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使わなくなった消火器はどう処分すればよいか|死亡事故を踏まえた薬剤別の廃棄方法を解説

屋外に放置され腐食した消火器が並ぶ、使わなくなった消火器の廃棄をテーマにしたアイキャッチ画像

古くなった消火器を、そのまま倉庫の隅や敷地の外に置いていませんか。
消火器の中には高圧のガス容器や劇物の薬剤が入っており、腐食した状態で放置すると重大な事故につながります。
実際に消火器の廃棄処理をめぐって死亡事故が発生し、消防庁が全国に注意を呼びかけたことがあります。
この記事では、消火器を安全に処分するために知っておきたい薬剤別の処理方法と実務上の注意点を解説します。

うちの倉庫に古い消火器が何本か置いてあるんですが、これってそのまま捨てても大丈夫なんでしょうか。

自己判断での廃棄は危険です。消火器の中には高圧ガスや劇物の薬剤が入っているので、正しい手順を踏む必要がありますよ。

薬剤や高圧ガスが入っているとなると、素人判断で下手に触るのも怖いですね。

そのとおりです。通知が示す手順を知っておけば、どこまで自分でできて、どこから専門業者に任せるべきかが判断できますよ。

この記事の結論
  • 消火器の廃棄で死亡事故が起きたのは加圧用ガス容器が抜かれないまま屋外に放置されていたことが原因です。
  • 型式承認が失効した消火器や点検で異常と判定された消火器は廃棄処理の対象になります。
  • 二酸化炭素消火器やハロン系消火器の本体容器、加圧用ガス容器は消火器メーカーか高圧ガス容器の専門業者に処理を依頼します。
  • 消火薬剤は種類ごとに処理方法が異なり、酸アルカリ・強化液・泡は中和や希釈、四塩化炭素やハロンは少量ずつ揮発させます。
  • 処理するまでの間は屋外に放置せず、外部から侵入できない施設に保管することが求められます。

使わなくなった消火器の廃棄について、事故の背景・保管・本体容器・消火薬剤の処理をまとめた図解

消火器の廃棄で死亡事故はなぜ起きたのか

加圧用ガス容器が抜かれないまま屋外に放置された消火器
消火器の廃棄をめぐっては、過去に痛ましい事故が起きています。
消防庁が全国の消防機関に注意を呼びかけた通知の内容を見てみましょう。
さる3月25日富山県において廃棄消火器による人身事故が発生し、死者を出す惨事となった。これは、廃棄された消火器の腐食が激しく加圧用ガス容器がとりのぞかれていないまま屋外に放置されたことによるものと考えられる。(消火器の廃棄処理の指導について 昭和54年1月24日 消防予第17号 消防庁予防救急課長)
加圧用ガス容器を抜かないまま放置したことが、事故の直接の原因でした。
消火器は正常な状態であれば安全な消火器具ですが、腐食が進んだ本体には高圧のガス劇物の薬剤が残ったままになっています。
点検や交換で不要になった消火器を「とりあえず外に置いておく」という扱いが、いちばん危険です。
消防庁はこの事故を受けて、消火器の販売・点検・整備を行う業者への指導徹底を都道府県に求めました。
まずは「壊れた消火器はただのごみではない」という前提を持つことが出発点になります。

うちも古い消火器を裏に置きっぱなしにしてました……すぐ何とかしないと。

はい、まずは中の加圧用ガス容器が抜かれているかどうかを確認するところから始めましょう。

廃棄処理が必要な消火器とはどんなものか

施錠された保管庫にまとめて保管された古い消火器
どんな消火器が処理の対象になるのかも、通知の中で示されています。
一時的に保管する場合の注意点もあわせて確認しましょう。
型式承認が失効し「消防用機械器具等及び消防設備等の技術上の基準に関する特例を定める省令」に定める期間が過ぎたもの又は点検の結果、腐食、損傷その他異常が認められ廃棄すべき消火器と判定されたもの等廃棄処理の必要がある消火器で、廃棄処理するまでの間一時保管する場合は、(略)高圧ガス取締法の適用を受ける加圧用ガス容器等及び本体容器又は蓄圧式の圧力容器等があり、また薬剤も硫酸、四塩化炭素の劇物が使用されているものもあるので、屋外等へ放置することなく外部の者が侵入できない施設に保管すること。(同通知より抜粋)
廃棄が必要かどうかは、型式承認切れか点検での異常判定で決まります。
消防用の機械器具等は技術基準が更新されると、古い型式の承認が失効する仕組みになっています。
点検で腐食や損傷が見つかった場合も、その時点で廃棄の対象です。
処理が終わるまでの間は、屋外や無施錠の場所に置かないのが原則です。
容器の中の薬剤には硫酸や四塩化炭素のような劇物が含まれていることもあり、誰でも触れる場所に置くこと自体がリスクになります。

廃棄が決まった消火器って、片づくまでどこに置いておけばいいんですか。

鍵のかかる倉庫など、部外者が入れない場所で保管してください。屋外に出しっぱなしにしないことが最低限のルールです。

消火器の本体容器はどう処理すればよいのか

ワークベンチで消火器から加圧用ガス容器を取り外す技術者
消火器の本体には、いくつかの種類の高圧ガス容器が組み込まれています。
容器の種類によって、処理の仕方が変わってきます。
高圧ガス取締法の適用を受ける二酸化炭素消火器(容器頭部が緑色に塗色されたもの)、ハロン1301消火器(容器頭部がねずみ色に塗色されたもの)の本体容器及び粉末消火器、強化液消火器の加圧用ガス容器(略)は消火器メーカー又は高圧ガス容器専門業者に処理を依頼すること。(略)加圧用ガス容器も常温で相応の圧力が加わっているので本体容器から分離し、処理を依頼するか又は排圧治具により排圧処理をすること。蓄圧式消火器は圧力が加わっているので消火器容器本体を倒立しバルブを開くなどして排圧処理をすること。(同通知より抜粋)
本体の高圧ガス容器は、絶対に自分で解体しないことが鉄則です。
二酸化炭素消火器やハロン系消火器の本体、粉末・強化液消火器の加圧用ガス容器は、消火器メーカーか高圧ガス容器の専門業者に処理を依頼します。
小さな容器でも常温でかなりの圧力がかかっている状態にあるため、素人判断で分解すると破裂のおそれがあります。
なお、当時の通知が根拠にした高圧ガス取締法は、現在は高圧ガス保安法という名称に変わっています。
どの容器がどの区分に当たるかで判断に迷ったら、まず消火器メーカーか販売店に問い合わせるのが確実です。

うちにある消火器の頭が緑色なんですが、これも自分で分解しちゃダメですか。

緑色は二酸化炭素消火器の目印のひとつです。中に高圧のガスが入っているので、必ず専門業者に処理を依頼してくださいね。

消火薬剤の処理で見落としやすいのはどこか

種類の異なる消火薬剤を別々の容器で希釈処理する様子
本体の容器を外したあとの消火薬剤にも、種類ごとに決まった処理方法があります。
まとめて流したり混ぜたりすると、思わぬ危険や環境汚染につながります。
酸アルカリ消火薬剤は(略)内筒液(硫酸)を取出し、まず水で数倍にうすめてから外筒液に内筒液を徐々に加え中和した後、水で稀釈しながら放流処理をすること。強化液消火薬剤は水素イオン濃度指数が高いので多量の水で稀釈し、水を流しながら放流処理をすること。泡消火薬剤は外筒液と内筒液を分離して処理し、放流する場合は外筒液と混合しないように放流処理をすること。粉末消火薬剤は飛散しないように袋に入れてからブリキ缶に入れ蓋をして処理をすること。四塩化炭素は劇物であり取扱いには十分注意し、保健衛生上危害を生じるおそれのない場所で少量ずつ放出し揮発させる。(同通知より抜粋)
薬剤は原液のまま流さず、必ず中和・希釈してから処理します。
外筒液と内筒液を混ぜる順番を間違えると、急激な反応や飛散を起こす危険があります。
排水する場合は各市町村の下水道条例で排水の制限が定められているため、事前に確認が必要です。
四塩化炭素やハロン系の薬剤は劇物にあたるものもあり、屋内や人が近づく場所での放出は避けます。
薬剤の種類が分からない場合は、無理に自己処理せず消火器メーカーに問い合わせるのが安全です。

薬剤が何なのか、見た目だけだと分からないんですが……

ラベルや購入時の資料で確認できます。分からないまま流すのはやめて、メーカーか専門業者に相談してください。

明日からなにを確認すればよいのか

古い消火器を専門業者に引き渡す建物管理者
最後に、実際に消火器を処分するときの流れを確認しておきましょう。
自己処理にこだわらず、専門業者に任せる部分を明確にすることが大切です。
消火器の廃棄処理は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、高圧ガス取締法、「毒物及び劇物取締法」、「下水道法」等の法令を遵守するとともに(略)方法又はこれに準じた方法により処理すること。(同通知より抜粋)
迷ったときは、購入した販売店か消火器メーカーに引き取りを相談するのがいちばん確実です。
法令上も、廃棄物処理法・高圧ガス保安法(当時は高圧ガス取締法)・毒物及び劇物取締法・下水道法など複数の法令にまたがる処理になります。
まずは廃棄が必要な消火器を屋外に出しっぱなしにしないことを徹底しましょう。
古い消火器の交換時期そのものの見分け方は、あわせて読みたいで紹介する記事も参考になります。
処分が終わるまでの保管方法と、依頼先の業者選びを今日のうちに確認しておきましょう。

つまり、自分でバラさずに専門業者へ任せるのが基本ってことですね。

そのとおりです。㈱防災屋でも消火器の点検や交換のご相談を承っていますので、お気軽にお声がけください。

よくある質問

Q古い消火器はそのまま燃えるごみに出してよいですか?
A出せません。消火器には高圧のガス容器や薬剤が入っており、一般ごみとしての収集はできません。消火器メーカーか販売店、または専門の回収業者に依頼してください。
Q消火薬剤を自分で下水に流してもよいですか?
A種類によって中和や希釈が必要で、市町村の下水道条例による制限もあります。自己判断で流さず、処理方法が分からない場合は専門業者に相談してください。
Q蓄圧式の消火器も専門業者に頼まないといけませんか?
A蓄圧式はバルブを開いて排圧すれば自分でも処理できる場合がありますが、二酸化炭素消火器やハロン系消火器の本体は必ず専門業者に依頼します。
Q高圧ガス取締法という法律は今もありますか?
A現在は高圧ガス保安法という名称に変わっています。消火器の処理を依頼する際も、この法律の対象になる容器かどうかを業者に確認しましょう。

まとめ

消火器の廃棄処理をめぐっては、加圧用ガス容器を抜かないまま屋外に放置したことが原因の死亡事故が起きています。
型式承認が失効した消火器や、点検で異常と判定された消火器は廃棄処理の対象になります。
処理が終わるまでの間は、屋外に放置せず外部から侵入できない施設に保管します。
二酸化炭素消火器・ハロン系消火器の本体や加圧用ガス容器は消火器メーカーか専門業者に処理を依頼します。
消火薬剤は種類ごとに中和・希釈・少量ずつの揮発など決まった処理方法があります。
排水する場合は市町村の下水道条例による制限に注意します。
通知が根拠にした高圧ガス取締法は、現在は高圧ガス保安法という名称に変わっています

廃棄する消火器がどんな種類でも、まず専門業者に相談すればいいと分かって安心しました。

はい。㈱防災屋でもご相談を承っています。点検や交換とあわせて、廃棄のご相談もお気軽にどうぞ。

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参考・出典

  • 消火器の廃棄処理の指導について(昭和54年1月24日 消防予第17号 消防庁予防救急課長)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
  • 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号。通知当時の名称は高圧ガス取締法)
  • 毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)
  • 下水道法(昭和33年法律第79号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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