空気が乾いて風の強い日に、市町村から火災に関する警報が出されることがあります。
このとき屋外のたき火や喫煙がどこまで制限されるのかは、消防法第22条とそれを受けた市町村の条例で決まります。
制限といっても禁止まで含むのか、お祭りのときの制限とは何が違うのかは、条文だけでは分かりにくいところです。
この記事では火災警報発令中の火の使用制限を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
火災警報が出ている日は、庭で落ち葉を焼いてはいけないのでしょうか。
制限されます。
示された条例準則では屋外においてたき火をしないことが最初の号に置かれています。制限には禁止も含まれると解されています。
お祭りのときのたき火の制限とは、別のものなのでしょうか。
別のものです。
消防法第23条は一定の期間を限り一定区域内の制限、第22条は市町村の全区域内の一般的制限です。
この記事でまとめて解説します!
- 消防法第22条中の制限の中には一部禁止の意味も含まれると解釈するのが適当である
- 火災警報発令中の火の使用制限は必ず条例に規定しその範囲を超えてはならない
- 消防法第23条は一定の期間を限り一定区域内の制限で第22条は市町村の全区域内の一般的制限である
- 火災警報の発令権者は市町村長であり発令権者に消防長および消防署長を含むことは消防法の違反である
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目次
火災に関する警報を発令できるのは市町村長に限られる

昭和24年6月1日付け国消管総発第73号は、火災警報の実施方法についての照会です。
照会では警報発令者として市町村長と消防長と消防署長が挙げられていました。
発令できるのは市町村長です。
市町村長が単独で発令する場合の考え方も示されています。
昭和25年7月12日付け国消管発第163号では市町村長が単独にこれを発令するのは、気象状況に鑑み火災予防上特に危険であると認める場合に限られることとされました。
あわせて第1次的には気象官署及び都道府県知事の通報に基づいて実施することや、市町村が単独にこれを発令したときは速やかに都道府県等にその状況を連絡しておくことも求められています。
警報を出せるのは市町村長に限られるのですね。
発令の主体が決まっています。
地域の発令の方法を、社内で共有しておいてください。
火災警報発令中は屋外のたき火や火入れが制限される

昭和24年6月2日付け国消管総発第98号では、市町村条例の準則が示されました。
その内容は火災警報発令中は何人も下記の各号を守らなければならないという形をとっています。
屋外においてたき火をしないこと。ただし炊事火や作業火等でやむを得ず使用する場合は責任ある看視人をつけその近傍に消火用水等を準備することとされています。
続いて屋外において火入れをしないこととされています。
加えていちじるしく火粉を発散させる燃料を使用しないこととみだりに屋内において建築物の開口部を開放したまま裸火を使用しないことが定められています。
制限の対象は屋外が中心ですが屋内の裸火も含まれる点に注意が必要です。
屋内も対象に入っています。
また火を使うときの備えについてもその設備又は器具の近傍に満水のバケツ又は桶等適当な消火の設備を備えなければならないとされています。
屋内の火の扱いも対象になるのですね。
裸火も含まれます。
警報が出た日の火気の扱いを、手順として決めておきましょう。
消防法第22条の制限には一部禁止の意味も含まれる

条例案について、禁止の形をとることが一般の自由権を著しく侵し好ましくないという指導がなされた事例がありました。
これに対する消防庁の見解が示されています。
制限は禁止まで含みます。
消火設備を条例で定めることについても見解が示されました。
条例案が消火施設について規定している点は第22条の範囲外ではないかという指導に対し、これは火の使用について無条件の使用を制約して簡易な消火の準備を整えた条件下における火の使用を許容したものであると解するのが適当とされ、その趣旨で差し支えないとされています。
一方で条例で定めなくてよいとする考え方は採られていません。
公示で足りるとする指導に対しては一般住民の生活権拘束の手段に対する考慮が不充分であって、かかる制約をなす場合は必ず条例に規定してその範囲を超えてはならないと述べられています。
制限には、禁止の意味も含まれるのですね。
そう解されています。
条例の条文を確認して、掲示の文面に反映してください。
消防法第22条と第23条は対象とする場面が異なる

火の使用を制限する規定は消防法にもうひとつあります。
条例案の指導では、たき火と喫煙の制限は消防法第23条に規定する事項だから条例で定める必要はないとされていました。
消防法第23条はお祭り催し物等がある場合において一定の期間を限り一定区域内におけるたき火又は喫煙の制限を規定したものとされています。
これに対し同法第22条は火災警報発令中にその市町村の全区域内の火の使用についての一般的制限を規定したものです。
そのうえで喫煙又はたき火がこれから除かれると解すべきではないとされました。
第23条があるからといって、第22条に基づく条例からたき火や喫煙を外してよいわけではないという整理です。
2つの条文は、想定している場面が違うのですね。
期間と区域の取り方が異なります。
行事のときは、どちらの制限に当たるか確かめてください。
警報の発令条件は気象の状況をもとに定められている

どのような気象状況で警報が出されるのかについても、当時の基準が示されています。
中央気象官署との協定によって決定した発令条件の基準として、実効湿度と最低湿度と風速の組み合わせが挙げられました。
後者については降雨又は降雪中は通報しないこともあると添えられています。
ただしこの基準には但し書きがあります。
これは東京を標準として定められたものであるから、具体的な気象官署長よりの通報については、気象、消防力その他の地方的要求に基づいて、地方の気象官署と連絡又は協議の上、若干これと異なる基準を設けても支障ないとされています。
お住まいの地域の発令条件は市町村の火災予防条例や消防本部の公表で確認できます。
発令の条件は、気象の状況で決まるのですね。
地域ごとに定められています。
乾燥する時期は、天気予報とあわせて注意してください。
よくある質問
まとめ
- 火災警報の発令権者は市町村長であり発令権者に消防長および消防署長を含むことは消防法の違反である
- 市町村長が単独に発令するのは気象状況に鑑み火災予防上特に危険であると認める場合に限られる
- 条例準則では屋外においてたき火をしないことおよび火入れをしないことが定められている
- やむを得ず火を使う場合は責任ある看視人をつけその近傍に消火用水等を準備することとされている
- みだりに屋内において建築物の開口部を開放したまま裸火を使用しないことも定められている
- 消防法第22条中の制限の中には一部禁止の意味も含まれると解釈するのが適当である
- 制約をなす場合は必ず条例に規定してその範囲を超えてはならないとされている
- 消防法第23条は一定の期間を限り一定区域内の制限で第22条は全区域内の一般的制限である
屋外だけでなく、屋内の裸火も見られているのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
実際に何が制限されるかはお住まいの市町村の条例で決まります。
事業所での火気の取扱いについてはご相談ください。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第22条・第23条 e-Gov法令検索
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3章 e-Gov法令検索
- 火災警報の実施方法(昭和24年6月1日付け国消管総発第73号 総務課長から北海道民生部長あて回答)
- 火災警報発令下の火の使用に関する市町村条例について(昭和24年6月2日付け国消管総発第98号 総務課長回答)
- 市町村長が単独に行なう警報発令について(昭和25年7月12日付け国消管発第163号 管理局長から都道府県知事あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の火災の警戒に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




