防災要員のうち、指揮者と機関員以外は日常業務との兼任が認められています。
では、その人はふだんどこまで離れていてよいのか。
防災資機材等の常置場所から1キロメートル位の範囲を予定している、という照会に回答が出ました。
答えは警防戦術上からも1キロメートル程度が限度です。
兼任の場合の直ちにとは、どのくらいの時間を指すのでしょうか。
時間で一律に定めることは困難とされました。
代わりに、日常の業務を特別な作業を経ることなく中止することが可能な業種に限るという条件が示されています。
基準を超えて自主的に置いた車両にも、防災要員を付けなければならないのでしょうか。
政令第7条に定める人数を置くべき法的義務はないとされています。
ただし3点セットに必要な防災要員を分割して運用しないよう指導する必要があるとされました。
- 兼任の防災要員が所在する場所は、防災資機材等の常置場所から1キロメートル程度が限度と考えられます
- 「直ちに」を時間で一律に定めることは困難ですが、日常の業務を特別な作業を経ることなく中止できる業種に限られます
- 法に定める基準以外に備え付けた防災資機材等について、政令第7条の人数を置くべき法的義務はありません
- ただし3点セットに必要な防災要員を分割して運用することのないよう指導する必要があります
- 乙種普通化学車の台数は、配管総延長のうち海域部分を除いて算定できます
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目次
兼任の防災要員はどこまで離れてよいか

指揮者と機関員以外の防災要員で、その一部が兼務である場合。
防災上直ちに行動が取れる範囲として、防災資機材等の常置場所から1キロメートル位の範囲を予定しているが認められるか、という照会です。
認められましたが、書き方に注意してください。1キロメートルまでよい、ではなく1キロメートル程度が限度です。
根拠として警防戦術上という語が使われています。消火活動を組み立てる側から見て、そこまでなら間に合うという判断です。
前の記事で見た防災要員の要件と重なります。おおむね10分以内に災害現場に到着できる体勢にあること。徒歩や構内車両で1キロメートルなら、その時間に収まります。
構内が広い事業所では、常置場所から1キロメートルを超える建物が出てきます。そこに勤務する人を兼任の防災要員に数えることはできません。図面に円を描いて確かめておく必要があります。
1キロメートルが限度とされているのですね。
範囲が示されました。
要員の持ち場を、地図で確かめてください。
直ちにとはどの程度か

運用通達により指揮者と機関員以外は日常業務との兼任も認められていますが、この直ちにとはどの程度の時間経過をいうのか。
時間では答えられないとしたうえで、別の基準が示されました。
条件は2つです。1つは、設備等の緊急措置に掛る要員等以外の者であること。前の記事で見た防災要員の要件にも同じ項目がありました。プラントを止める役の人は数えられません。
もう1つが実質的です。日常の業務を特別な作業を経ることなく中止できる業種であること。
たとえば反応を進めている最中の工程や、高温の炉を扱う作業は、手を離すまでに段取りが要ります。呼ばれてすぐ走れる仕事ではありません。
つまり距離だけでなく、その人が今している仕事の性質まで見て判断します。名簿を作るときは、所属だけでなく担当業務まで確かめる必要があります。
すぐ手を止められる業種に限られるのですね。
時間では定められません。
兼任の対象を、業務ごとに整理してください。
基準を超える資機材にも要員が要るか

この場合、防災要員は必要か。必要なら何人か。指揮者は必要か。
なお、当該車両について、法に基づき備え付けられている3点セツトに必要な防災要員を分割して運用することのないよう指導する必要がある。
自主的に増やした車両については、政令の人数を置く義務はありません。
ただし、なお書きが実務の核心です。3点セットに必要な要員を分割して運用しないこと。
つまり、法定の8名や9名の中から人を割いて自主的な車両に乗せてはいけません。それでは3点セットが動かなくなります。
善意で車を増やしたつもりが、結果として法定の体制を薄くしてしまう。これがいちばん避けたい形です。
前の記事で見た3点セットの分散配置と同じ考え方です。まず法定の組み合わせを揃えたうえで、上乗せは別に確保します。
自主的に増やした分に、義務はないのですね。
ただし分割は困ります。
要員の割り振りを、見直しておきましょう。
乙種普通化学車の台数はどう算定するか

内訳は陸上13キロメートル、海域3キロメートルです。
乙種普通化学車の台数は、海域部分を除いて算定し1台を備え付ければよいか。
認められました。海域部分を除いて算定します。
理由は車両の性質から明らかです。乙種普通化学車は道路を走ります。海の上の配管には近づけません。
数だけを合わせて車を増やしても、海域で起きた災害には使えない。だから算定の対象から外します。
前の記事で見たオイルフエンスや油回収船が、海域を受け持つ資機材でした。陸は車で海は船で受け持ちます。
配管が陸と海にまたがる事業所では、総延長をそのまま当てはめると過大な設備になります。内訳で分けて数えます。
算定から外れる部分もあるのですね。
車両の性質が理由です。
備え付けの計算を、根拠と一緒に残してください。
第2種事業所ぶんの展張能力は要るか

共同防災組織に備え付けるオイルフエンス展張船は、第2種事業所にかけつけて備え付けるべき長さのオイルフエンスを1時間以内に展張する能力を有しなくてもよいか。
理由が一言で示されています。法令上、第2種事業所はオイルフエンスの備え付けを必要としない。
備え付ける義務がない以上、その分を展張する能力も求められません。義務のない設備のために能力を積み増す必要はない、という整理です。
前の項目と筋が同じです。海域の配管に車は要らない、義務のない事業所の分に展張能力は要らない。算定は義務のある範囲に対して行います。
この記事の5つの回答を並べると、共通する形が見えます。距離も時間も台数も、すべて実際に届く範囲で数えます。数字を大きくすることが目的ではありません。
義務のない分は、数えないのですね。
法令上の義務で決まります。
共同で備える場合は、対象の範囲を確かめてください。
よくある質問
まとめ
- 兼任の防災要員は常置場所から1キロメートル程度が限度です
- 「直ちに」は時間で一律に定められません
- 兼任できるのは日常業務を特別な作業を経ることなく中止できる業種です
- 設備等の緊急措置に掛る要員等は兼任の対象になりません
- 基準以外の資機材に政令第7条の人数を置く法的義務はありません
- ただし3点セットの防災要員を分割して運用しないことが求められます
- 乙種普通化学車の台数は海域部分を除いて算定できます
距離だけでなく、いましている仕事の性質まで見るのですね。
すっきりしました。
名簿は所属だけでなく担当業務まで書いておくと判断が早くなります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等災害防止法の運用に係る資料の送付について(昭和60年10月8日 消防地第210号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 石油コンビナート等災害防止法施行令第7条・第7条第4項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和60年のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




