コインランドリーの乾燥機も厨房の食器乾燥機も工場の乾燥室も、条文の上ではひとまとめに乾燥設備と呼ばれます。
ほかの機械には入力何キロワット以上という線が引かれているのに、乾燥設備にはその線が見当たりません。
届出から外れるのは個人の住居に設けるものだけで、大きさによる除外は置かれていません。
この記事では乾燥設備に入力の下限が無い理由と離隔距離の引き方を条文から解説します。
小さな乾燥機なら消防には関係ないと思っていました。
乾燥設備は対象火気設備等として条文に名前が出ています。
しかも大きさで絞る書き方をしていません。
隣の号の給湯湯沸設備には入力70キロワットという線があります。
その線が乾燥設備の号には書かれていません。
この記事の結論
- 乾燥設備は消防法第9条を受けた火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
- 省令第3条第7号は乾燥設備とだけ書いていて、括弧書きで大きさを絞っていません。
- 届出の号でも外れるのは個人の住居に設けるものだけです。
- 構造は乾燥物品を熱源に接触させないことと温度上昇の警報装置等が求められます。
- 離隔距離は入力ではなく内部容積1立方メートルで分かれます。
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消防法でいう乾燥設備とはどこまでを指すのか
乾燥機という言い方は日常のもので、条文には乾燥設備と出てきます。
その並びを見ると、ほかの号との書き方の違いがはっきりします。
対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条 令第五条第一項各号列記以外の部分の総務省令で定めるものは、第一号から第十三号までに掲げる設備から配管設備等を除いたもの及び第十四号から第二十一号までに掲げる設備とする。 一 炉 (略) 六 ストーブ(移動式のものを除く。以下同じ。) 七 乾燥設備 八 簡易サウナ設備((略)定格出力六キロワット以下のものであり、かつ、薪又は電気を熱源とするものをいう。以下同じ。) (略) 十 簡易湯沸設備(入力が十二キロワット以下の湯沸設備をいう。以下同じ。) (略)
括弧書きが一つも付いていません。
省令第3条は
対象火気設備等を21種類挙げていて、乾燥設備はそのうちの第7号です。
すぐ隣の第8号は定格出力六キロワット以下、第10号は入力が十二キロワット以下と、括弧書きで大きさを区切っています。
ところが第7号は
乾燥設備という言葉だけで、入力にも容量にも触れていません。
熱源の種類も絞っていないので、ガスを燃やすものも電気で加熱するものも同じ第7号に入ることになります。
隣の号には数字が入っているのに第7号だけ何も無いのですね。
書かれていない以上、大きさで外れるとは読めません。
まずは建物の中の乾燥機を種類ごとに書き出してみてください。
届出が必要になるのはどの乾燥設備か
基準がかかることと届出が要ることは別の話です。
届出の側の条文にも、やはり大きさの線は引かれていません。
火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号)第44条(火を使用する設備等の設置の届出) 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備のうち、次の各号に掲げるものを設置しようとする者は、あらかじめ、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。 (略) (3) 前号に掲げるもののほか、据付面積2平方メートル以上の炉(個人の住居に設けるものを除く。) (略) (5) ボイラー又は入力70キロワット以上の給湯湯沸設備(個人の住居に設けるもの又は労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第1条第3号に定めるものを除く。) (6) 乾燥設備(個人の住居に設けるものを除く。) (7) サウナ設備(個人の住居に設けるものを除く。) (略)
外れるのは個人の住居に設けるものだけです。
同じ条文の中で、炉は
据付面積2平方メートル以上、給湯湯沸設備は入力70キロワット以上と大きさで絞られています。
厨房設備は同一室内の入力の合計が350キロワット以上、ネオン管灯設備は設備容量2キロボルトアンペア以上という線が引かれています。
それなのに乾燥設備の(6)には、入力にも据付面積にも下限が書かれていません。
コインランドリーの大型機はもちろん、店舗のバックヤードに据えた業務用の乾燥機も
同じ号で読むことになります。
炉には面積の線があるのに乾燥設備には無いのですか。
同じ条文の中でそこだけ書き方が違います。
実際の条例は市町村ごとに定めるので所轄の条文で確かめてください。
乾燥設備の構造にはなにが求められるのか
乾燥設備には専用の号が二つ置かれています。
どちらも中に物を入れて熱を当てるという使い方から来ています。
同省令第11条(周囲に火災が発生するおそれが少ない構造) (略) 九 乾燥設備にあっては、次によること。 イ 乾燥物品が直接熱源と接触しないものとすること。 ロ 火粉が混入するおそれのある燃焼排気により直接可燃性の物品を乾燥するものにあっては、乾燥室内に火粉を飛散しないものとすること。 同省令第15条(安全を確保する装置等) (略) 六 乾燥設備にあっては、室内の温度が過度に上昇したことを示す非常警報装置又は熱源の自動停止装置を設けること。
物と熱源を離すことが軸になっています。
第11条第9号のイは、
乾燥物品が直接熱源と接触しない構造であることを求めています。
ロは燃焼排気で直接乾かすものについて、乾燥室の中に火粉を飛散させないことを求めています。
第15条第6号は
非常警報装置又は熱源の自動停止装置と書いているので、どちらか一方を備えれば足ります。
棚が落ちて乾燥物がヒーターに乗ってしまう状態は、イの求めから外れる置き方になります。
警報装置と自動停止装置は両方いるのかと思っていました。
条文は又はでつないでいるので片方で構いません。
どちらが付いているかを取扱説明書で確かめておいてください。
離隔距離が内部容積で分かれるのはなぜか
壁や可燃物からどれだけ離すかは別表第一が定めています。
その分け方が、ほかの設備と違うところに落とし穴があります。
同省令第5条(火災予防上安全な距離) 令第五条第一項第一号の総務省令で定める火災予防上安全な距離は、次の各号に掲げる距離のうち、消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長が認める距離以上の距離とする。 一 別表第一の左欄に掲げる対象火気設備等の種別に応じ、それぞれ同表の右欄に定める離隔距離 二 電気を熱源とする対象火気設備等のうち、別表第二に掲げるものにあっては、同表の左欄に掲げる対象火気設備等の種別に応じ、それぞれ同表の右欄に定める離隔距離 三 対象火気設備等の種類ごとに、それぞれ消防庁長官が定めるところにより得られる距離
キロワットではなく庫内の大きさで分かれます。
別表第一の乾燥設備の欄は、気体燃料の
衣類乾燥機だけを5.8キロワット以下という入力で区切っています。
それ以外はすべて上記に分類されないものにまとめられ、
内部容積が1立方メートル以上か未満かで二つに分かれます。
つまりカタログの入力を見ても表が引けず、庫内の寸法を測らないと必要な距離が決まりません。
電気を熱源とするものは第2号により別表第二の電気乾燥器や電気乾燥機の欄を見ることになります。
乾燥設備だけ内部容積で書かれています。
次の点検のときに庫内の縦横高さを測って控えておいてください。
明日からなにを確認すればよいのか
乾燥設備は風道を持つ設備として名指しされている点も見落とされがちです。
確認する順番を決めておくと、立入検査でも説明しやすくなります。
同省令第10条(火災の発生のおそれのある部分に係る防火上有効な構造) (略) 二 炉(熱風炉に限る。)、ふろがま、温風暖房機、乾燥設備及び一般サウナ設備にあっては、その風道並びにその被覆及び支枠を不燃材料で造ること。 同省令第11条 (略) 三 炉(熱風炉に限る。)、ふろがま、温風暖房機、乾燥設備及び一般サウナ設備にあっては、その風道の火を使用する部分に近接する部分に防火ダンパーを設けること。 同省令第14条 (略) 二 (略)その風道の給気口は、じんあいの混入を防止するものとすること。
ダクトのある設備として扱われています。
第10条第2号と第11条第3号は、乾燥設備を熱風炉やふろがまや温風暖房機や一般サウナ設備と同じ列に並べています。
まず個人の住居以外に置いてある乾燥機を棚卸しし、庫内の
内部容積を測って離隔距離を確かめてください。
次に温度上昇の警報装置か熱源の自動停止装置が作動するかを試し、風道の被覆と防火ダンパーと給気口の状態を写真に残します。
最後に届出の要否を所轄消防署に確かめれば、
立入検査で聞かれる点はほぼ押さえられます。
点検口から見える範囲だけでも記録が残ります。
撮った写真は日付を入れて保管しておいてください。
よくある質問
Q家庭用の衣類乾燥機を事業所の給湯室に置いた場合も届出が要りますか?
A火災予防条例(例)第44条(6)が除いているのは個人の住居に設けるものだけで、家庭用かどうかや入力の大きさでは除いていません。もっとも実際の条例は市町村がそれぞれ定めるもので、条例(例)はその基準として示されたものです。手元の建物に当てはめた結論は所轄消防署に確かめてください。
Q電気式の乾燥機にも同じ基準がかかりますか?
A省令第3条第7号は熱源を絞っていないので、電気で加熱するものも乾燥設備として読むことになります。離隔距離は省令第5条第2号により別表第二の電気乾燥器や電気乾燥機の欄を見ます。あわせて第15条第3号が、電気を熱源とするもののうち内部の温度が過度に上昇するおそれのあるものに、自動的に電力の供給を停止できる装置を求めています。
Q内部容積は扉の内側の寸法で測ればよいのでしょうか?
A別表第一は内部容積が1立方メートル以上のものと未満のものという書き方をしているだけで、測り方までは定めていません。機器の仕様書に庫内寸法が載っていればそれが手がかりになります。境目に近い機械は判断が分かれやすいので、寸法の根拠になる資料を持って所轄消防署に相談してください。
Q基準の特例を定めた表に乾燥設備の欄が無いのはどう読めばよいですか?
A省令第17条の表に欄があるのは火花を生ずる設備から急速充電設備までの八種類で、いずれも省令第3条の第十四号から第二十一号までの側のものです。消防法施行令第5条第3項が火を使用する設備以外のものにしか特例を認めていないためで、第七号の乾燥設備は表に載っていません。欄が無いということは、基準がそのままかかるという意味になります。
まとめ
✔乾燥設備は火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
✔省令第3条第7号には大きさの括弧書きが付いていません。
✔届出の号で外れるのは個人の住居に設けるものだけです。
✔乾燥物品が直接熱源と接触しない構造であることが求められます。
✔非常警報装置と熱源の自動停止装置はどちらか一方で足ります。
✔離隔距離は内部容積1立方メートルを境に分かれます。
✔風道の被覆と防火ダンパーと給気口も乾燥設備の基準に含まれます。
大きさで外れないという前提で棚卸しするのが近道です。
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参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第5条・第10条・第11条・第14条・第15条・第17条・別表第一・別表第二
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第44条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。