セルフ式のガソリンスタンドでは、従業員ではなく利用者自身がノズルを操作して給油します。
かつては従業員が油種を確認しながら給油していましたが、セルフ化によってその確認を利用者自身が行うことになりました。
そこで生まれたのが、ガソリンと軽油を取り違えてしまう「誤給油」のリスクです。
消防庁はこのリスクに対応するため、給油設備そのものに誤給油を構造的に防ぐしくみを義務付けました。
うちのセルフ給油スタンドで、お客さんがガソリンと軽油を間違えて入れてしまったらどうなるんでしょうか。
実はその取り違えを防ぐための構造が、危険物の規制に関する規則ではっきり義務付けられているんです。
まず、なぜこの構造が必要になったのかから見ていきましょう。
セルフのスタンドはどこも同じ仕組みだと思っていました。
仕組みには複数の方式があり、対象になる設備の範囲も決まっています。
順番に整理していきましょう。
- きっかけは平成10年の「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」(セルフ給油)解禁で、従業員による油種確認が利用者自身の操作に置き換わったことです
- セルフの固定給油設備は危険物の規制に関する規則第28条の2の5第2号ヘにより、ガソリンと軽油相互の誤給油を有効に防止できる構造にすることが義務付けられています
- 代表的な方式はコンタミ防止装置(ノズルのセンサーで油種を判定)と油種別ポンプ起動(要請された油種のポンプだけ起動)の2つです
- 1台の給油設備でガソリンか軽油のどちらか一方しか扱えないものは、構造上この要件を満たしているとみなされます
- この義務の対象は顧客が自ら操作する固定給油設備だけで、従業員が給油する設備には課されていません
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目次
セルフ給油の誤給油対策はなぜ必要になったのか

油種を取り違えないようにするのも、基本的には従業員の目と判断に委ねられていました。
平成10年の政令・規則改正により、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフ給油)が制度として認められました。
これまで従業員が担っていた油種の確認や給油操作を、利用者自身が行うようになったのです。
利用者は給油設備の専門家ではないため、ガソリンと軽油を取り違える誤給油のリスクが新たに生まれました。
そこで消防庁は、セルフ用の給油設備そのものに誤給油を防ぐ構造を義務付けることにしました。
セルフだと従業員のチェックが入らないから、お客さんが間違えることもありそうですね。
そのリスクに対応するため、設備自体に構造上のしくみが義務付けられています。
次はどの設備が対象になるかを見ていきましょう。
どの給油設備にこの防止構造が求められるのか

対象になる設備の範囲がはっきり決まっています。
条文が定める顧客用固定給油設備とは、顧客が自ら自動車等に給油するための設備を指し、「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」に置かれたものです。
一方、従業員が給油を行う従来型の固定給油設備は、この誤給油防止の規定そのものの対象になっていません。
これは、従業員が給油する場面では油種の確認を人が行う前提が保たれているためと考えられます。
自分の給油取扱所にセルフ用と従業員給油用の設備が混在している場合は、どちらの設備にこの構造が必要かを設備ごとに確認してください。
うちはセルフと従業員給油の両方があるので、どっちが対象か分からなくなりそうです。
セルフ側の顧客用固定給油設備だけが対象です。
次は具体的にどんな構造が求められるかを見ましょう。
誤給油を防ぐ構造は具体的に何を求めているのか

実際に使われている代表的な方式は大きく3つです。
1つ目はコンタミ防止装置で、給油ノズルのセンサーが車両側の燃料蒸気を測定して油種を判定し、ノズルの油種と一致したときだけ給油を始める仕組みです。
2つ目は油種別ポンプ起動で、顧客が申告した油種のポンプだけを起動し、対応するノズルを使ったときに限って給油できるようにする仕組みです。
3つ目は、ガソリンか軽油のどちらか一方しか扱えない給油設備で、この場合はそもそも取り違える構造になっていないため、規則の要件を満たしているとみなされます。
どの方式を採用しているかは給油設備によって異なるため、自分の施設がどの仕組みを備えているかを確認しておく必要があります。
うちのスタンドがどの方式なのか、正直分かっていません。
方式は保安監督者や設備の取扱説明書で確認できます。
次は見落としやすいポイントを確認しましょう。
誤給油対策で見落としやすいのはどこか

実際の規定にはいくつか誤解しやすい範囲があります。
規則第28条の2の5第2号ヘが定める誤給油防止の対象は、条文上「ガソリン及び軽油相互」に限られています。
灯油や軽油を容器に詰め替えるための顧客用固定注油設備には、満量停止や地震時停止などは求められていますが、誤給油防止そのものの構造要件は列挙されていません。
また、レギュラーとハイオクのような同じガソリンの中の油種違いも、条文が想定する「誤給油」の範囲ではありません。
「誤給油防止装置があるから何を入れても安全」ではなく、どの油種の組み合わせを対象にした仕組みかを正しく理解しておくことが大切です。
誤給油防止があれば灯油とガソリンも大丈夫だと思っていました。
その組み合わせは条文の対象外です。
最後に、明日からの確認事項をまとめます。
施設は明日から何を確認すればよいのか

日々の点検と保安監督者による管理が前提になっています。
たとえば給油量や給油時間の上限設定は危険物保安監督者の特別な操作でなければ変更できない構造とされ、顧客や監視者が簡単に変えられないようになっています。
まずは自分の施設の顧客用固定給油設備がコンタミ防止装置・油種別ポンプ起動・単一油種専用のどの方式にあたるかを、保安監督者に確認してください。
次に、その仕組みが実際に機能しているかを定期点検の中で確認し、記録に残しておきましょう。
そして、灯油の詰め替えなど誤給油防止の対象外になっている作業についても、油種確認を監視者が行う運用になっているかを見直してください。
まずは自分のスタンドの設備がどの方式か、保安監督者に確認してみます。
それが一番確実な第一歩です。
よくある質問もまとめておきます。
よくある質問
まとめ
誤給油を防ぐ構造にも、ちゃんと理由と仕組みがあることが分かりました。
まずはうちのスタンドの設備がどの方式なのか確認してみます。
方式の確認と対象範囲の理解の2点を押さえれば実務は回ります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所に係る運用について」(平成10年3月13日 消防危第25号 消防庁危険物規制課長、最終改正 令和元年8月 消防危第119号)
- 危険物の規制に関する規則第28条の2の5第2号
- 危険物の規制に関する規則第28条の2の5第3号
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





