消防用設備等の点検には、有資格者でなくても行える範囲があります。
では、その範囲を有資格者だけに限定するよう、条例で義務付けることはできるのでしょうか。
点検資格者にできることとできないことの線引きも、意外とはっきりしています。
質疑応答が示したのは指導で促せることと制度で縛れることは別だという考え方です。
点検は有資格者じゃなくてもいい場合があるんですか。
あります。
でも条例化はできません。
指導と条例化で結論が違うんですか。
それも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
- 有資格者でなくても足りる点検でも有資格者に行わせるよう指導してよいとされます
- その指導内容を条例で義務付けることは適当ではありません
- 点検資格者による消火薬剤の詰め替えは乙種第6類消防設備士でなければ行えません
- 点検結果の報告は点検終了時期からおおむね15日以内が目安です
- 自主的に設置した消防用設備等には法定の点検義務はありません
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目次
有資格者でなくても足りる点検を有資格者に行わせるべきか

それでも、実際には有資格者に任せたほうがよい、という指導は認められるのでしょうか。
制度上は有資格者でなくても足りる点検であっても、点検内容の専門性を踏まえて、有資格者に行わせるよう指導すること自体は認められています。効果を期待する以上、専門知識のある人に任せたほうがよいという考え方です。
ただし、この指導が「望ましい」という位置づけにとどまる点には注意してください。次の問いで見るように、強制力を持たせる話になると扱いが変わります。
点検を外部委託する際は、法令上の要件を満たす業者であっても、専門性の高さを一つの判断材料にしてください。
あくまで指導にとどまるんですね。
専門性の高さを判断材料にしてください。
有資格者限定の点検を条例で義務付けてよいか

実際に、そこまで踏み込むことは認められているのでしょうか。
前の問いでは「指導すべきではないか」に対して「お見込みのとおり」と答えていますが、それを条例で義務付ける形にすると「適当でない」という真逆の結論になります。同じ有資格者への誘導でも、指導という緩やかな働きかけと、条例という強制力を伴う規定とでは、扱いが分かれるということです。
好ましい方向へ促すことと、法的に義務付けることの間には、はっきりした一線があります。
点検の実施体制を見直すなら、「指導でどこまで促せるか」と「条例で何を義務化できるか」を分けて検討してください。
同じ話なのに結論が真逆で驚きました。
指導と条例化を
分けて検討してください。
点検資格者は消火薬剤の詰め替えを行ってよいか

これは点検資格者自身が行ってもよい作業なのでしょうか、それとも別の資格が必要なのでしょうか。
消火薬剤の詰め替えや本体容器・部品の補修、機能調整といった作業は「整備」に区分され、点検資格者ではなく第6類の乙種消防設備士の資格を持つ人でなければ行えません。点検の結果、こうした措置が必要になったからといって、その場で点検資格者が対応することはできないということです。
点検と整備は別の資格が必要な、別の作業だと考えてください。
点検で消火器の不備が見つかったなら、その場で処置を求めるのではなく、乙種第6類の資格者による整備を別途手配してください。
点検と整備で資格が別なんですね。
整備は別途手配してください。
点検結果の報告はいつまでに行うべきか

明確な期限がなければ、報告が後回しになってしまうおそれもあります。
1年ごと・3年ごとという報告サイクルの中で、実施した作動点検・外観点検・機能点検・総合点検のうち、最後に終わった点検の時期を起点として、おおむね15日以内に報告するという目安が示されています。
点検が長期間にわたる場合は、どの点検が最後に終わったのかを正確に把握しておく必要があります。
点検の報告スケジュールを組むなら、最終点検の完了日を基準に15日以内という目安で逆算してください。
起点は最後に終わった点検なんですね。
完了日を基準に
15日以内で逆算してください。
自主的に設置した消防用設備等にも点検義務はあるか

そうした自主設置の設備にも、法律で定められた点検義務が及ぶのでしょうか。
点検義務の対象は、あくまで法令上の基準に基づいて設置される消防用設備等です。基準を超えて自主的に設置した設備については、法第17条の3の3が定める点検義務の対象外とされています。
義務がないからといって点検を怠ってよいわけではありませんが、法律上の報告義務までは生じない、という整理です。
基準を上回る設備を自主的に設置しているなら、法定点検の対象範囲を確認したうえで、自主設備の維持管理は別途自主的に計画してください。
自主設置は対象外になるとは知りませんでした。
維持管理は
別途自主的に計画してください。
よくある質問
まとめ
指導と条例で結論が変わるのが一番印象に残りました。
点検業者にも確認してみます。
指導・義務化・資格。
この境目を分けて考えてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の検査、点検等について〔有資格者以外で足りるとする点検であっても有資格者に点検させるべきか〕(昭和50年6月16日 消防安第65号 安全教急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 同前〔消防設備士及び点検資格者以外の点検で足りる防火対象物の点検を条例化してよいか〕(昭和52年1月27日 消防予第12号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 同前〔消防設備点検資格者の整備範囲について〕(同日 同号)
- 消防用設備等の点検及び報告(昭和51年3月23日 消防安第46号 安全教急課長から鹿児島県総務部長あて回答)
- 点検の義務について(昭和54年6月22日 消防予第118号〔36〕 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法第17条の3の3、第17条の3の2、消防法施行令第36条の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





