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禁煙の立札はどの条文で立てるのか|消防法第3条と第23条で異なるたき火や喫煙の制限

祭りの準備が進む神社の参道と無地の立て札

たき火や喫煙を制限する規定は、消防法の中に二つあります。
第2章の火災予防に置かれた消防法第3条と、第5章の火災の警戒に置かれた消防法第23条です。
どちらも同じような制限に見えますが、立法の趣旨も取扱いも根本から異なります。
この記事では二つの条文の違いと、禁煙の立札を掲げる際の根拠を消防庁の質疑応答に沿って整理します。

空き地に禁煙の立札を立てたいんやけど、消防法を根拠にできるんか。

条文の選び方に注意が必要です。
消防法第3条の徹底を図るために立札を掲げることは法律違反であるとまで述べられています。

ほな乾燥注意報が出てる日は火災警報と同じ扱いになるんか。

そこも別のものです。
異常乾燥注意報や強風注意報をもって消防法第22条第1項の通報に代えることは適当でないとされています。この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 消防法第3条は平常時の予防の規定であり第23条は警戒時の予防の規定である
  • 第3条の規定の徹底を図るために禁煙その他の立札又は看板等を掲げることは法律違反であり職権の乱用となるおそれがある
  • たき火喫煙禁止区域は市町村長の自由裁量によって設定すべきものである
  • 異常乾燥注意報および強風注意報をもって消防法第22条第1項の通報に代えることは適当でない

消防法第3条は平常時の予防で第23条は警戒時の予防にあたる

穏やかな日と風の強い日の街並みを並べたイラスト

たき火または喫煙の制限は消防法第3条と第23条のそれぞれに規定されています。
両者の取扱方法がいかに異なるかが問われました。

回答ではまず消防法第3条は第2章火災予防の章に、同じく第23条は第5章火災の警戒の章に規定されていると位置づけが示されます。
そのうえで両者は共に火災の予防に関する規定でありたき火又は喫煙の制限に関する規定であるが、前者は平常時の予防の規定であり後者は警戒時の予防の規定であるところが、根本的にその立法の趣旨及び取扱いを異にする所以であると説明されています。

同じ喫煙の制限であっても、置かれている章が違えば前提となる場面が違うということです。
平常時か警戒時かで分かれます

回答では危険性の程度についても触れられています。
同一の喫煙の制限にしても前者の場合は後者の場合に比較して、より高次の危険性が要求されない限り制限的措置を講じ得ないとされました。

第3条を根拠に禁煙の立札を掲げることは法律違反となる

立札に赤い禁止の斜線が引かれたイラスト

両者の違いは、実際にどう措置をとるかの場面ではっきりと表れます。
回答では第3条について消防上具体的に現場において危険であると認められる場合に、一々指示を与えるもので、予め喫煙禁止地区等の告示をなしうるものではないとされています。

そのうえで第3条の規定の徹底を図るために、禁煙その他の立札又は看板等を掲げることは法律違反であり職権の乱用となるおそれがあると述べられています。
立札は第3条ではできません

これに対して第23条は市町村内の一定の区域内の地域を指定し、かつ期間を限つて制限するもので、予め告示して置かなければならないとされています。
つまり立札を掲げて禁煙等の措置を講じるのは第23条によるべきであるという結論です。

ただし第23条にも条件があります。
この場合と雖も、火災の警戒上特に必要と認められる場合に限られていることを注意しなければならないとされています。

要するに第3条は具体的な現場行為に対する指示が予定され、第23条は地域的又は時間的の制限のもとに予め告示されることが予定されているという整理です。
回答は段階的にも内容的にも明らかに異なるものであると締めくくられています。

たき火喫煙禁止区域を設定できるのは市町村長に限られる

庁舎と区域を指定した地図を並べたイラスト

昭和30年5月4日付け国消総発第43号は、油脂庫および弾薬庫の周囲に喫煙焚火禁止区域を設定したいという申請についての照会です。
まず設定期間は1年であるが期間満了の後は引き続き更新することを希望している。しかしながら消防法第23条には期間を限つてとあり、期間満了後更新を行ない半永久的に継続させるような取扱いはできないと解するが如何と問われました。

回答は消防法第23条に規定するたき火又は喫煙の制限の期間は、必ずしもその更新を禁ずる趣旨のものではないです。
期間を限る規定であっても、更新そのものが否定されているわけではないという整理です。

より重要なのは、誰が設定するのかという点です。
回答では同条の規定によるたき火喫煙禁止区域は、消防機関の許可によつて設定しうるものではなく、市町村長の自由裁量によつて設定すべきものであるとされています。

申請して許可を得る制度ではありません
もっとも消防機関の助言によることは当然であり、また申請により審査しても差し支えないとも添えられています。

さらに回答はこのような禁止区域を設定しても差し支えないが、本来かかる弾薬庫等の保安距離は自己敷地内に保有すべきものであると付け加えています。
公道や周囲の土地を制限することで自らの保安距離を確保するという発想への釘刺しといえます。

乾燥注意報や強風注意報は火災気象通報の代わりにならない

天気予報の画面と警報のスピーカーを並べたイラスト

昭和37年2月13日付け自消丙予発第9号は、気象台からの協議についての照会です。
問われたのは気象業務法による異常乾燥注意報と強風注意報をもって消防法による火災気象通報に代えたいという申し入れの可否でした。

回答では異常乾燥注意報及び強風注意報の発令の基準については、法令の規定はなく、また地方により相違があると指摘されています。
そのうえで消防法第22条の火災に関する警報の発令要件としての適正な基準に比してその要件が緩やかな場合が多いとされました。

結論は異常乾燥注意報及び強風注意報をもって消防法第22条第1項の通報に代えることは適当でないです。
注意報と火災気象通報は別です

乾燥注意報が出ているからといって、ただちに火災警報が出ているわけではありません。
火の使用が制限されるのは市町村長が火災に関する警報を発令したときであり、両者は分けて考える必要があります。

催物の届出は条例で定めることができる

仮設テントと届出書類を並べたイラスト

昭和30年6月15日付け国消総発第59号は、催物の届出についての照会です。
火災予防条例に、建築物や掛小屋その他工作物を仮設し公衆を収容して催物を行う際には消防長又は消防署長に届け出なければならない旨を規定してよいかと問われました。

回答は当本部で示した火災予防条例準則には掛小屋その他工作物を仮設して公衆を収容し催物を行なう場合の届出規定はないが、火災の警戒及び人命危険の防止上必要があると認められるならばその旨届出させても差し支えないです。
あわせて届出があつたときは警戒員を派出して万一の際に避難誘導及び初期消火に当たらせている都市もあると紹介されています。

既存の建築物内で催物を行う場合についても照会がありました。
これについては仮設物に公衆を集合させる場合の届出規定のみで、恒久的建築物に公衆を集合させる場合にも届出させることは無理であるから、この場合にも届出させようとするときにはその旨を規定しなければならないとされています。

映画の上映届出と重なる場合の書き方まで示されています。
届出事項の内容が同一であるか又は消防法の届出事項の内に含まれるときは、条例にただし消防法第15条第2項の規定により消防長又は消防署長に届出たときはこの限りでないとのただし書を入れるべきであるとされています。

よくある質問

Q. 消防法第3条と第23条はどう違いますか?
第3条は平常時の予防の規定で、第23条は警戒時の予防の規定です。第3条は現場において危険であると認められる場合に一々指示を与えるもの、第23条は一定の区域内の地域を指定し期間を限って制限するもので、予め告示しておかなければならないとされています。
Q. 禁煙の立札は消防法第3条を根拠にできますか?
できません。第3条の規定の徹底を図るために禁煙その他の立札又は看板等を掲げることは法律違反であり、職権の乱用となるおそれがあるとされています。立札を掲げて禁煙等の措置を講じるのは第23条によるべきであるとされています。
Q. たき火喫煙禁止区域は申請して設定してもらえますか?
消防機関の許可によって設定しうるものではなく、市町村長の自由裁量によって設定すべきものであるとされています。ただし申請により審査しても差し支えないとも示されています。
Q. 乾燥注意報が出ていれば火災警報と同じ扱いですか?
違います。異常乾燥注意報及び強風注意報をもって消防法第22条第1項の通報に代えることは適当でないとされています。発令の基準に法令の規定がなく地方により相違があり、要件が緩やかな場合が多いことが理由とされています。

まとめ

  • 消防法第3条は第2章火災予防の章に第23条は第5章火災の警戒の章に規定されている
  • 第3条は平常時の予防の規定であり第23条は警戒時の予防の規定である
  • 第3条は現場において危険であると認められる場合に一々指示を与えるもので予め告示をなしうるものではない
  • 第3条の徹底を図るために立札又は看板等を掲げることは法律違反であり職権の乱用となるおそれがある
  • 立札を掲げて禁煙等の措置を講じるのは第23条によるべきで火災の警戒上特に必要と認められる場合に限られる
  • たき火喫煙禁止区域は消防機関の許可ではなく市町村長の自由裁量によつて設定すべきものである
  • 異常乾燥注意報および強風注意報をもって消防法第22条第1項の通報に代えることは適当でない
  • 催物の届出は火災の警戒および人命危険の防止上必要と認められるならば条例で定めても差し支えない

同じ禁煙でも、どの条文で立てるかで全然ちゃうんやな。気ぃつけなあかんわ。

そのとおりです。
敷地内の喫煙場所の設定やイベント時の火気の扱いでお困りの際は、所轄消防署への相談も含めてお手伝いします。

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第3条・第15条・第22条・第23条 e-Gov法令検索
  • 気象業務法(昭和27年法律第165号) e-Gov法令検索
  • 消防法第3条と第23条の違いについて
  • 自衛隊施設内における喫煙焚火禁止区域の設定について(昭和30年5月4日付け国消総発第43号 総務課長から熊本市消防長あて回答)
  • 催物の届出について(昭和30年6月15日付け国消総発第59号 総務課長から宇和島市消防長あて回答)
  • 気象業務法に基づく異常乾燥注意報等の代替について(昭和37年2月13日付け自消丙予発第9号 予防課長から香川県総務部長あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の火災の警戒に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

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