火災でも地震でも建物の外から消防隊が到着します。
到着した隊員は建物の中の造りを知りません。
だれが何を渡してどこへ案内するのかは、消防計画に書いておくことができます。
この記事では消防隊への情報の提供と誘導がどの条文に置かれているのかを条文と消防庁のガイドラインから整理します。
消防隊が着いたら防災センターへ来てもらうつもりです。
ただ誰が何を渡すのかまでは決めていません。
そこは条文が名指ししている事項です。
建物全体についての消防計画に情報の提供と誘導を定めることになっています。
うちはテナントなので全体の計画は建物の所有者が作っています。
それでもテナントの計画は全体の計画に適合させる必要があります。
まず読み合わせるところから始めましょう。
- 建物全体についての消防計画には消防隊に対する情報の提供と誘導を定めます
- この事項を名指ししているのは全体についての消防計画の条文だけです
- 対象は管理権原が分かれている高層建築物や地下街などです
- 防災管理の側では火災の際のという文言が令第45条の災害に読み替わります
- テナント単独の消防計画には同じ号が無いので受け皿の号に書き足します
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目次
消防隊への情報の提供と誘導とはなにを指すのか

自衛消防の活動と混ざりやすいのですが、条文では消防計画に定める事項として並んでいます。
条文は情報の提供と誘導を一つの号にまとめています。
提供するのは建物の構造と、その他に必要な情報です。
誘導のほうは、到着した隊員を建物の中の現場まで連れて行くことを指しています。
この号は建物全体についての消防計画の記載事項として置かれているので、まずは自分の建物にこの計画があるのかを確かめてください。
避難誘導のことだと思っていました。
逃がすほうではなく招き入れるほうなのですね。
そのとおりです。
在館者を逃がす避難誘導は同じ条文の別の号に置かれています。
どの建物にこの記載が求められるのか

全体についての消防計画は、すべての建物に求められているわけではありません。
一つの建物を一人の権原者が使っているなら、統括防火管理者そのものが要りません。
高さが31メートルを超える高層建築物は、権原が分かれていればそれだけで対象になります。
それ以外の建物は令第3条の3が四つの区分で線を引いていて、(6)項ロとその用途が入る(16)項イは地階を除く階数が3以上で収容人員が10人以上、(1)項から(4)項まで・(5)項イ・(6)項イ・ハ・ニ・(9)項イとこれらが入る(16)項イは階数が3以上で収容人員が30人以上、(16)項ロは階数が5以上で収容人員が50人以上、(16の3)項は規模を問わず対象です。
地下街だけは消防長又は消防署長の指定があってはじめて対象になるので、自分の建物がどれに当たるのかを先に確かめてください。
テナントが二社しか入っていない雑居ビルでも権原は分かれていますよね。
分かれています。
そのうえで階数と収容人員が令の線を越えているかどうかを見ます。
消防隊に渡す情報にはなにを並べるのか

そして条文を読むだけでは、並べるものが決まりません。
防災管理の側でも同じ号がそのまま準用され、火災の際のという文言が令第45条に掲げる災害のときと読み替わるだけです。
では何を並べるのかというと、消防庁の消防計画作成ガイドラインが手がかりになります。
ガイドラインの別冊4は、防災センターで集める情報として災害の状況・避難状況・消防用設備等の作動状況・自衛消防隊の活動状況・災害発生から消防隊現場到着時までの時系列情報という5つを挙げ、その集め方を具体化しておくよう求めています。
同じ別冊は、現着する消防機関への情報提供や案内の活動要領を具体的に書くことと、消防機関の指揮本部を防災センター等のどこに置くのかを書くことも求めているので、置き場所まで決めておいてください。
図面と鍵をまとめた箱を受付に置いてあります。
あれを渡せばよいということですね。
渡すものが決まっているのは強みです。
あとは時系列で何が起きたかを言える人を決めておきましょう。
テナント単独の消防計画にはどう書くのか

全体の計画と自分の計画では、条文が並べている事項がそろっていません。
置かれているのは消防機関との連絡で、これは届出や相談を含む平常時からのつながりを指す号です。
災害が起きた日に隊員へ何を渡すかとは、別の話になります。
だからテナント単独の計画では、規則第3条第1項第一号ヲや規則第51条の8第1項第一号チという受け皿の号に自分で書き足すことになります。
書き足したら全体についての消防計画と読み合わせて、待ち合わせ場所や渡す書類が食い違っていないかを確かめてください。
受け皿の号に書いてよいのなら、全体の計画と重なっても構わないのでしょうか。
重なって構いません。
むしろ全体の計画に適合させることが条文で求められています。
明日からなにを確認すればよいのか

出発点は自分の計画ではなく、建物全体の計画のほうです。
第六号にあたる部分を開いて、待ち合わせ場所と渡す書類と案内する役の三つが書かれているかを見てください。
書かれていなければ、統括防火管理者と管理権原者に伝えて追記を相談します。
自分のテナントの計画のほうは、受け皿の号に同じ三つを書き足し、鍵の保管場所と図面の置き場所まで具体名で書いておきます。
書き終えたら次の訓練で実際に玄関から現場まで案内してみて、時間と経路が計画のとおりかを確かめてください。
訓練で案内までやったことはありませんでした。
次は玄関から歩いてみます。
その一回で書けることが増えます。
歩いてみて出た気づきはその日のうちに計画へ書き足してください。
よくある質問
まとめ
全体の計画を借りて読むという発想がありませんでした。
明日さっそく管理会社に頼んでみます!
そこが出発点になります。
読み合わせや消防計画の見直しでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2・第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第3条の3・第4条の2・第45条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項・第4条第1項・第51条の8第1項・第51条の11の2
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊4
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





