口の条文が変わることを覚えておいてください。
危険物の書類だけ別の課から連絡が来る理由が分かりました。
条文が違えば権限を持つ人も相手方の書き方も変わります。
まずはどの条文による求めかを確かめてください。
応じなかったり虚偽の報告をしたらどうなるのか

両罰規定の書き方にも特徴があります。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
三 (略)前条第1号、第3号、第11号、第12号若しくは第22号 各本条の罰金刑
消防法第44条が定める重さは30万円以下の罰金又は拘留です。
両罰規定を置いた同法第45条第3号は 前条のうち第1号と第3号と第11号と第12号と第22号を挙げており 資料と報告の第2号はそこに入っていません。
法人そのものに罰金刑を科す仕組みは この号については条文に置かれていないという読み方になります。
とはいえ行為者が罰せられることに変わりはないので 担当者の判断で出し忘れを放置しないでください。
会社が払えば済む話ではないということですね。
条文はまず行為者を罰すると書いています。
担当者を守るためにも社内の窓口を決めておいてください。
明日からなにを整えておけばよいのか

そのうえで出し方の記録を残します。
2 消防職員は、前項の規定により関係のある場所に立ち入る場合においては、市町村長の定める証票を携帯し、関係のある者の請求があるときは、これを示さなければならない。
3 消防職員は、第1項の規定により関係のある場所に立ち入る場合においては、関係者の業務をみだりに妨害してはならない。
4 消防職員は、第1項の規定により関係のある場所に立ち入つて検査又は質問を行つた場合に知り得た関係者の秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
消防計画や選任の届出や点検結果の報告の控えを一か所にまとめ 誰が出すのかを決めておけば その場で慌てずに済みます。
条文には提出の期限も方法も書かれていないので 連絡を受けたらいつまでに何が必要かを必ず確認してください。
第2項から第4項までは立ち入る場合について置かれた規定で 証票の提示と業務の妨害の禁止と秘密の保持がここに書かれています。
資料は写しを取ってから渡し 何をいつ出したのかを記録に残しておくと あとの話が早くなります。
控えを一か所にまとめるところから始めます。
その箱がそのまま立入検査の受け皿になります。
年に一度は中身が最新かを見直してください。
よくある質問
まとめ
断れるかどうかで悩む話ではないと分かりました。
まずは消防計画と点検結果の控えを一か所にまとめます。
資料の提出も報告も消防法第4条第1項に根拠のある求めです。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第2条(用語の定義)第4項
- 消防法第4条(資料の提出の命令 報告の徴収及び立入検査)第1項から第4項まで
- 消防法第8条(防火管理者の選任及び届出)第2項
- 消防法第16条の5(危険物に係る資料の提出の命令等)第1項
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
- 消防法第34条(火災の調査に係る資料の提出の命令等)第1項
- 消防法第44条(罰則)第2号
- 消防法第45条(両罰規定)第3号
- 消防法施行規則第3条(防火管理に係る消防計画)第1項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





