住宅用火災警報器の設置が義務化されたことに便乗して、消防職員や消防団を名乗る悪質な訪問販売や電話勧誘が全国で相次いでいます。
「今なら安くする」「無償で設置するが点検費用がかかる」といった言葉で、契約や工事を急がされる被害が後を絶ちません。
消防庁は平成17年と平成22年の2度にわたり、被害防止のための注意事項を都道府県に通知しました。
消防職員が住宅用火災警報器を売ることも点検することもない、という事実を知っておくだけで被害の多くを防げます。
先日、近所の方から「消防の依頼で住宅用火災警報器の点検に来た」という人がいたと相談を受けました。
そんな業務が本当にあるのでしょうか。
消防職員が住宅用火災警報器の販売や点検のために訪問することはありません。
まずはその点を疑ってください。
テナントの住民や従業員も同じ手口で狙われるかもしれないので、正しい知識を持っておきたいです。
消防庁が出した2つの通知をもとに、よくある手口と正しい対応を整理しますね。
- 住宅用火災警報器の設置義務は消防法第9条の2に基づく本物の制度です
- 消防職員や消防団が各戸を訪問して販売や点検をすることはない
- 本体価格は数千円程度が目安で取り付けも個人で行えます
- 訪問販売には原則8日間のクーリング・オフが使えます
- 怪しいと感じたら契約せず消費生活センター等に相談します
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目次
なぜ住宅用火災警報器の訪問販売に注意が必要なのか

消防庁は都道府県を通じて、繰り返し注意を呼びかけています。
新築住宅は平成18年から、既存住宅も市町村条例が定める日から設置が義務化され、その周知が進む過程で便乗詐欺が現れました。
消防庁への報告件数は132件に達し、被害は全国的に広がりました。
その後、住宅用火災警報器の設置義務化は平成23年6月に全国で全面施行を迎え、対象が広がるほど手口も進化しています。
まずは「制度自体は本当にある」という前提を踏まえたうえで、手口を見ていきましょう。
設置義務があるのは本当なんですね。だったら勧誘を信じてしまいそうです。
義務があることは事実です。
問題は誰がどうやってそれを伝えに来るかです。
悪質な業者はどんな手口で住宅用火災警報器を売りつけるのか

まずはどんな言い回しが使われているのかを知っておきましょう。
価格を吊り上げてから割引を装う事例、無断で設置して代金だけ受け取り姿を消す事例、電話で無償設置を持ちかける事例まで報告されています。
消防庁が示す手口の分類でも、法令・条例改正を口実にする型と、消防職員等になりすます型が代表例として挙げられています。
いずれも「今すぐ決めないと損をする」という空気を作る点が共通しています。
次の章で、消防が実際にどこまで関わっているのかを確認しましょう。
うちの分譲マンションでも「消防の依頼で回っている」と言われたことがあります。
消防職員が個別の住宅を回って住宅用火災警報器を売ることはありません。
その場では契約しないでください。
住宅用火災警報器の設置や点検に消防はどこまで関わっているのか

通知は消防機関の関わり方について、具体的な事実を示しています。
条文が定めるのは「設置し、維持しなければならない」という住民側の義務だけで、消防が機器を売る根拠は含まれていません。
本体価格は当時の目安で数千円程度とされ、取り付けも個人で行える作業とされています。
点検も同様に、業者に依頼しなければできない作業ではないとされています。
高額な提示や「業者でなければ点検できない」という説明を受けたら、まずこの前提を思い出してください。
じゃあ設置や交換は、誰から買っても構わないんですか。
ホームセンターなどで販売されている製品を選べば十分です。
不安なときは所轄消防署に確認しましょう。
悪質な勧誘のどこに落とし穴があるのか

特に見落としやすい点を確認しましょう。
設置そのものを無償にして関心を引き、その後の点検費用で回収する手口が報告されています。
実際には訪問しないケースも含め、電話だけで在宅状況や個人情報を確認する目的の勧誘も疑われます。
平成22年の通知では共同購入や取付け支援など地域ぐるみの取組みが被害防止に有効だとされましたが、これも実施主体が本当に自治会や自治体かを確かめる必要があります。
「無償」「今だけ」「共同で」という言葉が出たら、いったん電話を切って確認する習慣が有効です。
自治会の名前を出されると、余計に信用してしまいそうです。
自治会や消防が個別に電話で勧誘することはまずありません。
名乗られた組織に、別の連絡先から直接確認してください。
住宅用火災警報器の訪問販売には明日から何を確認すればよいのか

難しい知識は必要ありません。
消防職員や消防団を名乗られても、販売や点検のために訪問することはないと覚えておきましょう。
訪問販売で契約してしまっても、特定商取引に関する法律に基づき原則8日間のクーリング・オフで契約を解除できます。
怪しいと感じたら契約せず、お住まいの地域の消費生活センターや消費者ホットライン(188)に相談してください。
テナントや住民にもこの一言をあらかじめ周知しておくと、被害を大きく減らせます。
分かりました。まずは「消防は住宅用火災警報器を売らない」と周知しておきます。
怪しい電話や訪問があったら消費生活センターに確認します。
その一言を知っているだけで、多くの被害を防げます。
迷ったときはいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
住宅用火災警報器の設置は義務でも、売り方には気を付けないといけないんですね。
テナントにもしっかり伝えておきます。
「消防は売らない、その場で決めない」の一言と、クーリング・オフ制度。
この2つを押さえれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 住宅用火災警報器の悪質訪問販売に係る被害防止について(平成17年8月9日付け消防安第177号 消防庁防火安全室長)
- 住宅用火災警報器の悪質な訪問販売や詐欺等に係る被害防止について(平成22年4月6日付け消防予第175号 消防庁予防課長)
- 消防法第9条の2(住宅用防災機器の設置及び維持)
- 特定商取引に関する法律第9条(訪問販売における契約の申込みの撤回等)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





