大きな複合施設やオフィス街の地下には、通信や電力のケーブルを通すための洞道や共同溝が伸びていることがあります
ふだんは人の目に触れない場所なので、届出が要ることを知らないまま管理しているケースも見られます
実はこの地下トンネルが消防長(消防署長)から「指定洞道等」に指定されると、ケーブルを敷設する者に届出義務が生じます
この記事では指定の要件と届出事項を条文で確認します。
うちの複合施設、地下に電源と通信の配線を通すトンネルがあるんですが、あれって消防への届出とか要るんですか。
実は、その地下トンネルが消防長から指定洞道等に指定されると、ケーブルを敷設する事業者に届出の義務が生まれます。
すべての地下トンネルが対象になるわけではありません。
そのトンネルはうち自身が管理していて、ケーブルもうちの設備担当が敷設しているんですが、それでも対象になりますか。
その場合はまさに御社が届出義務者になります。
まずは指定の仕組みから一緒に確認していきましょう。
- 通信ケーブルや電力ケーブルを通す洞道・共同溝で、火災時に消火活動へ重大な支障を生ずるおそれがあると認められたものは「指定洞道等」に指定されます
- 指定洞道等にケーブルを敷設する者には、消防長(消防署長)への届出義務があります
- 届出事項は経路・出入口や換気口の位置、内部の主要な物件、火災に対する安全管理対策の3点です
- 届出済みの内容に重要な変更があったときも、同じ届出が必要です
- 根拠は消防法第9条に基づく市町村の火災予防条例(例)第45条の2です
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目次
地下の洞道や共同溝にはどんな届出があるのか

この届出も、火を使う設備の届出と同じく火災予防条例(例)が根拠になっています
条文の末尾にある「その他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項」という受け皿を根拠に、各市町村の火災予防条例(例)では雑則の章にさまざまな届出を置いています
その一つが、通信ケーブルや電力ケーブルを通す地下の洞道・共同溝についての届出です
洞道そのものは電気や通信のための構造物ですが、消火活動への支障という観点から消防長(消防署長)の関与が必要になる場面があります
次の章で、どんな洞道が対象になるのかを確認します。
火を使う設備の話だと思っていたら、地下のケーブルトンネルまで入っているんですね。
そうです。どんな洞道が対象になるのか、次の章で条文の言葉で確認しましょう。
どんな洞道が指定洞道等になるのか

火災予防条例(例)第45条の2は、指定の要件をはっきり定めています
条文の要件を分けると、①通信ケーブルや電力ケーブルを通すために設置された地下の工作物であること、②人が維持管理のために出入りする構造であること、③火災が発生した場合に消火活動へ重大な支障を生ずるおそれがあると消防長が認めて指定したこと、の3つです
このうち③がもっとも重要で、単に地下に洞道や共同溝があるだけでは対象になりません
指定は消防長(消防署長)が個別に行うものなので、自分の施設の洞道が指定されているかどうかは管轄消防署への確認が必要です。
じゃあ、うちの地下にケーブルトンネルがあるというだけでは、まだ届出は要らないんですか。
はい。消防長(消防署長)の指定を受けてはじめて対象になります。
指定を受けた場合に何を届け出るのか、次の章で見ていきましょう。
届出には何を書いて誰が出すのか

何を書いて、誰が出すのかを条文で確認します
二 指定洞道等の内部に敷設されている主要な物件
三 指定洞道等の内部における火災に対する安全管理対策
2 前項の規定は、同項各号に掲げる事項について重要な変更を行う場合について準用する。
一号は指定洞道等の経路そのものと、出入口・換気口といった消火活動の際に消防隊が使う開口部の位置です
二号は内部に敷設されている主要な物件、つまりどんなケーブルや設備が通っているかという情報です
三号は内部で火災が起きたときにどう安全を確保するかという安全管理対策そのものです
届出をするのは指定洞道等の管理者ではなく、実際に通信ケーブル等を敷設する者であり、自社で敷設していれば自社が、通信会社や電力会社に敷設を委ねていればその事業者が届出義務者になります。
うちは自社の設備担当がケーブルを敷設しているので、その場合はうちの会社が届出をするということですね。
そのとおりです。
次は、この届出で実務上つまずきやすいポイントを確認しておきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

代表的なものを確認しておきます
- 届出義務者は施設の所有者や管理者ではなく、実際にケーブルを敷設する者です。指定洞道等を保有・管理しているだけの立場では、条文上の届出義務者にはなりません
- ただし、自社で通信・電力ケーブルを敷設している場合は、施設の管理者であっても自社が届出義務者になります。「管理者だから関係ない」と思い込むのが最大の落とし穴です
- 経路や出入口の位置、内部の物件、安全管理対策に重要な変更があったときも、届出済みで終わりではなく同じ内容で再度届け出る必要があります
- 火災予防条例(例)の罰則規定(第49条)には、この届出を怠った場合の罰則が列挙されていません。罰則が無いことをもって届出自体が不要と誤解しないよう注意が必要です
模範となる条例には第45条の2違反への罰則が定められていませんが、これは市町村ごとの条例すべてに当てはまるとは限りません
市町村が独自に罰則規定を追加している場合もあるため、罰則の有無を根拠に届出を後回しにするのは避けるべきです
指定を受けた以上、届出は消火活動の安全を確保するための情報提供そのものだと理解しておくと判断がぶれません。
罰則が無いなら、忙しいときは後回しにしてもいいかなと思ってしまいそうです。
そこは要注意です。市町村によっては独自に罰則を設けていることもあります。
最後に、明日から確認しておきたい手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

特別な準備は要りませんが、順番を踏めば迷いません
- 自施設の地下に、通信・電力ケーブルを通す洞道や共同溝があるかを確認する
- 該当する洞道が消防長(消防署長)から「指定洞道等」の指定を受けているかを管轄消防署に確認する
- 指定されている場合、実際にケーブルを敷設している事業者(自社か、外部の通信会社・電力会社か)を特定し、届出済みかどうかを確認する
- 経路の変更や新たな配線の追加を行う前に、変更届が必要かどうかを消防署へ事前に相談する
指定を受けているかどうかが分からないまま届出の要否を判断すると、時間だけが過ぎてしまいます
自社の設備担当が敷設しているのか、外部事業者に委ねているのかを整理しておくと、届出義務者が誰かもすぐに見えてきます
指定洞道等の状況が変わったときは、その都度管轄の消防署に連絡することが望まれます。
まずは自分のところの洞道が指定を受けているか、消防署に確認してみます。
それが一番確実です。
届出のことも含めて、気になることがあればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
管理者だから関係ないと思い込んでいたので、聞けてよかったです。
指定の有無から早めに確認していただくのが一番です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第9条
- 火災予防条例(例)(総務省消防庁)第45条の2
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





