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神社や寺院教会の収容人員はどう数えるか|(11)項で床面積も合算する理由を解説

神社の鳥居と社殿の写真に「神社や寺院は収容人員をどう数えるか」と添えたアイキャッチ画像

神社やお寺、教会は、消防法上どんな建物として扱われるかご存知でしょうか。
神職や僧侶の人数だけを見ていると、防火管理者は要らないと思い込みがちです。
実は参拝者が使う礼拝スペースの床面積も、収容人員の計算に加わります。
神社仏閣教会は(11)項として、収容人員の数え方も設置基準もほかの用途と違う独自のルールを持っています。

うちは神主が1人しかいないので、防火管理者なんて要らないですよね。

その神主の人数だけでは判断できません。
拝殿の床面積も一緒に数える決まりがあります

床面積まで数えるという発想はありませんでした。

多くの方がそうです。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 神社・寺院・教会は消防法施行令別表第一(11)項に区分される非特定用途の防火対象物です
  • 収容人員は神職・僧侶・牧師等の従業者数と礼拝集会用部分の床面積を合算して算定します
  • 収容人員が50人以上になると防火管理者の選任が必要になります
  • 消火器具は延べ面積300平方メートル以上、屋内消火栓設備と自動火災報知設備は延べ面積1,000平方メートル以上で設置義務が生じます
  • 誘導灯は全館ではなく地階・無窓階・十一階以上の部分に限って設置が必要です

神社・寺院・教会(11)項における収容人員の算定と消防用設備等の設置基準を示した図解

神社や寺院教会は消防法上どんな建物として扱われるのか

鳥居のある神社の建物と隣に並ぶ事務所ビルを対比したイメージ
神社や寺院、教会は、消防法の世界では独立した分類が与えられています。
まずはその位置づけを確認します。
消防法施行令別表第一(十一) 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
神社仏閣教会は消防法上「非特定用途」に区分されます。
劇場や飲食店のように不特定多数が出入りする施設ではなく、参拝者や信者が主な利用者という前提の分類です。
この扱いは消防法施行令別表第一(11)項として、神社・寺院・教会等をひとまとめに定めています。
令第34条の4が定める「既存不遡及の特例が及ばない用途」の一覧にも(11)項は含まれておらず、既存の建物にただちに新基準が遡って適用されるわけではありません。
とはいえ増築や用途変更のときは現行基準への適合が必要になるため、次の見出しで収容人員の数え方から具体的に確認していきます。

非特定用途なのに、条文にちゃんと項目があるんですね。

はい。
ただ基準は独自なので、順番に見ていきましょう。

神社や寺院教会の収容人員はどう数えるのか

神社の建物前に集まる参拝者の人物群を示したイメージ
収容人員の数え方は、用途ごとに細かく決まっています。
神社仏閣教会には、他にない独自の算定式が用意されています。
消防法施行規則第1条の3 令別表第一(十一)項に掲げる防火対象物 神職、僧侶、牧師その他従業者の数と、礼拝、集会又は休憩の用に供する部分の床面積の合計を三平方メートルで除して得た数とを合算して算定する。
神職や僧侶の人数だけでなく、参拝者が使う床面積も収容人員に加算されます。
令別表第一(十)項や(十二)項から(十四)項までの自動車車庫・工場・倉庫等は従業者数のみで収容人員を算定するのに対し、(十一)項はこの点が大きく異なります。
拝殿や礼拝堂のように参拝者が集まる部分の床面積を三平方メートルで割った数を、従業者数に足して算定します。
この合算値が50人以上になると、消防法施行令第1条の2第3項第1号ハにより防火管理者の選任が義務付けられます(令別表第一(十)項から(十五)項までと同じ基準です)。
神職や僧侶が1人や2人でも拝殿部分が広ければ50人を超えることは珍しくないため、実際に床面積を測って計算し直すことをおすすめします。

うちは神主が1人だけなので、防火管理者はいらないと思っていました。

床面積を含めて計算すると50人を超える社寺は少なくありません。
一度計算してみてください。

神社や寺院教会にはどんな消防用設備等が必要になるのか

神社の建物脇に置かれた消火器と壁掛けの警報ベルを示したイメージ
収容人員の次は、消防用設備等の設置基準を見ていきます。
(11)項は、実は他の非特定用途より基準が緩やかに設定されています。
消防法施行令第10条第1項第3号 別表第一(七)項、(八)項、(十)項、(十一)項及び(十五)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が三百平方メートル以上のもの
消火器具は延べ面積300平方メートル以上、屋内消火栓設備と自動火災報知設備は1,000平方メートル以上で設置が必要になります。
消火器具の基準は施行令第10条第1項第3号により、(七)項・(八)項・(十)項・(十一)項・(十五)項が共通で延べ面積300平方メートル以上です。
屋内消火栓設備(施行令第11条第1項第3号)と自動火災報知設備(施行令第21条第1項第6号)は、いずれも(十一)項と(十五)項だけが延べ面積1,000平方メートル以上という基準になっています。
同じ非特定用途でも(二)項から(十)項まで・(十二)項・(十四)項は屋内消火栓が700平方メートル以上、自動火災報知設備が500平方メートル以上で義務付けられるため、(十一)項はそれより緩やかな基準です。
数字だけを見て「まだ大丈夫」と判断せず、実際に面積を測ってどの号に当てはまるかを確認してください。

うちの拝殿、たしか延べ面積は600平方メートルくらいだったと思います。

その規模なら消火器具は必要ですが、
屋内消火栓と自動火災報知設備はまだ設置義務の対象外です。

神社や寺院教会で見落としやすいのはどこか

平屋の神社建物と地階に緑の非常口サインを設けた多層の社殿建物を対比したイメージ
設置基準を確認したら、もう一段細かい落とし穴も見ておきます。
基準が「全部設置」ではなく「部分設置」になっている設備があります。
消防法施行令第26条第1項第1号 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
避難口誘導灯と通路誘導灯は、(11)項では地階・無窓階・十一階以上の部分にだけ設置すれば足ります。
劇場や病院などが含まれる(一)項から(六)項、(九)項は建物全体に誘導灯の設置が必要ですが、(十一)項は該当する部分だけが対象です。
さらに、防炎規制の対象にも入っていません。施行令第4条の3第1項が定める防炎防火対象物の一覧は(一)項から(四)項まで・(五)項イ・(六)項・(九)項イ・(十二)項ロ・(十六の三)項に限られ、(十一)項は含まれていません。
カーテンや幕を防炎物品にする法令上の義務が無いからといって、可燃物の管理まで不要になるわけではない点には注意してください。
「基準がある設備」と「基準がない設備」を混同すると、必要な設備を見落としたり、逆に不要な物品まで防炎品に替えてしまったりするので、条文ごとに区別して確認することが大切です。

誘導灯も防炎規制も、全部同じ基準だと思い込んでいました。

設備ごとに対象になる部分が違います。
ひとつずつ確認するのが確実です。

明日から何を確認すればよいのか

巻尺で神社の建物を測る人物と建物の上に浮かぶ拡大鏡を示したイメージ
ここまでの内容を、自分の建物に当てはめて確認する番です。
順番に見ていけば判断に迷うことはありません。
消防法施行令第1条の2第3項第1号ハ 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ及び(十七)項に掲げる防火対象物で、収容人員が五十人以上のもの
まずは拝殿や礼拝堂の床面積を測り直し、収容人員を計算し直すところから始めます。
神職・僧侶・牧師等の人数に、礼拝や集会、休憩に使う部分の床面積を三平方メートルで割った数を足し、50人以上になるかを確認します。
50人以上であれば防火管理者の選任状況を、延べ面積が300平方メートル・1,000平方メートルのどちらを超えているかで消火器具・屋内消火栓・自動火災報知設備の設置状況を、それぞれ照らし合わせます。
地階や無窓階、十一階以上の部分がある建物では、誘導灯の設置状況も忘れずに見ておきます。
増築や用途変更を予定している場合は既存不遡及の特例が及ばない点も踏まえて、早めに所轄の消防署へ相談してください。

床面積を測って計算し直すところから始めればいいんですね。

そのとおりです。
迷ったら所轄消防署に相談するのが確実です。

よくある質問

Q神社やお寺は消防法上どの区分になりますか?
A消防法施行令別表第一(11)項に区分され、神社、寺院、教会その他これらに類するものと定められています。劇場や店舗と違い、非特定用途として扱われます。
Q神職が1人しかいなくても防火管理者は必要になりますか?
A人数だけでは判断できません。神職・僧侶等の数に礼拝や集会の用に供する部分の床面積を三平方メートルで除した数を合算し、収容人員が50人以上になれば選任が必要です。
Q神社や寺院にも自動火災報知設備は必要ですか?
A延べ面積が1,000平方メートル以上になると設置義務が生じます。屋内消火栓設備も同じ面積が基準で、消火器具は300平方メートル以上で必要になります。
Q神社や寺院のカーテンや幕は防炎物品にする必要がありますか?
A(11)項は施行令第4条の3第1項が定める防炎防火対象物の一覧に含まれていないため、防炎物品にする法令上の義務はありません。

まとめ

神社・寺院・教会は消防法施行令別表第一(11)項に区分される非特定用途の防火対象物です
収容人員は神職・僧侶・牧師等の従業者数と礼拝集会用部分の床面積を合算して算定します
収容人員が50人以上になると防火管理者の選任が必要になります
消火器具は延べ面積300平方メートル以上で設置義務が生じます
屋内消火栓設備と自動火災報知設備は延べ面積1,000平方メートル以上で必要になります
誘導灯は地階・無窓階・十一階以上の部分に限って設置すればよいことになっています
防炎規制の対象には含まれていません

床面積まで含めて計算し直せばいいと分かりました。
すっきりしました。

人数、床面積、そして設備ごとの面積基準。
この3つを順に確かめれば大きく外しません
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法施行令別表第一(十一)項(神社、寺院、教会その他これらに類するもの)
  • 消防法施行規則第1条の3(収容人員の算定方法)
  • 消防法施行令第1条の2第3項第1号ハ(防火管理者を定めなければならない防火対象物)
  • 消防法施行令第10条第1項第3号、第11条第1項第3号、第21条第1項第6号(消火器具・屋内消火栓設備・自動火災報知設備に関する基準)
  • 消防法施行令第4条の3第1項(防炎防火対象物の指定等)
  • 消防法施行令第26条第1項第1号(誘導灯及び誘導標識に関する基準)
  • 消防法施行令第34条の4第2項(適用が除外されない防火対象物の範囲)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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