防災管理者というと、所定の講習を修了した人というイメージが強いかもしれません。
しかし消防法施行令第47条第1項を読むと、選任のルートは第一号から第四号までの4つ用意されており、講習修了はそのうちの一つにすぎません。
なかでも第四号の「前三号に掲げる者に準ずる者」は、条文だけでは中身が見えず、具体的な要件は消防法施行規則第51条の5に委ねられています。
この記事では、その第51条の5が定める9つのルートを条文から確認します。
うちの担当者は資格取得の講習を受けていません。
この人を防災管理者にするのはあきらめるしかないんでしょうか。
あきらめるのはまだ早いです。
令第47条第1項には講習修了以外のルートもあります。
まずは条文の全体像から見ていきましょう。
「準ずる者」というのが気になります。
これって結局、誰にでも当てはまる曖昧な話じゃないんですか。
いいえ、曖昧ではありません。
「準ずる者」の中身は規則第51条の5が号ごとに具体的に定めています。
順番に見ていきましょう。
- 防災管理者の資格は消防法施行令第47条第1項の第一号から第四号までの4つのルートのいずれかに該当すれば足ります
- 第四号「前三号に掲げる者に準ずる者」の具体的な範囲は、消防法施行規則第51条の5が単独で定めています
- 第51条の5は安全管理者や危険物保安監督者など他の法令ですでに選任されている資格者を横滑りで認める仕組みです
- 一級建築士等の枝(第六号)は、防火管理と防災管理それぞれ一年以上の実務経験が同時に必要という見落としやすい条件を持ちます
- 防災管理点検資格者の免状交付を受けていれば、第一号の二でそのまま学識経験ルートに該当します
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目次
防災管理者になれるのは講習を修了した人だけなのか

条文はまず、選任のルートそのものを号ごとに区切って示しています。
第一号は防災管理の講習を修了した人、第二号は一年以上の実務経験がある人、第三号は管理的な職にあった消防職員です。
そして第四号だけは中身を条文の中に書かず、「総務省令で定めるところにより」学識経験を認められた人、という形で外部に委ねています。
講習を受けていない人が防災管理者になれる可能性は、この第四号にかかっています。
うちは第一号でも第二号でも第三号でもなさそうです。
第四号に望みをかけるしかないですね。
第四号「準ずる者」の中身は、次の規則第51条の5で具体的に定められています。
実際にどんな人が当てはまるのか見ていきましょう。
「準ずる者」の具体的な範囲はどこで決まるのか

受け皿となる条文がきちんと用意されています。
この条文が第一号から第八号(第一号の二を含めれば9つ)の類型を列挙し、どれか一つに当てはまれば第四号の要件を満たすという作りになっています。
つまり「準ずる者」は個別審査ではなく、あらかじめ号で区切られたチェックリストです。
自分がどの号に当てはまるかを確認するところから始めます。
リストになっているなら、自分がどれかに当てはまるか確認できそうです。
中身を教えてください。
大きく分けると、他の法令ですでに選任されている資格者を横滑りで認めるグループと、実務経験の年数で認めるグループがあります。
順番に中身を見ていきましょう。
具体的にどんな資格や実務経験が認められているのか

まずは条文そのものを確認します。
第一号・第二号・第三号は安全管理者・危険物保安監督者・鉱山保安法の保安管理者として現に選任されていることが条件です。
第四号・第五号・第七号は消防職員・警察官・消防団員としての管理的又は監督的な職の経験年数で認められます。
第六号の建築士等と第一号の二の点検資格者だけは、他の号と条件の作りが少し違います。次のセクションで詳しく見ます。
危険物保安監督者に選ばれています。
これだけで防災管理者になれますか。
選任されているだけでは足りません。
第二号は甲種危険物取扱者免状の交付もあわせて条件にしています。
免状の有無を確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

特に見落としやすいのが第六号です。
条文は「及び」でつないでおり、防火管理の実務経験と防災管理の実務経験の両方を求めています。
どちらか一方だけでは足りず、資格に加えて実務経験を積んだ年数を確認する必要があります。
また第一号・第二号・第三号は「選任された者」という文言なので、資格を持っているだけで現に選任されていない場合は該当しません。
一級建築士ですが、防火管理の実務経験しかありません。
これでも第六号に当てはまりますか。
当てはまりません。
第六号は防火管理と防災管理、両方の実務経験を条件にしています。
不足している経験年数を積むか、他の号を確認してください。
明日からなにを確認すればよいのか

特に見落としやすいのが、すでに免状を持っている場合です。
まずは手元の資格・免状・選任の記録を洗い出し、どの号に当てはまるかを確認してください。
判断に迷う号があれば、所轄消防長又は消防署長に確認するのが確実です。
選任の届出には資格を証する書面の添付も忘れずに準備します。
免状を持っているだけで良いんですか。
特に何か手続きが必要というわけではなく。
はい、免状の交付を受けていれば第一号の二の要件そのものです。
あとは選任の届出に資格を証する書面を添えるだけです。
まずは手元の免状を確認してみてください。
よくある質問
まとめ
準ずる者の中身がリストになっているとわかって安心しました。
まずは手元の資格を確認してみます。
資格・免状・選任の記録を確認し、迷ったら所轄消防署に相談する。
この順番で進めれば、第四号に当てはまるかどうかがはっきりします。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第36条第1項
- 消防法施行令第47条第1項
- 消防法施行規則第51条の5
- 消防法施行規則第51条の5第一項第六号
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





