BLOG

火災とまぎらわしい煙を出すとき消防への届出はいるのか|煙火の打上げや水道の断水も対象になる理由を解説

工場の敷地に立つ高い煙突と手前の道路

敷地で煙の出る作業をしたら消防車が来てしまったという話は珍しくありません。
消防法にはこうした行為をあらかじめ知らせる決まりは置かれていません。
それを定めているのは市町村の火災予防条例のほうです。
この記事では火災とまぎらわしい煙等を発するおそれのある行為等の届出を条文から解説します。

敷地で煙の出る作業をしたら通報されてしまいました。

そういう行為には事前の届出を求めている市町村が多いです。
火災予防条例の雑則に置かれています。

火を使う設備の届出しか頭にありませんでした。

設備ではなく行為そのものを届け出る決まりです。
まず条文の並びから見ていきましょう。

この記事の結論
  • 火災予防条例(例)第45条は火災とまぎらわしい煙等を発するおそれのある行為等の届出を定めています。
  • 並んでいるのは煙又は火炎・煙火の打上げ・催物の開催・水道の断水・道路工事・露店等の開設の6つです。(同条各号)
  • 設備の届出と違って火を使わない行為も対象に入っています。
  • 届け出る先は消防長(消防署長)で、行為をする前にあらかじめ出します。(同条柱書)
  • 様式や手続の細目は市(町・村)長が定めるので市町村ごとに違います。(同条例第48条)

火災とまぎらわしい煙や火炎と煙火の打上げと水道の断水と道路工事が届出の対象になることをまとめた図解

火災とまぎらわしい煙等の届出とはどんな決まりなのか

工場の建屋から立ち上がる高い煙突と道路に停まる消防車
消防法の条文をいくら探しても、この届出は出てきません。
根拠は市町村が定める火災予防条例のほうにあります。
火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号)第1条 この条例は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第9条の規定に基づき火を使用する設備の位置、構造及び管理の基準等について、法第9条の2の規定に基づき住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準等について、法第9条の4の規定に基づき指定数量未満の危険物等の貯蔵及び取扱いの基準等について並びに法第22条第4項の規定に基づき火災に関する警報の発令中における火の使用の制限について定めるとともに、○○市(町・村)における火災予防上必要な事項を定めることを目的とする
この届出は条文の後半にぶら下がっています。
第1条が挙げている委任は、法第9条の火を使用する設備、法第9条の2の住宅用防災機器、法第9条の4の指定数量未満の危険物、法第22条第4項の警報発令中の制限の4つです。
届出の対象になるのは設備でも危険物でもなく行為そのものなので、そのいずれにも当てはまりません。
条例(例)でも第45条は火を使う設備の章ではなく第6章の雑則に置かれています。
つまり市町村が火災予防上必要と考えて自ら置いている部分なので、条番号も号の並びも自分の市町村の条例で確かめる必要があります。

条例(例)と同じ条番号だと思い込んでいました。

条例(例)はあくまで国が示したひな形です。
手元の条例を開いて見出しで探すのが確実です。

どんな行為が届出の対象になるのか

焼却炉と打上げ用の筒と消火栓と道路工事のバリケードが並ぶ様子
条文には性質の違う行為が並んでいます。
順番に読むと共通しているものが見えてきます。
火災予防条例(例)第45条 次の各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。 一 火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為 二 煙火(がん具用煙火を除く。)の打上げ又は仕掛け 三 劇場等以外の建築物その他の工作物における演劇、映画その他の催物の開催 四 水道の断水又は減水 五 消防隊の通行その他消火活動に支障を及ぼすおそれのある道路工事 六 祭礼、縁日、花火大会、展示会その他の多数の者の集合する催しに際して行う露店等の開設(対象火気器具等を使用する場合に限る。)
火を使わない行為も並んでいます。
第1号は煙又は火炎と書いてあるので、炎が出ない作業でも煙だけで対象になります。
第4号の水道の断水又は減水と第5号の道路工事にいたっては火の気がまったくありません。
第2号は煙火の打上げと仕掛けですが、かっこ書きでがん具用煙火が除かれています。
限定のかっこ書きが付いているのは第2号と第6号だけで、第6号は露店等のうち対象火気器具等を使用する場合に限られます。

断水まで消防に届けるとは思いませんでした。

いずれも消防隊の動きに関わる行為です。
敷地の工事を計画するときは番号を一つずつ当ててみてください。

届出はいつまでに誰へ出すのか

届出書を持つ担当者とカレンダーと消防署の窓口カウンター
条文が指定しているのは相手方とタイミングだけです。
残りは市町村が決める作りになっています。
火災予防条例(例)第45条 次の各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。(略)
同第48条 この条例の実施のための手続きその他その施行について必要な事項は、市(町・村)長が定める
出す人は行為をしようとする者です。
柱書は行為をしようとする者と書いているので、建物の持ち主かどうかではなくその行為を行う者が届け出ます。
相手は条例(例)では消防長(消防署長)と書かれているので、実際の届出先は自分の市町村の条例で確かめます。
時期はあらかじめとだけ書かれていて、何日前という日数は条例(例)に書かれていません。
様式も添付書類も第48条により市(町・村)長が定めるので、実際の期限と用紙は自分の市町村の規則や消防本部の案内で確かめることになります。

つまり工事を請け負った業者が出す場合もあるということですね。

誰が出すかは契約前に決めておくと揉めません。
発注のときに書面で分担を残しておいてください。

実務で見落としやすいのはどこか

届出書を持つ担当者と禁止の印が付いた焼却炉と標識の看板
届出を出せば終わりだと考えると足元をすくわれます。
罰則の条と消防法の命令の条を並べて見てください。
火災予防条例(例)第49条 次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。 一 第30条の規定に違反して指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱つた者 二 第31条の規定に違反した者 三 第33条又は第34条の規定に違反した者 四 第42条の3第2項の規定に違反して、同条第1項に規定する火災予防上必要な業務に関する計画を提出しなかつた者
第45条は罰則の条に挙がっていません。
条例(例)第49条が並べているのは第30条・第31条・第33条・第34条・第42条の3第2項の5つだけです。
だからといって届け出れば何をしてもよいわけではなく、屋外の行為には消防法第3条第1項の措置命令が別にかかります。
同項第1号はたき火などの行為の禁止・停止・制限や、その行為を行う場合の消火準備を命ずることができると書いています。
火災に関する警報が発せられている間は法第22条第4項により市町村条例で定める火の使用の制限にも従うことになるので、届出とは別の話として押さえておいてください。

届出が受理されたら安心してよいと思っていました。

届出は知らせる手続きであって許可ではありません。
当日は消火の準備までしておくと安全です。

明日からなにを確認すればよいのか

条例をとじたバインダーとノートパソコンと電話を置いた机で確認する担当者
順番は条例を開いてから号を当てるのが早道です。
最後に当日の備えまで決めておけば抜けがありません。
消防法(昭和23年法律第186号)第3条第1項 消防長(略)、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者(略)に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 一 火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備 (略)
まず自分の市町村の条例を開きます。
見出しに火災とまぎらわしい煙等とある条を探し、号の並びが条例(例)と同じかどうかを見てください。
次に予定している行為がどの号に当たるかを当て、当たらなければ届出は要りません。
当たるなら第48条を受けた市町村の規則や消防本部の案内で様式と提出先と提出期限を確認し、余裕をもって出します。
当日は消火器や水バケツを手元に置き、風が強い日は取りやめる判断も決めておきます。

まず市のホームページで条例を開いてみます。

それが出発点になります。
号まで当てられれば所轄への相談も一度で済みます。

よくある質問

Q敷地で煙の出る作業をするときはどこまでが届出の対象ですか?
A火災予防条例(例)第45条第1号は火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為とだけ書いており、作業の種類を限定していません。判断のものさしは火災と見まちがえられるおそれがあるかどうかになります。号の書きぶりは市町村ごとに違うことがあるので、所轄の消防署にご確認ください。
Q届出をしないで行ったら罰金を科されますか?
A条例(例)の罰則である第49条に第45条は挙がっていません。挙がっているのは第30条・第31条・第33条・第34条・第42条の3第2項の規定に違反した場合です。ただし条例(例)は国が示したひな形なので、自分の市町村の罰則の条を必ず確認してください。
Qおもちゃの花火を配る催しでも第2号の届出がいりますか?
A第2号はかっこ書きでがん具用煙火を除いており、打上げと仕掛けが対象です。ただし同じ催しで露店等を出して対象火気器具等を使うのであれば第6号に当たります。祭礼や花火大会に合わせて屋台を出すときはこちらを見てください。
Q受水槽の工事で断水するとき届け出るのは工事業者ですか?
A第45条の柱書は行為をしようとする者と書いているだけで、業者か建物側かを指定していません。誰が出すかは市(町・村)長が第48条で定める手続によることになるので、発注の前に所轄の消防署と工事業者の三者で分担を決めておくのが確実です。

まとめ

火災とまぎらわしい煙等の届出は火災予防条例が定めています。
条例(例)では第6章の雑則に置かれた第45条がこれにあたります。
第1号は煙又は火炎なので煙だけでも対象になります。
水道の断水や道路工事のように火を使わない行為も並んでいます。
届け出る先は消防長で行為の前にあらかじめ出します。
様式と提出期限は市(町・村)長が第48条で定めます。
届け出ても消防法第3条の措置命令は別にかかります。

設備の届出しか見ていなかったのが分かりました。

行為の届出という枠を覚えておけば十分です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第3条・第9条・第22条
  • 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第1条・第45条・第45条の2・第48条・第49条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
工場の敷地に立つ高い煙突と手前の道路
敷地で煙の出る作業をしたら消防車が来てしまったという話は珍しくありません。 消防法にはこうした行為をあらかじめ知らせる決まりは置かれていません。 それを定めているのは市町村の火災予防条例のほうです。 この記事では火災とま...