劇場のステージでろうそくを灯す演出や百貨店の催事場で行う実演販売の計画が持ち込まれることがあります。
ところが建物によっては裸火の使用そのものが条例で禁じられている場所があります。
禁じられているからといって一切できないわけではなく、消防署長の承認を受ける道が用意されています。
この手続が禁止行為の解除承認で催しの計画段階で所轄消防署に相談するところから始まります。
催事場で鉄板を使った実演をしたいとテナントから言われました。
建物の中で火を使ってよいものなのでしょうか。
売場が指定場所になっていれば条例で禁じられている行為にあたります。
そのうえで承認を受ければ行えるという組み立てになっています。
承認は誰に出してもらうものなのですか。
管轄する消防署の署長です。
どの場所でなにが禁じられているのかから順に見ていきましょう。
- 火の使用に関する制限は消防法第9条が市町村の条例に委ねているため所轄の火災予防条例で決まります
- 指定場所で禁じられるのは喫煙と裸火の使用と危険物品の持込みの3つです
- 禁止を解くのが禁止行為の解除承認で条例第23条第1項ただし書がその根拠になります
- 東京消防庁は行おうとする場所を管轄する消防署におおむね10日前までの申請を案内しています
- 同じ喫煙でも舞台は演出上必要なものに限って認められ客席や売場は認めないものとされています
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目次
劇場や百貨店で火を使ってはいけないと決めているのはどの法令なのか

そこを定めているのは市町村が議会の議決で作る条例のほうです。
この委任を受けて各市町村が定めているのが火災予防条例で、消防庁が示した火災予防条例(例)をもとに作られています。
その条例の中に置かれているのが喫煙等の制限の条で、東京都では第23条にあたります。
禁じられる行為として並んでいるのは喫煙と裸火の使用と火災予防上危険な物品の持込みで、この3つをまとめて禁止行為と呼びます。
条例なので中身は市町村ごとに違います。自分の建物を管轄する消防本部の条例を開いて条番号から確かめるのが出発点になります。
消防法ではなく条例に書いてあるのですね。
法が条例に委ねている形です。
条番号も基準も市町村ごとに違うので所轄の条例を手元に置いてください。
どの場所が指定されると禁止がかかるのか

条文が挙げた場所のうち消防機関が指定したものが対象になります。
一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂若しくは集会場(以下「劇場等」という。)の舞台又は客席
二 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場(以下「百貨店等」という。)の売場又は展示部分
三 地下街(法第8条の2で規定する地下街をいう。以下同じ。)の売場
四 文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定によつて重要文化財、重要有形民族文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和8年法律第43号)の規定によつて重要美術品として認定された建造物の内部又は周囲
五 前各号に掲げるもののほか、火災が発生した場合に人命に危険を生ずるおそれのある場所
並んでいるのは劇場等の舞台又は客席と百貨店等の売場又は展示部分、地下街の売場、そして重要文化財等として指定された建造物の内部又は周囲です。
第五号に人命に危険を生ずるおそれのある場所という受け皿が置かれているため、東京消防庁は屋内展示場や映画スタジオ、旅館、駐車場、高さ100メートル以上の建築物なども対象として案内しています。
どこを指定するかは消防長や消防総監が規程などで具体的に決める仕組みなので、条例の条文だけを読んでも自分の建物が入るかは分かりません。
テナントとして入っている場合も指定は建物の場所に対してかかります。館の防災センターに指定の範囲を確認しておくと催しのたびに迷わずに済みます。
売場全体が指定されているのか一部なのかで話が変わりますね。
そのとおりです。
指定の範囲は所轄消防署に問い合わせれば教えてもらえます。
禁止されている行為を行うにはどんな手続がいるのか

そのために第1項の末尾にただし書が置かれています。
同第1の4 消防署長は、3の規定により承認をした場合(喫煙を承認した場合を除く。)には、当該申請をした者に対して、(略)禁止行為解除承認証を交付するものとする。
東京消防庁の案内では、まず禁止行為にあたるかどうかと認められる範囲を消防署に事前相談し、そのうえで禁止行為の解除承認申請書を正本と副本の2部そろえて提出する流れになっています。
提出先は禁止される行為を行おうとする場所を管轄する消防署で、時期はおおむね10日前までとされています。
提出後は書類審査と現地調査が行われ、基準に適合していれば承認書と禁止行為解除承認証が交付されます。
毎日火を使う調理のように行為が続く場合は、告示が1年以上継続するものとしてする恒常的な解除承認を別の様式で用意しています。催しのたびに出し直すのか年単位でまとめるのかは、事前相談の場で確かめておくと段取りが早くなります。
つまり書類を出す前に相談から入るのですね。
相談が先です。
現地調査まで入るので日程には余裕を見ておいてください。
承認されるものとされないものはどこで分かれるのか

同じ行為でも場所によって基準がはっきり分かれています。
舞台の部 喫煙 1 演出のために必要なものに限ること。2 喫煙設備を設けること。3 消火器具を設けること。4 従業員等による監視、消火等の体制が講じられていること。
客席の部 喫煙 認めないものとする。
舞台は演出のために必要なものに限るという条件付きで認められますが、客席は認めないものとすると書かれていて申請しても通りません。
別表第3の百貨店等の売場と別表第6の地下街の売場も同じく喫煙は認めないものとされていて、ここは建物の規模や設備で覆るものではありません。
承認された場合でも解除されるのは申請した行為だけです。条例第23条第2項の禁止する旨の標識、第3項の吸殻容器を設けた喫煙所の設置、第4項の関係者による制止義務は解除されずに残ります。
告示は解除の基準を遵守しない場合と解除された行為を行っている場所から火災を発生させた場合に解除を取り消すとしています。承認を受けたあとも条件の守られ方を見に行くところまでが実務です。
客席の喫煙は申請しても通らないのですね。
先に知らずに案内するところでした。
基準が場所ごとの表になっています。
企画を詰める前に表のどこに当たるかを見ておくと手戻りが減ります。
明日からなにを確認すればよいのか

平常時にそろえておけることが条例のほうに書かれています。
同条第4項 第1項に規定する消防総監の指定する場所の関係者は、当該場所で喫煙し、裸火を使用し、又は当該場所に危険物品を持ち込もうとしている者があるときは、これを制止しなければならない。
まず自分の建物のどこが指定場所になっているかを所轄消防署に確かめ、標識が見やすい箇所に付いているかを歩いて確認します。
喫煙を禁止しない運用にしている場合は、指定場所以外に吸殻容器を設けた喫煙所とその旨の標識が要ります。
そのうえで火を使う催しやテナントの実演の予定を拾い出し、企画が固まる前に事前相談を入れる段取りを社内の手順に書き込んでおきます。
承認が下りたら承認証を行為を行う見やすい位置に掲出し、承認の条件を当日の担当者にそのまま渡します。これで当日に慌てる要素がひととおり消えます。
催しの予定表と一緒に管理すればよさそうです。
その形がいちばん続きます。
予定表に相談の期限を書き添えておいてください。
よくある質問
まとめ
催しの予定表に事前相談の欄を足しておきます。
これで直前に困らずに済みそうです。
指定の範囲と標識の確認まで手順に落とせば十分です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 東京都火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)第23条
- 火災予防条例に基づき消防総監が定める基準及び消防総監が火災予防上必要と認める措置(平成16年東京消防庁告示第7号)
- 東京消防庁「知っていますか?こんな場所での火気使用規制 禁止行為と解除承認」
- 東京消防庁「禁止行為の解除承認申請書」
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





