屋内消火栓の設置台数は、建物の延べ面積だけで自動的に決まると思っていないでしょうか
消防法施行令には、建物の構造と内装の仕上げによって、その基準面積そのものを引き上げる規定があります
条件を満たせば必要な面積を2倍・3倍まで緩和でき、屋内消火栓の設置台数や省略の可否まで変わってきます
「2倍読み・3倍読み」と呼ばれるこの仕組みを知っておくと、リフォーム前の判断材料になります。
うちのテナントは面積的に屋内消火栓が要ると聞いたんですが、内装を変えたら免除されたりしますか。
免除ではありませんが、内装の仕上げと建物の構造次第で必要な面積の基準そのものが変わることがあります。
面積の基準が変わるって、どういう仕組みなんですか。
今日はその「2倍読み・3倍読み」という緩和の仕組みを詳しく解説します。
- 屋内消火栓設備の設置義務は消防法施行令第11条第1項が定める用途別の延べ面積基準(500〜1000平方メートル等)で決まる
- 特定主要構造部を耐火構造にし、壁・天井の内装を難燃材料で仕上げると基準面積を3倍に緩和できる(施行令第11条第2項)
- 耐火構造のみ、または準耐火構造に難燃材料内装を組み合わせた建物は基準面積が2倍にとどまる
- 指定可燃物の貯蔵・取扱いを基準にする防火対象物には、この倍読みは適用されない
- 内装だけを変えても構造区分の証明が伴わなければ緩和を主張できないため、リフォーム前に両方の書類をそろえて所轄消防署に確認することが実務の備えになる
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目次
屋内消火栓設備の設置義務はどうやって決まるのか

まず基本になる基準を確認しておきましょう
劇場や映画館などは500平方メートル以上、事務所や店舗など多くの用途は700平方メートル以上が目安です
地階や無窓階、4階以上の階は延焼や避難の難しさから、この基準面積がさらに低く設定されています
つまり同じ用途の建物でも、階や構造によって設置義務の境目が変わるということです
次の章では、この基準面積そのものを引き上げられる仕組みを見ていきます。
うちは700平方メートルには届いていないので、消火栓は関係ないですよね。
面積だけでなく地階や階数も関わってきます。次の章の緩和の仕組みも合わせて確認しましょう。
内装を難燃材料にすると基準面積はどう変わるのか

条文には「倍読み」と呼ばれる緩和の規定が用意されています
たとえば基準面積700平方メートルの建物なら、条件を満たすことで1400平方メートルや2100平方メートルまで引き上げられます
対象になるのは壁と天井のうち室内に面する部分の仕上げで、回り縁や窓台などの細かい部分は含みません
延べ面積そのものが変わるわけではなく、屋内消火栓の設置義務が生じる境目が動くということです
次の章で、2倍と3倍を分ける条件の違いを具体的に見ていきます。
内装を変えるだけで、面積の基準そのものが動くんですね。
そうです。ただし2倍になるか3倍になるかは条件が細かく分かれています。
3倍読みと2倍読みは何が条件を分けるのか

条文が求める「難燃材料」の中身も確認しておきましょう
特定主要構造部を耐火構造にしたうえで、壁と天井の内装を難燃材料で仕上げた建物だけが3倍の対象になります
一方、耐火構造にしても内装が難燃材料でない建物や、準耐火構造に難燃材料の内装を組み合わせた建物は2倍にとどまります
難燃材料は加熱開始後5分間燃え広がりを抑える性能が国の基準で確認されたものに限られ、一般の壁紙やクロスだけでは足りません
つまり構造の等級が高いほど、内装の仕上げがそのまま面積の緩和幅に直結する仕組みになっています。
普通のクロスを難燃タイプに変えれば、それだけで3倍になるということですか。
いいえ、内装だけでは足りません。建物の主要構造部が耐火構造であることも同時に必要です。
実務で見落としやすいのはどこか

実務で特に見落とされやすい点を整理します
先ほどの第2項は「第5号を除く」と明記しており、綿花類や合成樹脂類などを大量に貯蔵する倉庫は、内装をどれだけ難燃材料にしても基準面積は変わりません
また、内装の仕上げ材料だけを新しくしても、建物の構造区分そのものが証明できなければ緩和は認められません
リフォームで壁紙やボードだけを難燃材料に張り替え、建物の耐火性能の証明を確認していないケースはよくある見落としです
倍読みを主張するときは、内装材料の性能証明と建物の構造区分の証明を必ずセットで確認する必要があります。
内装さえ直せば大丈夫だと思っていました。構造の証明まで要るとは知りませんでした。
内装と構造、両方の書類がそろって初めて緩和を主張できます。順番を間違えないようにしましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

リフォームを検討している建物ほど、事前の確認が重要です
建築確認や検査済証で耐火構造・準耐火構造の区分を確認し、内装材料が難燃材料の認定を受けているかをメーカーの証明書で確かめます
倍読みが使えない指定可燃物の貯蔵がある場合や、スプリンクラー設備など他の設備での代替が使える場合もあるため、選択肢は一つではありません
書類が揃ったら、リフォーム工事に着手する前に所轄消防署へ相談し、緩和が適用できるかを確認しておきましょう
判断に迷う点を抱え込まず、早い段階で確認する習慣が、無駄な工事や後からの是正指導を防ぎます。
内装だけじゃなく、構造の証明も一緒に確認すればいいんですね。
その通りです。着工前に所轄消防署へ相談しておくと安心です。
よくある質問
まとめ
内装だけでなく、構造の証明まで確認する必要があるとよく分かりました。
それだけで無駄な工事を防げます。㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法施行令第11条第1項・第2項・第4項
- 建築基準法施行令第1条第6号
- 建築基準法第2条第9号の2・第9号の3
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





