BLOG

商店街のアーケードは消防法上どんな建物になるのか|(18)項の設備基準と管理義務を解説

アーケード商店街は消防法上どう扱われるかを解説する記事のアイキャッチ

商店街を歩いていると、頭上に大きな屋根がかかった通路を目にすることがあります。
このアーケードは見た目こそ通路ですが、消防法上は延長50メートルを境に別表第一(18)項という独立した防火対象物になります。
各店舗の建物とは別に、アーケードそのものが規制の対象になる仕組みです。
この記事では(18)項の判定基準と、必要になる消防用設備等・防火管理者や防炎規制の扱いを整理します。

商店街のアーケードって、消防法上はどう扱われるんですか。

延長50メートル以上のアーケードは、消防法施行令別表第一(18)項という区分になります。

うちの店の建物とは別に、ですか。

はい。
今日はその仕組みを順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 延長50メートル以上のアーケードは、消防法施行令別表第一(18)項に区分されます
  • アーケードの下にある各店舗は棟ごとに別の防火対象物として扱われ、アーケード自体も(18)項として別に規制されます
  • (18)項は防火管理者の選任義務がありません(令第1条の2第3項第1号)。
  • 防炎規制の対象にも含まれていません(令第4条の3第1項)。
  • それでも消火器具・自動火災報知設備・屋外消火栓設備は要件を満たせば設置義務が生じます

アーケード商店街は消防法上どんな防火対象物になるのか

屋根付きのアーケード通路と独立した建物が並んで比較されている様子
アーケードは店舗の建物とは別に、独立した区分を持っています。
まずはその基準がどこで線引きされるのかを確認します。
消防法施行令別表第一(18)項 延長50メートル以上のアーケード
基準になるのは長さだけで、屋根の材質や形は問いません。
延長50メートルに満たない小さな日よけやアーケードは、この項の対象になりません。
(18)項は【非特定用途】に位置づけられ、劇場や店舗のような不特定多数が利用する用途とは別の性質を持つ区分です。
アーケードの下にある個々の店舗は、それぞれ独自の防火対象物として消防法第8条や第17条の基準が及びます。
つまりひとつの商店街に、店舗の数だけ防火対象物があり、さらにアーケード自体も別の防火対象物になるという二重の構造が生まれます。

屋根の材質は関係ないんですね。

はい、長さだけで判定します。
次はアーケードに必要な設備を見ていきましょう。

アーケードにはどんな消防用設備等が必要になるのか

アーケードの支柱に取り付けられた消火器と屋根に設置された警報ベル
アーケードは店舗と違い、面積などの条件を満たさなければ設備が不要な場合もあります。
代表的な3つの設備を確認します。
消防法施行令第19条第1項 屋外消火栓設備は、別表第一(1)項から(15)項まで、(17)項及び(18)項に掲げる建築物で、床面積が(略)耐火建築物にあつては9,000平方メートル以上、準耐火建築物にあつては6,000平方メートル以上、その他の建築物にあつては3,000平方メートル以上のものについて設置するものとする
面積の基準を超えて初めて、本格的な設備が必要になります。
屋外消火栓設備は、アーケードの1階・2階部分の床面積の合計が耐火構造で9,000平方メートル以上などの基準を超えたときに必要です(令第19条第1項)。
自動火災報知設備は、アーケードのような道路の用に供される部分で、屋上は600平方メートル以上、それ以外は400平方メートル以上の場合に設置対象になります(令第21条第1項第12号)。
消火器具は、少量危険物や指定可燃物を貯蔵・取り扱う場合に限って必要です(令第10条第1項第4号)。
どの設備も、面積や取り扱う物品の基準を実際に確認しないと要否が判断できません。

うちのアーケードが基準に当てはまるのか、見ただけでは分からないですね。

はい、実測して基準と照らし合わせる必要があります。
次は防火管理者や防炎規制の扱いを見ていきましょう。

防火管理者や防炎規制はアーケードにも及ぶのか

防火管理者の選任が必要な建物と選任義務のないアーケード構造物が並ぶ様子
多くの建物では収容人員に応じて防火管理者の選任が義務付けられています。
アーケードにはこの義務があてはまるのでしょうか。
消防法施行令第1条の2第3項第1号 法第8条第1項の政令で定める防火対象物は、次に掲げる防火対象物とする。一 別表第一に掲げる防火対象物(同表(16の3)項及び(18)項から(20)項までに掲げるものを除く。)のうち、次に掲げるもの(略)
(18)項は防火管理者の選任義務がある建物の一覧から、そもそも除かれています。
条文は(18)項を含む(16の3)項から(20)項までを、防火管理者の対象となる防火対象物の範囲から明確に除外しています(令第1条の2第3項第1号)。
防炎規制も同様で、カーテンや工事用シートを防炎品にする義務がある「防炎防火対象物」の一覧に(18)項は含まれていません(令第4条の3第1項)。
一方でアーケードの下にある店舗が(1)項や(6)項などに該当すれば、その店舗には通常どおり防火管理者の選任義務や防炎規制が及びます。
アーケード自体の義務と、店舗ごとの義務は別々に判断する必要があります。

アーケードだけを見れば防火管理者は要らないけど、店舗は別なんですね。

そのとおりです。
次は誰がアーケードの設備を維持するのかを見ていきましょう。

アーケードの管理義務は誰が負うのか

共通の屋根の下に並ぶ複数の店舗と商店街組合が管理するアーケードの構造
店舗ごとの義務とは別に、アーケードそのものの維持管理は誰が担うのかという疑問が残ります。
ここが実務で見落としやすいポイントです。
  • 別表第一の備考には、(16の2)項や(16の3)項、(17)項について他の防火対象物の部分と「みなす」規定がありますが、(18)項にはこの種のみなす規定がありません
  • そのためアーケードは、下にある店舗の一部としてではなく、独立した防火対象物として維持管理の対象になります。
  • 実務では商店街振興組合や管理組合など、アーケードの所有者・管理者がその維持管理の責任を負います。
アーケードの設備は誰かがまとめて管理しないと放置されます。
店舗の入れ替わりが多い商店街では、各店舗の防火管理者が自分の店舗の設備しか把握していないことがあります。
消火器の期限切れや自動火災報知設備の故障は、アーケードの管理者が定期的に点検しない限り見過ごされがちです。
自分の店舗の設備だけでなく、アーケード全体の設備が誰の管理下にあるのかを一度確認しておくとよいでしょう。

うちの店の消火器しか気にしていませんでした。

アーケード全体の管理者が誰かも、あわせて確認してみてください。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストの束と電話で消防署に確認する様子
ここまでの内容を、確認できる手順に落とし込みます。
特別な調査ではなく、今ある設備と管理体制を見直すだけで多くが分かります。
  • 自分の商店街のアーケードが延長50メートル以上かどうかを確認します。
  • アーケードの1階・2階部分の床面積の合計や、道路の用に供される部分の面積を確認します。
  • 消火器具・自動火災報知設備・屋外消火栓設備が、基準を満たして設置されているかを確認します
  • アーケード自体の維持管理を担う組合や管理者が誰かを確認します。
  • 不明な点は所轄消防署に相談します。
アーケードは、店舗とは別に確認が必要な建物です。
一度確認して終わりにせず、店舗の入れ替わりがあるたびに管理体制を見直すと安心です。
判断に迷う場合は、図面と設置状況を持って所轄消防署に確認するとスムーズです。

図面を持って確認しに行けば良いんですね。

はい。まずはアーケードの延長を測るところから始めてみてください。

よくある質問

Q(18)項に該当するアーケードは、延長50メートルちょうどでも対象になりますか?
Aはい。条文は「延長50メートル以上」としているため、ちょうど50メートルの場合も対象になります。
Qアーケードの下の店舗が防火管理者を選任していれば、アーケード自体の管理も兼ねられますか?
A条文上、店舗の防火管理者の選任義務とアーケード自体の管理義務は別の話です。実務では店舗の防火管理者が兼ねて対応する例もありますが、選任が法律上自動的に及ぶわけではありません。
Qアーケードに自動火災報知設備が無い場合、違反になりますか?
A令第21条第1項第12号などの基準を満たしているのに未設置であれば違反になります。基準に満たない場合は設置義務そのものがないため、まず床面積を確認してください。
Q延長50メートル未満の小さな日よけにも同じ基準がかかりますか?
Aいいえ。(18)項に該当するのは延長50メートル以上のアーケードに限られます。それより短いものはこの区分の対象になりません。

まとめ

延長50メートル以上のアーケードは消防法施行令別表第一(18)項に区分されます
アーケードの下の各店舗は棟ごとに別の防火対象物として扱われ、アーケード自体も(18)項として別に規制されます
屋外消火栓設備は1階・2階部分の床面積の合計が一定基準を超えると必要になります(令第19条第1項)。
自動火災報知設備は道路の用に供される部分の床面積が屋上600平方メートル以上・その他400平方メートル以上で必要になります(令第21条第1項第12号)。
消火器具は少量危険物・指定可燃物を扱う場合に限り必要です(令第10条第1項第4号)。
(18)項は防火管理者の選任義務も防炎規制の対象からも除外されています(令第1条の2第3項第1号・令第4条の3第1項)。
アーケードには「みなす」規定が無いため、維持管理の担当者を明確にしておくことが実務上の対策です。

アーケードにもこんな基準があったんですね。
まずは管理者が誰かを確認してみます。

それが一番確実です。㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

参考・出典

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(18)項・第1条の2第3項第1号・第4条の3第1項・第10条第1項第4号・第19条第1項・第21条第1項第8号及び第12号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
アーケード商店街は消防法上どう扱われるかを解説する記事のアイキャッチ
商店街を歩いていると、頭上に大きな屋根がかかった通路を目にすることがあります。 このアーケードは見た目こそ通路ですが、消防法上は延長50メートルを境に別表第一(18)項という独立した防火対象物になります。 各店舗の建物と...