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共同住宅や寮の収容人員は居住者をどう数えるのか|(5)項ロの防火管理者と自動火災報知設備の基準を解説

共同住宅や寮の収容人員は居住者をどう数えるか

アパートやマンションや社員寮は、人が住み続ける建物です。
だから消防法令では、旅館やホテルとは別の行に置かれています。
防火管理者が要るかどうかも、要る場合に何をそろえるかも、この行のちがいで変わります。
この記事では共同住宅や寮が(5)項ロとしてどう扱われ収容人員をどう数えるのかを解説します。

社員寮を任されたのですが、収容人員を部屋数で数えてよいのでしょうか。

部屋数ではありません。
寄宿舎や共同住宅は居住者の数だけで算定すると決まっています。

空き部屋が多い時期は数が減りますが、それでよいのですか。

だからこそ入居が進んだ時点で見直すことになります。
消防法は収容人員の管理そのものを防火管理者の業務に数えています。

この記事の結論
  • 寄宿舎と下宿と共同住宅は令別表第一(5)項ロに掲げられています。(消防法施行令別表第一)
  • 収容人員は居住者の数により算定し床面積の按分も従業者の数も出てきません。(消防法施行規則第1条の3)
  • 防火管理者が必要になるのは収容人員が50人以上になったときです。(消防法施行令第1条の2第3項第1号ハ)
  • 延べ面積が500平方メートル以上になると乙種ではなく甲種の資格が要ります。(消防法施行令第3条第1項第2号)
  • 自動火災報知設備は人数ではなく延べ面積500平方メートル以上で判定します。(消防法施行令第21条第1項第4号)

共同住宅の収容人員は居住者の数だけで算定することを示した図解

共同住宅や寮は消防法上どの区分になるのか

共同住宅と社員寮と下宿の三棟が並んでいる
住むための建物は、令別表第一の中で一つの行にまとめられています。
まずその行の言葉を確かめます。
消防法施行令別表第一(五)項 イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅
分かれ目は住み続けるかどうかです。
令別表第一(五)項ロは寄宿舎と下宿と共同住宅を並べており、アパートもマンションも社員寮もここに入ります。
同じ(5)項でもイの旅館やホテルは不特定の人が入れ替わるので、条文はイとロを別の欄に分けています。
そしてロは特定防火対象物ではありません。
消防法第17条の2の5第2項第4号が特定防火対象物として並べる用途にも、消防法施行令第4条の2の2が防火対象物点検の対象として並べる用途にも、(5)項ロは出てきません。
自分の建物がイとロのどちらなのかは、消防用設備等の点検結果報告書の表紙にある用途の欄で確かめられます。

ウィークリーマンションのような貸し方でも共同住宅でよいのでしょうか。

貸し方によってはイの側と判断されることがあります。
まずは点検結果報告書の用途欄を開いて所轄の見立てを確かめてください。

収容人員は居住者をどう数えるのか

住戸ごとに居住者を数えている共同住宅の平面
数え方の条文は、ほかの用途にくらべて驚くほど短いです。
その短さが実務のむずかしさになります。
消防法施行規則第一条の三 (略)令別表第一(五)項に掲げる防火対象物 ロに掲げるもの 居住者の数により算定する。
数えるのは住んでいる人だけです。
同じ表の(5)項イには従業者の数と宿泊室ごとの数と集会飲食休憩の部分の数を合算する組み立てが書かれていますが、ロにはその組み立てがありません。
床面積を割る計算も出てこないので、住戸の数や延べ面積から機械的に導くことはできません。
管理人室に人が常駐していても、条文が数えると書いているのは居住者なので、そこを勝手に足したり引いたりはしません。
つまり入居が進めば数は増え、退去が続けば数は減ります。
賃貸なら入居者名簿、分譲なら組合員名簿と世帯人数の届出が、そのまま収容人員の根拠になります。

世帯人数まで把握していない住戸があります。

その把握そのものが防火管理の入口になります。
まず住戸ごとの人数を一覧にして所轄消防署に見せながら相談してください。

収容人員が50人以上になるとなにが始まるのか

共同住宅の前で防火管理者が選任届を出している
しきい値は用途ごとに書き分けられています。
(5)項ロは非特定の側にまとめて置かれています。
消防法施行令第一条の二第三項第一号ハ 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ及び(十七)項に掲げる防火対象物で、収容人員が五十人以上のもの
消防法施行令第三条第一項第二号 第一条の二第三項第一号ロ及びハに掲げる防火対象物で、延べ面積が、(略)その他の防火対象物にあつては五百平方メートル未満のもの(以下この号において「乙種防火対象物」という。)
境目は50人です。
旅館やホテルの(5)項イが30人以上で始まるのに対し、(5)項ロは50人以上で始まります。
届いたときは、管理について権原を有する者が防火管理者を定め、消防法第8条第2項により遅滞なく所轄消防長または消防署長へ届け出ます。
防火管理者の仕事は同条第1項に並んでおり、消防計画の作成と訓練の実施と設備の点検整備と火気の監督と収容人員の管理まで含みます。
資格の甲乙は人数ではなく延べ面積で分かれ、500平方メートル未満なら乙種で足り、それ以上なら甲種が必要です。
小規模なアパートなら乙種で足りることが多く、中層以上のマンションでは甲種になると見込んでおくと講習の申込みで迷いません。

人数で選任が決まり、面積で資格が決まるということですね。

そのとおりです。
講習を申し込む前に延べ面積を確かめておくと無駄がありません。

実務で見落としやすいのはどこか

小さな共同住宅と受信機を備えた大きな共同住宅の対比
人数のしきい値を覚えると、そればかりで判断しがちです。
設備と報告のものさしは別に置かれています。
消防法施行令第二十一条第一項第四号 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項、(十二)項、(十三)項イ及び(十四)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が五百平方メートル以上のもの
ものさしは人数だけではありません。
まず自動火災報知設備で、(5)項ロは延べ面積500平方メートル以上のときに対象となり、面積を問わず対象になる(5)項イとは扱いが正反対です。
つぎに点検結果の報告で、消防法施行規則第31条の6第3項第2号は(5)項ロを3年に1回としており、同項第1号の(5)項イの1年に1回より周期が長くなっています。
そして防火対象物点検で、消防法第8条の2の2の対象を定める消防法施行令第4条の2の2に(5)項ロは並んでおらず、収容人員が何人になっても対象にはなりません。
最後に防炎規制で、消防法施行令第4条の3第1項の防炎防火対象物にも(5)項ロは並んでいません。
ただし消防法第8条の3第1項は用途とは別に高層建築物を掲げており、消防法第8条の2第1項がこれを高さ31メートルを超える建築物と定めているので、高層のマンションならカーテン等は防炎物品にする必要があります。

用途で外れても高さで入ることがあるとは知りませんでした。

用途と高さは別の入口だと覚えてください。
建築確認の書類で建物の高さを一度確かめておくと安心です。

明日からなにを確かめればよいのか

共同住宅の掲示板の前で図面と台帳を確認している
やることは書類の中で完結します。
順番だけ決めておけば迷いません。
消防法第八条第一項 (略)政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、(略)消防計画の作成(略)火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
名簿と面積を先に押さえます。
はじめに入居者名簿や組合員名簿から住戸ごとの人数を拾い、合計が50人に届いているかを確かめます。
つぎに検査済証や点検結果報告書で延べ面積を拾い、500平方メートルを境に甲種か乙種か、そして自動火災報知設備の対象かどうかを判断します。
選任が要るとわかったら、消防法第8条第2項の届出を出したうえで消防計画を作り、収容人員の管理を計画の中に位置づけます。
そのうえで空室の埋まり方を年に一度は見直すと、50人を越えた年に気づけます。
一階に店舗や飲食店が入ると建物全体が(16)項イに変わり、しきい値が30人以上に下がるので、テナントの入替えを聞いたら所轄消防署へ相談してください。

名簿と延べ面積を並べて見ればよいわけですね。

その順番で判断の骨格ができます。
今日は名簿の合計を出すところまで進めてみてください。

よくある質問

Q管理人や清掃員の人数も収容人員に足すのですか?
A条文は足すとは書いていません。消防法施行規則第1条の3は(5)項ロについて居住者の数により算定するとしているだけで、(5)項イのように従業者の数を合算する組み立ては置かれていません。判断に迷う勤務形態があるときは所轄消防署にご確認ください。
Q共同住宅にも避難器具の設置義務はありますか?
Aあります。消防法施行令第25条第1項第2号は(5)項の2階以上の階または地階で収容人員が30人以上のものを挙げており、下階に(1)項から(4)項までなどがあるときは10人以上に下がります。ここは建物全体ではなく階ごとの人数で判断します。
Q消火器は延べ面積がいくつから必要になりますか?
A消防法施行令第10条第1項第2号イは(5)項を延べ面積150平方メートル以上として並べており、ここはイとロを分けていません。自動火災報知設備と違って旅館でも共同住宅でも同じ面積で対象になります。
Q居住者が50人未満なら何もしなくてよいのですか?
A防火管理者の選任は要りませんが、設備の義務は別に残ります。消火器も自動火災報知設備も判定のものさしは延べ面積なので、人数が基準に届かない建物でも設置と点検の対象になることがあります。

まとめ

寄宿舎と下宿と共同住宅は令別表第一(5)項ロで非特定防火対象物です
収容人員は居住者の数だけで算定し床面積の按分はありません
防火管理者の選任は収容人員が50人以上になった時点で必要です
資格の甲乙は延べ面積500平方メートルで分かれます
自動火災報知設備は延べ面積500平方メートル以上が判定の基準です
点検結果の報告は3年に1回で防火対象物点検の対象にはなりません
防炎規制は用途では外れますが高層建築物なら義務が生じます

居住者の数と延べ面積を並べれば判断できるとわかりました。
さっそく名簿から拾い直してみます。

名簿の合計を出すところが出発点になります
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法第8条第1項及び第2項/第8条の2第1項/第8条の2の2第1項/第8条の3第1項
  • 消防法第17条の2の5第2項第4号/第17条の3の3
  • 消防法施行令第1条の2第3項第1号/第3条第1項第2号
  • 消防法施行令第4条の2の2/第4条の3第1項
  • 消防法施行令第10条第1項第2号/第21条第1項/第25条第1項第2号
  • 消防法施行令別表第一
  • 消防法施行規則第1条の3/第31条の6第3項

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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