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消火器はなぜ操作中に破裂するのか|腐食と点検不足による人身事故を解説

腐食した消火器を点検する専門業者をテーマにした、消火器の破裂事故防止に関するアイキャッチ画像

目の前にある消火器が、いつ破裂するかもしれないと考えたことはあるでしょうか。
昭和60年、腐食していた消火器や屋外に廃棄されていた消火器を操作したことで、北海道と新潟県で人身事故が発生しました。
この事故は、義務で設置された消火器だけでなく、家庭に置かれた消火器でも起こり得るものです。
この記事では、消火器が破裂する事故はなぜ起きるのか、そして日頃の点検で確認すべき4つのポイントを解説します。

うちの倉庫にも古い消火器があるんですが、破裂することなんてあるんでしょうか。

実際に昭和60年には、腐食した消火器を操作したことで人身事故が起きています。
他人事ではありません。

怖いですね……見た目だけで危険かどうか、判断できるものなんですか。

はい。
今日は消防庁が示す4つの点検ポイントを一緒に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 昭和60年、腐食や廃棄された消火器の操作で北海道と新潟県で人身事故が発生し、この通知が出されました。
  • 義務設置の消火器だけでなく、家庭に任意で置かれた消火器も維持管理の対象になります。
  • 点検では外観のさびや変形、安全栓、使用済み表示、圧力計の指針という4項目を確認します。
  • 購入又は設置から5年以上専門業者等の点検を受けていない消火器は、点検を受けることが望ましいとされています。
  • 異常が見つかったら自分で対応せず、消防設備士や専門業者等に整備等を依頼しましょう。

消火器の破裂による人身事故を防ぐための外観・安全栓・使用済み表示・圧力計の点検項目をまとめた図解

消火器の破裂による人身事故はなぜ通知に至ったのか

屋外に置かれた底部の腐食した消火器と噴き出す破片
この通知は、実際に起きた事故を受けて出されたものです。
どこでどのような事故が発生したのかを確認しましょう。
さる4月12日北海道において、底部が腐食していた消火器を操作することにより、また5月30日には新潟県においても屋外に廃棄されていた消火器を操作することにより、それぞれ人身事故が発生し死傷者を出す惨事となった。(消火器による人身事故の防止について 昭和60年5月31日 消防予第72号)
底部が腐食した消火器や、屋外に廃棄された消火器を操作したことで死傷者が出ています。
北海道の事故は、設置されたまま維持管理が行き届いていなかった消火器が原因でした。
新潟県の事故は、廃棄のために屋外へ出されていた消火器が原因になっています。
つまり現役で使う消火器だけでなく、廃棄前の消火器も操作すれば危険であるということです。
この事故を踏まえて、消防庁は維持管理と廃棄処理の両方について徹底を求めました。

腐食した消火器を操作するだけで、そんなに大きな事故になるものなんですね。
知らなかったです。

はい。
だからこそ日頃の点検で危険な状態を見つけることが大切なんです。次は、どの消火器が対象になるのかを見ていきましょう。

点検を求められるのはどの消火器か

通路に設置された消火器ボックスとキッチンに置かれた消火器
通知が求める維持管理は、設置の種類を問いません。
義務設置かどうかで対象が変わるのか確認しましょう。
義務設置に係る消火器については、その点検等維持管理の徹底を図るとともに、一般家庭等にある義務設置に係らない消火器にあつても、適切な維持管理に務め、特に腐食が発生しているものは製造業者、販売業者等に相談することを指導するなどその安全な使用について、広報等を通じて周知徹底すること。(消火器による人身事故の防止について 昭和60年5月31日 消防予第72号)
対象は義務設置の消火器に限らず、家庭にある消火器も含まれます。
消防法令上、設置が義務付けられている義務設置の消火器については、点検等維持管理の徹底が求められます。
一方で、一般家庭等に任意で置かれた義務設置に係らない消火器についても、適切な維持管理に努めるよう求められている点が見落とされがちです。
特に腐食が発生している場合は、製造業者や販売業者等に相談することが望ましいとされています。
次の章では、実際にどこを点検すればよいのかを具体的に確認します。

家にある消火器は義務じゃないから、点検しなくてもいいと思っていました。

そう思われがちですが、通知は義務設置以外の消火器にも維持管理を求めています。
次の章で具体的な点検ポイントを見てみましょう。

点検でどこを確認すればよいのか

虫眼鏡で消火器を点検する手と点検担当者
通知は、専門業者等への整備依頼が必要な状態を具体的に示しています。
4つの確認ポイントを見ていきましょう。
消火器は、時々外観を点検し、次に掲げるような状態となっているものについては、消火器に係る消防設備士又は専門業者(以下「専門業者等」という。)に整備等を依頼する。(1) 各部にさび、塗装のはく離、変形、損傷等があるもの。(略)(2) 安全装置又は安全栓が変形、損傷等しているか又は安全栓のないもの。(3) 使用済みである旨の表示が現れているもの。(4) ゲージ付きの消火器にあつては、ゲージの指針が緑色部(使用圧力範囲)を示していないもの。(消火器の点検等の推進について 昭和61年2月27日 消防予第14号)
点検で見るのは、外観・安全栓・表示・圧力計の4点です。
まず本体各部のさびや変形、塗装のはく離がないかを確認します。
次に安全栓が変形・損傷していないか、そもそも安全栓が付いているかを見ます。
使用済みである旨の表示が出ていないか、圧力計付きのものはゲージの指針が緑色部にあるかも確認します。
これらのいずれかに当たる場合は、消防設備士又は専門業者に整備等を依頼しましょう。

圧力計の緑色の部分って、正直あまり気にして見たことがなかったです。

そこは見落とされやすいポイントです。
次の章では、さらに見落としやすい落とし穴を確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

クモの巣が張った消火器とカレンダーの禁止マーク
見た目に異常がなくても、時間の経過だけで危険になる消火器があります。
通知が示す2つの落とし穴を確認しましょう。
なお、昭和54年以前に製造された亜鉛ダイカスト(亜鉛にアルミニウム、銅等を加えた鋳物用合金)製キャップを使用した消火器にあつては、粒間腐食(合金中の不純物が多い場合に結晶内部に発生する腐食現象)により、キャップの強度低下を生じている場合があるので、キャップの光沢のないもの、表面にさび等の発生しているものについては、特に留意すること。(消火器の点検等の推進について 昭和61年2月27日 消防予第14号)
購入又は設置してから、5年以上経過している消火器で、その間に一度も専門業者等の点検、整備等を受けたことのないものにあつては、専門業者等の点検、整備等を受けることが望ましいこと。(消火器の点検等の推進について 昭和61年2月27日 消防予第14号)
製造年と点検歴という、見た目に出にくい情報こそ見落とされやすいポイントです。
昭和54年以前製造の亜鉛ダイカスト製キャップを使う消火器は、キャップ内部の粒間腐食によって強度が落ちている場合があります。
キャップの光沢がない、表面にさびが出ているものは特に注意が必要です。
さらに購入・設置から5年以上専門業者等の点検を受けていない消火器は、一度も異常が見つかっていなくても点検を受けることが望ましいとされています。
製造年だけで判断がつかない場合は、専門業者等に確認してもらいましょう。

うちの消火器がいつ買ったものか、正直あやふやです……

その場合も、専門業者等に見てもらえば安心です。
次の章で、明日からの具体的な手順をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

スマートフォンを持つ人と工具箱を持った点検業者
最後に、点検で異常が見つかったときと、廃棄するときの対応を整理します。
通知が示す手順を確認しましょう。
消火器を廃棄する場合には、みだりに放置等をせず、当該消火器を購入した業者等の専門業者に依頼すること。(消火器の点検等の推進について 昭和61年2月27日 消防予第14号)
異常が見つかったら、自分で対処せず専門業者等に依頼しましょう。
外観のさび・変形、安全栓、使用済み表示、圧力計の指針のいずれかに異常があれば、消防設備士又は専門業者等に整備等を依頼してください。
使わなくなった消火器を廃棄する場合も、みだりに放置せず、購入した業者等の専門業者に依頼することが定められています。
消火訓練で消火器を使う場合も、外観を点検し異常や老朽化があるものは使用しないようにしましょう。
薬剤の種類ごとの具体的な廃棄方法は、あわせて読みたいの記事も参考にしてください。

点検も廃棄も、結局は専門業者等に相談するのが一番なんですね。

はい。
まずは専門業者等に相談してみましょう。次はよくある質問を確認していきましょう。

よくある質問

Q家庭用の消火器でも点検を受ける必要がありますか?
A義務設置ではない家庭用の消火器に法令上の点検義務はありませんが、通知は家庭の消火器にも適切な維持管理を求めています。腐食などが見られる場合は製造業者や販売業者等に相談してください。
Q何を見れば危険な消火器だと分かりますか?
A本体のさびや変形、安全栓の有無、使用済み表示、圧力計の指針が緑色部にあるかの4点を確認します。いずれかに当たる場合は専門業者等に整備等を依頼してください。
Q購入してから何年で点検が必要になりますか?
A通知は購入又は設置から5年以上点検を受けていない消火器について、専門業者等の点検を受けることが望ましいとしています。
Q使わなくなった消火器はどう処分すればよいですか?
Aみだりに放置せず、購入した業者等の専門業者に依頼して廃棄してください。薬剤別の具体的な処理方法は、あわせて読みたいの記事も参考にしてください。

まとめ

昭和60年、腐食や廃棄された消火器の操作で北海道と新潟県で人身事故が発生し通知が出されました
義務設置の消火器に限らず、家庭にある消火器も維持管理の対象になります。
点検では外観のさび・変形、安全栓、使用済み表示、圧力計の指針の4項目を確認します
昭和54年以前製造の亜鉛ダイカスト製キャップは粒間腐食で強度が落ちている場合があります。
購入・設置から5年以上点検を受けていない消火器は専門業者等の点検が望ましいとされています。
消火訓練で使う消火器も、異常や老朽化があれば使用しないことが求められています。
廃棄する場合はみだりに放置せず、購入した業者等の専門業者に依頼しましょう。

見るべきポイントが分かって、消火器を見る目が変わりました。

はい。㈱防災屋でもご相談を承っています。気になる消火器があれば、点検や整備の相談からお気軽にお声がけください。

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参考・出典

  • 消火器による人身事故の防止について(通知)(昭和60年5月31日 消防予第72号)
  • 消火器の点検等の推進について(通知)(昭和61年2月27日 消防予第14号)
  • 消火器の廃棄処理の指導について(昭和54年1月24日 消防予第17号)
  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告の制度)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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