新築の工事中のビルや商業施設、実は完成前から防火管理の義務が生まれることがあります。
とくに大規模な工事現場では、発注の方式によって管理権原者が変わり、防火管理者を誰に任せるかも変わってきます。
共同住宅などで管理的地位にある人がいない場合、防火管理者の業務を外部の専門会社に委託できる制度もあります。
この記事では平成16年消防安第43号をもとに、対象になる工事の規模と外部委託の要件を解説します。
うちは今新築工事中なんですが、まだ建物が完成していないのに防火管理者が必要なんですか。
大規模な工事なら、完成前でも防火管理の義務が生まれます。
まずは工事の規模を確認しましょう。
うちはマンションの管理組合なんですが、管理人が常駐していないので防火管理者になれる人がいません。
そういう場合は、防火管理者の業務を外部委託できる制度があります。
条件を一緒に見ていきましょう。
- 対象になるのは大規模な新築工事中の建築物と建造中の旅客船に限られます
- 管理権原者は発注方式によって変わり、分離発注では権原が複数に分かれます
- 防火管理者になれるのは管理的または監督的な地位にあり甲種の資格を持つ人です
- 防火管理者の業務の外部委託は消防長または消防署長の認定がある場合に限られます
- 外部委託には権限の付与や文書の交付など3つの要件が必要とされました
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目次
新築工事中の建物になぜ防火管理の義務が生まれたのか

平成16年の政令改正で、初めてこの危険に義務付けの網がかけられました。
それまでは防火対象物としての防火管理は完成後の話で、工事中の現場は対象外でした。
背景にあるのは、電気工事や内装仕上げなど火気を使う工事が同時に進み、大勢の作業員が出入りする現場特有のリスクです。
同じ通知で、共同住宅などにおける防火管理者の業務の外部委託を認める制度も同時に整理されました。
まず自分の工事が対象になる規模かどうかを、次の章で確認してください。
工事中の建物にまで防火管理が必要になったのは、最近のことなんですか。
平成16年の政令改正からです。
大規模な工事現場だけが対象になります。
防火管理の対象になるのはどんな工事中の建物か

基準は、建物と旅客船それぞれに定められています。
対象になるのは、新築工事中の建築物のうち階数か面積が一定規模を超えるもの、または建造中の旅客船で甲板数が11以上のものに限られます。
収容人員は、工事期間中で工事従事者の数が最大となる日で数えます。完成後の想定利用者数ではありません。
仮使用認定を受けた部分がある場合は、その部分の用途に応じて別に収容人員を算定し、残りの部分は従業者の数で数えます。
自分の工事がこの規模基準に当たるかどうかは、階数と延べ面積を設計図面で確認すれば分かります。
うちの現場は15階建てで延べ面積も広いんですが、それだけで対象になりますか。
収容人員が50人以上かどうかも見ます。
設計図面の階数と延べ面積、工事従事者の人数を一度確認しましょう。
工事中の建物では誰が管理権原者と防火管理者になるのか

だから誰が管理権原者になるのかを、発注の方式ごとに考える必要があります。
一括発注やコストオン方式では、建築会社が現場全体の管理権原者になります。
分離発注方式では、建築・機械設備・電気設備の各社がそれぞれ管理権原者になり、権原が複数に分かれます。
防火管理者になれるのは、その管理権原者のもとで防火管理上必要な業務を適切に遂行できる管理的または監督的な地位にある人で、甲種防火管理講習の修了者などの資格を持つ人です。
権原が分かれる工事ほど、各社の防火管理者どうしの連携が実務の要になります。
うちは設計と施工を別の会社に分離発注しています。
防火管理者は誰になるんでしょうか。
各社がそれぞれ管理権原者になり、防火管理者を選任します。
会社間の連携を消防計画に書き込みましょう。
防火管理者の業務を外部委託できるのはどんなときか

消防長または消防署長の判断が入る仕組みになっています。
共同住宅など、管理的または監督的な地位にある人が誰も防火管理上必要な業務を遂行できないと消防長または消防署長が認めた場合に限り、外部委託が認められます。
委託先には、権限の付与、業務内容を明らかにした文書の交付と知識、建物の状況説明を受けて知識を持つことという3つの要件が必要です。
届出書には「管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが防火管理上必要な業務を適切に遂行することができない理由」を記載し、認められるかどうかは選任届出の前に管轄の消防本部へ確認するよう案内されています。
権限を付与する契約書の写しも、選任届出に添付する必要があります。
うちのマンションは管理人が非常駐なんですが、外部の防災会社に防火管理者をお願いできますか。
消防長等の認定を受ければ可能です。
権限を書面で渡す契約が必須になります。
工事が決まったら防火管理はどう進めればよいか

最初の一歩は、発注方式の確認になります。
発注方式を確認して管理権原者を特定し、規模基準に当たるかどうかを設計図面で確かめます。
対象になるなら、管理的または監督的な地位にある人を防火管理者に選任し、選任届出書を提出します。
選任できる人がいない場合は、外部委託が認められるかどうかを届出の前に管轄の消防本部へ確認してください。
最後に、消火器の点検や危険物の管理など工事中特有の事項を入れた消防計画を作成し、届け出れば準備は完了です。
順番としては、まず何から手を付ければいいですか。
発注方式の確認が最初です。
そこから管理権原者と防火管理者が決まります。
よくある質問
まとめ
発注方式を確認するところから始めればいいと分かりました。
すっきりしました。
管理権原者の特定と、外部委託が必要なときの消防長等への確認。
この2つを押さえれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 新築の工事中の建築物等に係る防火管理及び防火管理者の業務の外部委託等に係る運用について(平成16年3月26日 消防安第43号)
- 消防法施行令第1条の2第3項第2号・第3号(新築の工事中の建築物等の範囲)
- 消防法施行令第3条第1項第1号・第2項(防火管理者の資格・業務の外部委託等)
- 消防法施行規則第1条の2(工事中の防火対象物における防火管理)
- 消防法施行規則第2条の2(防火管理上必要な業務を適切に遂行することができない場合における防火管理者の資格)
- 消防法施行規則第3条第1項第2号(工事中の防火対象物に係る消防計画)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





