病院を運営する一部事務組合の職員を、市町村防災会議の委員にしたい。
同じ地域で働き、災害時には確実に力になる立場です。
ところが回答は、条例準則どおりなら任命できないとしました。
理由は当該市町村の職員とはいえないからです。
一部事務組合の職員を、構成する市町村の防災会議の委員にできるでしょうか。
条例準則どおりなら任命できないとされました。
ただしその一部事務組合が指定公共機関として指定されていれば、別の号で任命することは可能です。
指定地方行政機関でない国の機関からは、委員を出せないのでしょうか。
指定地方行政機関でなくても、当該市町村の災害対策に密接な関係を有する機関から委員を任命することを排除する趣旨ではないとされています。
- 一部事務組合の職員は当該市町村の職員とはいえないため、条例準則どおりなら防災会議の委員に任命できません
- ただし当該一部事務組合が指定公共機関として指定されていれば、準則第3条第5項第7号により委員として任命することは可能です
- 一部事務組合の職員は当該市町村の職員でないため、災害対策本部の本部員には任命できません
- 指定地方行政機関でなくても、当該市町村の災害対策に密接な関係を有する機関から委員を任命することは排除されていません
- 市町村防災会議を共同設置した場合、地方自治法第252条の7から第252条の12までの規定の適用があります
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目次
一部事務組合の職員を委員にできるか

一部事務組合は、複数の市町村が特定の事務を共同で処理するために設ける団体です。病院の運営はその典型のひとつです。
その職員を、組合を構成する市町村の防災会議の委員にできるか。あわせて災害対策本部の本部員についても問われました。
1 市町村の条例の内容によるが、市町村防災会議条例準則どおりなら任命できない。
2 一部事務組合の職員は、当該市町村の職員とはいえないから準則第3条第5項第4号には該当しない。
3 当該一部事務組合が指定公共機関として指定されていれば、準則第3条第5項第7号により、委員として任命することは可能である。
後段について
一部事務組合の職員は当該市町村の職員でないので本部員には任命できない。
答えは3段に分かれています。まず結論として、条例準則どおりなら任命できません。
理由は当該市町村の職員とはいえないことです。市町村の職員という枠で入る第4号には該当しません。
ただし3で別の道が示されています。その一部事務組合が指定公共機関として指定されていれば、第7号の枠で任命できます。同じ人でも、どの資格で入るかによって結論が変わるということです。
一方、後段の災害対策本部の本部員には任命できないとされました。防災会議には外部の枠があるのに対し、本部は市町村の職員で組む組織だからです。
前の記事で見た消防署長の話と同じで、誰を入れるかより先に、どの枠で入れるかを決める必要があります。
条例の準則どおりでは、任命できない場合があるのですね。
別の号で入る道はあります。
該当する枠を、条例で確かめてください。
指定地方行政機関以外の国の機関はどうか

では、指定地方行政機関ではない国の機関の職員は入れられないのか。
第1号に書かれているのは、指定地方行政機関という枠です。ただしそれは、そこから任命できるという定めであって、他を締め出すものではないとされました。
基準として示されたのが、当該市町村の災害対策に密接な関係を有する機関であることです。
前の項目と読み比べると、線の引き方が見えてきます。一部事務組合の職員は市町村の職員という枠に当てはまらないから駄目でした。こちらは、条文にない機関でも災害対策との関係で入れられます。
枠の言葉に当てはまるかどうかではなく、その枠が何のためにあるかで判断が分かれています。
枠に書かれていなくても、排除する趣旨ではないのですね。
関係の深さで判断されます。
候補となる機関を、洗い出しておきましょう。
国立公園の管理事務所長が協議会に入れるか

火山の周辺では、複数の市町村が防災会議の協議会をつくることがあります。阿蘇火山防災会議協議会がその例です。
そこに国立公園の管理事務所長が入れるかが問われました。
(理由)国の地方行政機関で、当該市町村の防災行政に密接な関係を有するものは、法第15条第5項第1号に準ずる機関として同法第16条第5項の規定に基づく条例の定めるところにより、市町村防災会議の委員になることができるものと解される。
また、市町村防災会議の委員になつた国の地方行政機関は、法施行令第9条第5項および第7項の規定により、当該市町村が加わつている防災会議の協議会の委員になることができる。
協議会に直接入るのではありません。まず構成市町村のいずれかの防災会議の委員になり、そのうえで協議会の委員になるという2段構えです。
1段目の根拠が、前の項目と同じ考え方です。国の地方行政機関で当該市町村の防災行政に密接な関係を有するものは、法第15条第5項第1号に準ずる機関として条例の定めるところにより委員になれます。
2段目は法施行令第9条第5項および第7項によります。市町村防災会議の委員になった国の地方行政機関は、その市町村が加わっている協議会の委員になれます。
一以上の市町村という書き方も見どころです。すべての構成市町村で委員になる必要はありません。
協議会には、段を踏んで入るのですね。
直接ではありません。
手続きの順序を、確認しておいてください。
防災会議を共同設置した場合の扱い

共同設置となると、地方自治法の機関の共同設置に関する規定との関係が問題になります。
(参考)地方自治法
第252条の7 機関の共同設置
第252条の8 機関の共同設置に関する規約
第252条の9 共同設置する機関の選任方法及び身分取扱
第252条の10 共同設置する機関の解職請求
第252条の11 共同設置する機関の補助職員等
第252条の12 共同設置する機関に対する法令の適用
答えは一言ですが、参考として掲げられた条文の並びに意味があります。
規約を定めること、委員の選任方法と身分取扱を決めること、解職請求の扱い、補助職員の手当て。共同設置に伴って決めなければならないことが、そのまま並んでいます。
災害対策基本法だけを見て共同設置を決めると、これらの手当てが漏れます。共同設置は組織を1つにまとめる話なので、地方自治法の側の段取りも同時に進める必要があります。
共同で設置する場合は、別の法律もかかるのですね。
規約や身分の扱いが関わります。
規約の内容を、確かめておきましょう。
航空機事故のときの防災会議の立ち位置

運輸省、警察庁、防衛庁、海上保安庁で構成される救難調整本部があり、地方空港での事故では各航空保安事務所に対策が委任されることも考えられます。
そのとき県段階の防災会議はどう関わるのか。
……地方空港での事故発生時には各航空保安事務所に対策を委任されることも考えられるが、この場合県段階の防災会議との関係はどう考えるべきか。
役割分担の基準として示されたのは、一般住民に被害が発生しているか、または発生するおそれがあるかです。
その事情がない限りは、航空保安事務所が中心となって事故処理を行い、防災会議は側面から援助します。空港の中で完結する事案に、地域の防災体制が前面に出る必要はないという整理です。
裏を返せば、住民に被害が及ぶ、または及ぶおそれが出てきた時点で、防災会議の側が前に出ることになります。
望ましいという語で結ばれており、明確な線引きではありません。ただし切り替えの基準がどこにあるかは示されています。
役割の分担にも、基準があるのですね。
住民への被害が分かれ目です。
想定される事態ごとに、役割を整理してください。
よくある質問
まとめ
- 一部事務組合の職員は当該市町村の職員とはいえないため、条例準則どおりなら委員に任命できません
- ただし当該一部事務組合が指定公共機関として指定されていれば準則第3条第5項第7号により任命可能です
- 一部事務組合の職員は災害対策本部の本部員には任命できません
- 指定地方行政機関でなくても、当該市町村の災害対策に密接な関係を有する機関からの任命は排除されていません
- 国の地方行政機関は、構成する一以上の市町村の防災会議の委員であれば協議会の委員になれます
- 市町村防災会議を共同設置した場合、地方自治法第252条の7から第252条の12までの規定の適用があります
- 航空機事故では、一般住民に被害またはそのおそれがない限り航空保安事務所を中心とし防災会議は側面から援助する体制が望ましいとされました
同じ人でも、どの枠で入るかで結論が変わるのですね。
すっきりしました。
条例の号立てまで含めて整理しておくと、あとの改選で迷いません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 市町村防災会議委員として病院に係る一部事務組合職員を任命できるか(昭和44年5月 大阪府あて回答)
- 市町村防災会議の委員について
- 国の地方行政機関で、当該市町村の防災行政に密接な関係を有するものについて(昭和44年9月9日 消防防第358号 厚生省あて回答)
- 市町村防災会議の共同設置について
- 航空機事故の場合の救難調整本部と防災会議の関係について(鹿児島県あて回答)
- 災害対策基本法第15条第5項・第16条第2項・第16条第5項
- 災害対策基本法施行令第9条第5項・第7項
- 地方自治法第252条の7から第252条の12
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和40年代のものが含まれ、機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄の自治体にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




