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防災管理の実施状況は立入検査で確認されるのか|消防法第4条が及ばない理由と点検報告で確かめる仕組みを解説

防災管理の中身は立入検査で見てもらえるのかというタイトルと高層ビルのロビーの写真を並べたアイキャッチ

立入検査の連絡が入ると、まず消防計画を棚から出して中身を確かめます。
そのとき防災管理の消防計画も一緒に見てもらえると考える方は少なくありません。
ところが立入検査の根拠になっている条文は、火災予防のための規定です。
防災管理の中身は立入検査では確かめられない建て付けになっています

来月うちのビルに立入検査が入ります。
防災管理の消防計画も見てもらえますか。

そこは検査の対象になりません。
立入検査の根拠は火災予防のための規定だからです。

誰も見ないなら手を抜いてもよいということですか。
それはそれで落ち着かない話です。

手は抜けません。
防災管理には届出と点検報告という別の経路が用意されています。

この記事の結論
  • 立入検査の根拠は消防法第4条で火災予防のために必要があるときに限られます
  • 消防法第36条第1項が準用しているのは第8条から第8条の2の3までで第4条は入っていません
  • 消防庁は防災管理業務に係る内容には立入検査等の規定が適用されないと示しています
  • 防災管理の状況は選任解任の届出防災管理点検の報告で消防に伝わります
  • 防災管理対象物は防火対象物でもあるので火災予防の立入検査そのものは行われます

防災管理の実施状況が立入検査では確かめられず届出と点検報告で消防へ伝わる経路を並べた図解

立入検査はどんなときに行われるのか

高層の建物と入口の庇の下に立つ2人と植え込みの箱が並んでいるイラスト
立入検査には、はっきりした目的が条文の先頭に書かれています。
まず根拠になっている消防法第4条第1項を読みます。
消防法第4条第1項 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防職員(略)にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、消防対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。(略)
目的が先に決まっています
条文は「火災予防のために必要があるとき」という条件を、資料の提出命令よりも前に置いています。
報告を求めることも、立ち入ることも、質問することも、すべてこの条件の下にぶら下がる仕組みです。
これらを行えるのは消防長又は消防署長で、実際に建物へ入るのは消防職員になります。
だから検査の日程が決まったら、まず火災の予防という目的から建物を見直すのが順序として正しいことになります。

目的が条文に書いてあるとは思いませんでした。
検査ならなんでも見られるものだと考えていました。

なんでもとはいきません。
入口に書かれた目的が検査の範囲をそのまま決めています。

防災管理の業務が立入検査の対象にならないのはなぜか

左の机の書類には人が付いて青いチェックが並び右の机の書類には柵と赤い禁止マークが置かれているイラスト
防災管理は消防法第36条から始まる仕組みです。
その第1項が何を準用しているのかを確かめます。
消防法第36条第1項 第8条から第8条の2の3までの規定は、火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のため特に必要がある建築物その他の工作物として政令で定めるものについて準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。(略)
「消防法の一部を改正する法律等の運用について」(平成21年1月29日付け消防予第48号)3⑵ 防災管理に係る基準適合性の確保について 法第4条の立入検査等に係る規定は火災予防のために必要があるときに適用されるものであり、防災管理業務に係る内容については、適用されないことに留意すること。
準用の範囲に第4条が入っていません
第36条第1項が引いているのは第8条から第8条の2の3までで、立入検査を定めた第4条はその外側にあります。
消防庁も平成21年の消防予第48号で、防災管理業務に係る内容には立入検査等の規定が適用されないと明記しました。
つまり地震の被害想定や資機材の点検整備といった防災管理に固有の中身は、立入検査の指摘事項として扱われません。
検査の直前に防災管理の書類だけを慌てて整える、という備え方は的を外していることになります。

準用する条文の並びまで見たことがありませんでした。
そこに第4条が無いというだけの話なのですね。

そのとおりです。
準用の並びを一度読んでおくと、どこまでが防災管理の世界かが見えます。

防災管理の実施状況はどこで消防に伝わるのか

机の上の2枚の書類と書類を持って歩く人と旗の立つ庁舎が並んでいるイラスト
消防がまったく知り得ないわけではありません。
準用される条文の中に、伝わる経路が用意されています。
消防法第8条第2項 前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。 消防法第8条の2の2第1項 (略)当該防火対象物における防火管理上必要な業務(略)が(略)点検基準に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。(略)
経路は届出と報告の2本です
第36条第1項はこの2つも準用していて、読み替えると防災管理者の選任解任の届出と、防災管理点検の結果報告になります。
点検を行うのは消防職員ではなく、消防法施行規則第51条の12第3項が定める防災管理点検資格者です。
点検の周期は同条第2項が準用する同規則第4条の2の4第1項により一年に一回で、その結果を消防長又は消防署長へ報告します。
検査を待つのではなく、この2本の経路を自分から動かすことが防災管理の作法になります。

消防に伝わる入口が別にあるということですね。
こちらから動かさないと誰も気づかないわけです。

そこが要点です。
まずは点検の依頼先と報告の時期を年間の予定に入れてください。

立入検査に来た消防職員は建物の何を見ているのか

扉のある壁と階段の前に立つ人と赤い消火器が置かれた棚が並んでいるイラスト
検査そのものが来ないという話ではありません。
防災管理対象物がどんな建物として選ばれているのかを条文で確かめます。
消防法施行令第46条 法第36条第1項の政令で定める建築物その他の工作物は、第4条の2の4の防火対象物とする。 消防法施行令第4条の2の4 法第8条の2の5第1項の政令で定める防火対象物は、法第8条第1項の防火対象物のうち、次に掲げるものとする。(略)
同じ建物が2つの顔を持っています
防災管理対象物は、はじめから法第8条第1項の防火対象物の中から選び出されているためです。
ですから火災予防のための立入検査は、その建物にも当然に行われます。
避難施設の管理や消防用設備等の設置と維持、防火管理の消防計画は、いつもどおり検査の対象です。
検査の外に出るのは防災管理に固有の中身だけで、建物そのものが外れるわけではないと押さえてください。

つまり検査は普通に来て、防災管理の欄だけが外れるのですね。
油断してよい話ではありませんでした。

そのとおりです。
検査の準備は防火管理の側で組み立ててください。

明日からなにをすればよいのか

開いたバインダーの置かれた机とファイルを持つ人と書類棚が並んでいるイラスト
やることは検査対策とは別の列に並びます。
防災管理の側で自分から動かす手続きを順に確認します。
消防法施行規則第51条の12第1項 法第36条第1項の建築物その他の工作物の管理について権原を有する者は、同項において準用する法第8条の2の2第1項の規定により点検を行つた結果を防災管理維持台帳(次に掲げるものを編冊したものをいう。)に記録するとともに、これを保存しなければならない。(略)
手を動かす先は届出と台帳です
防災管理者の選任や解任があればその都度届け出て、届出書の写しを防災管理維持台帳に綴じます。
点検の時期を年間の予定表に書き込み、防災管理点検資格者へ早めに依頼しておきます。
台帳に綴じるものは同項が第一号から第七号までに並べているので、抜けている号から順に埋めます。
立入検査の準備とは別の作業として、この流れを一年の予定に載せるところから始めてください。

検査の予定とは別の欄を作ればよいわけですね。
台帳の抜けている号から手を付けます。

その進め方でうまくいきます。
まずは点検の依頼から動かしてください。

よくある質問

Q立入検査で防災管理の消防計画を出すよう求められたらどうなりますか?
A消防法第4条の資料提出命令は火災予防のために必要があるときの規定なので、防災管理の消防計画はその対象になりません。求めに応じて見せること自体は差し支えありませんが、位置づけとしては任意の協力になります。
Q防災管理を怠っていても消防からは何も言われないのですか?
Aそうではありません。消防法第36条第1項が準用する法第8条第3項には防災管理者を定めるべきことを命ずる規定があり、同条第4項には業務が法令や消防計画に従って行われていないときの措置を命ずる規定が置かれています。
Q防災管理点検の結果はどこへ報告するのですか?
A消防法第36条第1項が準用する法第8条の2の2第1項により、消防長又は消防署長へ報告します。点検を行うのは防災管理点検資格者で、消防職員が代わりに点検してくれる制度ではありません。
Q防火管理と防災管理で立入検査の扱いが分かれるのはなぜですか?
A根拠の条文が違うからです。防火管理は火災予防そのものなので消防法第4条の検査になじみますが、防災管理は火災以外の災害による被害の軽減を目的としており、法第36条第1項の準用の範囲に第4条が入っていません。

まとめ

立入検査の根拠は消防法第4条で火災予防のために必要があるときに限られます
消防法第36条第1項の準用は第8条から第8条の2の3までで第4条は含まれません
消防庁は防災管理業務に係る内容に立入検査等の規定は適用されないと示しています
防災管理の状況は選任解任の届出を通じて消防に伝わります
点検は防災管理点検資格者が一年に一回行い結果を消防長又は消防署長へ報告します
防災管理対象物は防火対象物でもあるので火災予防の立入検査そのものは行われます
届出と点検の予定を一年の予定表に載せるところから始めます

検査を待つ話ではないと分かりました。
届出と点検を自分の予定に組み込みます。

その組み立てで大丈夫です。
防災管理点検や届出でお困りでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第4条第1項・第8条第1項から第4項まで・第8条の2の2第1項・第36条第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第46条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の4第1項・第51条の12第1項・同条第2項・同条第3項
  • 総務省消防庁予防課長「消防法の一部を改正する法律等の運用について」(平成21年1月29日付け消防予第48号)
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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